問題
「40歳の男性。草野球で投手をしているが、加速期に肩関節前面に痛みがあり全力投球ができない。肩関節のエックス線検査は異常なし。ストレッチテスト、スピードテストともに陽性。」
ストレッチテストやスピードテストが陽性の場合、上腕二頭筋長頭腱炎が疑われます。上腕二頭筋長頭腱炎は、結節間溝部で炎症が起こり肩関節の前面に痛みを生じます。
棘上筋の問題の場合は、ペインフルアークサイン、インピンジメント徴候などが陽性となります。
烏口腕筋は烏口突起から上腕骨の内側部に付着する筋肉です。また、肩関節を屈曲させる作用がありますが、作用は弱く、特定の徒手検査はありません。
繰り返しの投球動作で結節間溝部に負担がかかり上腕二頭筋長頭腱に炎症が生じていると考えらます。なので、これが正解であると考えられます。
肩関節後面の痛みがある場合は、骨棘形成により上腕三頭筋長頭の問題が疑われます。特にフォロースロー期では肩関節後方には強い伸張ストレスが生じます。
他に上腕二頭筋長頭腱炎のテストとして、ヤーガーソンテストがあります。また、野球の投球動作には、ワインドアップ期、コッキング期、アクセラレーション期、フォロースロー期があり、それぞれの動作により、障害される部位が異なりますので、確認すると良いでしょう。
ストレッチテストとは、
座位にて、
患者の背後から、上腕を持ち、
肩関節を他動的に伸展させるテストです。
伸展させていった時に、もし痛みが誘発された場合には、その肢位で肘関節を屈曲させます。
それで、疼痛が消失すれば、陽性となります。
また、スピードテストとは、
座位にて、
患者の前方から、肩関節を90度屈曲位に保持し、上腕に抵抗を加えた際に生じる、肩関節における疼痛の有無を見ます。
上記のどちらも、上腕二頭筋長頭腱炎のテスト法になりますが、
その他の上腕二頭筋長頭腱炎のテストでは、
ヤーガソンテストも有名です。
ストレッチテスト、スピードテストは、
上腕二頭筋長頭腱炎の有無を判別するテストです。
棘上筋は、棘上窩を起始とし、
大結節で停止します。
棘上筋に関連したテストのひとつに、
棘上筋テストがあります。
烏口腕筋は、烏口突起を起始とし、
上腕骨体で停止します。
烏口腕筋に緊張があると、
帯結動作に制限が生じる場合があります。
上腕二頭筋は、
関節上結節と烏口突起を起始とし、
橈骨粗面で停止します。
関節上結節には、
上腕二頭筋の長頭が付着しています。
症例の患者は、
投球の加速期に肩関節の前面に痛みがあり、
ストレッチテスト、スピードテストとも
陽性であるとのことから、
上腕二頭筋長頭腱炎が疑われますので、
これが正解であると考えられます。
上腕三頭筋は、長頭は関節下結節、
外側頭は上腕骨外側面、
内側頭は上腕骨後面をそれぞれ起始とし、
肘頭で停止します。
徒手筋力テストをする筋の一つでもあります。
肩関節周囲の解剖を振り返っておきましょう。