問題
病証として最も適切なのはどれか。
症例の15歳の女子の主訴は倦怠感で、
最近、無気力で食欲がなく痩せ、
少し動くと息切れがするが胸痛はないとのことでした。
また、朝起きるのがつらく、
立ちくらみもするとのことでした。
肝血虚では、
目や筋肉、皮膚、髪の毛に症状があらわれます。
心陰虚では、
不眠や不安などの精神症状や
ほてりや口渇などの熱の症状がみられます。
食欲がなく痩せ、
脈は弱を認めるとのことから、
脾気虚である可能性があり、
これが最も適切な病証であると考えられます。
腎精不足では、
発育障害や足腰の衰え、不妊など、
成長発達や老化に関連した症状がみられます。
起立性調節障害は、思春期の子どもに多く、
立ちくらみや、息切れ、食欲不振、倦怠感のほか、
朝なかなか起きられないなどの症状が
みられます。
倦怠感、無気力、食欲の低下などがみられることから脾の病証が疑われます。また、倦怠感、無気力や脈が弱であることから気虚の可能性が高いため、脾気虚であることが考えられます。
肝血虚とは肝血の不足により、筋・目・爪の栄養障害、月経異常などが起こる病証のことです。
心陰虚とは陰液の不足により心が滋養されず、心の機能が失調した病証のことです。血虚を伴うことが多く、虚熱による症状(五心煩熱など)が特徴的です。
脾の機能が減退した病証であり、主に運化機能の失調として現れます。基本的な病態は気虚の症状であるため、これが正解であると考えられます。
腎精が不足した状態であり、精の機能が減退する病証のことです。先天の精の不足、加齢、房事過多などが原因で生じます。
症状、脈の状態から臓腑の病証を推察することが重要です。また、今回の症例は起立性調節障害が考えられるため、現代医学的な内容もおさえておきましょう。
「15歳の女子。主訴は倦怠感。最近、無気力で食欲がなく痩せた。少し動くと息切れがするが胸痛はない。朝起きるのがつらく、立ちくらみもする。脈は弱を認める。」
先ず、「倦怠感」といえば、気虚を疑います。
さらに、気虚からの血虚で、気血両虚かも知れないと推測もできます。
次の、「食欲がなく痩せた」ということから、脾気虚とみなし、
「朝起きるのがつらい」「立ちくらみ」「脈が弱い」
から、気虚の症状があるのがわかります。
以上の事から、脾気虚の症状と判断します。