問題
「41歳の男性。脱毛症で頭髪は全体的に薄く乾燥して艶がない。顔面蒼白でめまい、動悸、息切れを伴う。舌は淡、薄苔、脈は細弱を認める。」
息切れは気虚で、髪の乾燥や顔面蒼白、動悸、細脈は血虚でみられます。また、弱脈は気血両虚でみられます。総合して、本症例は気血両虚による脱毛症と考えられます。
肝腎陰虚は、肝陰虚と腎陰虚が同時に存在する病証です。目渋、転筋、腰膝酸軟、手足心熱、のぼせ、盗心、皮膚の乾燥や口乾などがみられ、舌質紅・脈数となります。
心火亢盛は心火が亢進することにより血を主る機能や神志の作用が失調した病証です。心悸や強い不眠、関連領域に実熱の症候が出ます。
気滞血瘀は気滞により血が滞り、血瘀が生じた病証です。肩こり、イライラ、腹部膨満感などがあらわれます。
気血両虚は、気と血が同時に不足した状態ですので、これが正解であると考えられます。
臓腑や生理物質の相互関係、五臓とその関連領域などを理解しておくことが大切です。
正解は気血両虚です。
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肝腎陰虚では、肝と腎とが陰虚の状態となり、
髪が抜け易くなったり、
めまいや腰痛などの症状がみられます。
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心火亢盛では、心に熱が入り、
焦燥感、不眠症、のぼせなどの症状がみられます。
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気滞血瘀では、気が滞り血瘀がみられており、
肩こりやお腹の張り、皮膚の乾燥などの症状がみられます。
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事例の男性は、脱毛症があり頭髪は薄く乾燥し艶がない、
顔面蒼白、めまい、動悸、息切れがあること、
舌は淡、薄苔で、脈は細弱を認めることから、
気虚と血虚の両方の症状があらわれる
気血両虚であることが考えられます。
問題文が示す病証は、4番の「気血両虚」です。
その他の選択肢については、次の通りです。
1 .肝腎陰虚 → 肝陰虚と腎陰虚が同時におこる病証です。
目渋や転筋、腰膝酸軟、手足心熱などが出現します。
2 .心火亢盛 → 血を主る機能や神志の作用が失調する病証です。
実熱が生じ、顔面紅潮や口渇などが出現します。
3 .気滞血瘀 → 気滞により血が滞り、血瘀ができた状態をいいます。
冷えのぼせ・イライラ・生理不順などの要因になります。