建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第53回(令和5年度(2023年))
問21 (建築物の環境衛生 問21)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第53回(令和5年度(2023年)) 問21(建築物の環境衛生 問21) (訂正依頼・報告はこちら)

環境基準と閾(いき)値に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 環境基準には、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準と生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準がある。
  • 閾値とは最小の刺激量として定義され、医学的な有害性の判断の根拠となる量である。
  • 環境基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
  • 閾値の概念を示す Hatch の図において、縦軸は化学的因子の量である。
  • 環境基準は、動物実験や疫学調査等から得られる有害濃度を基礎とし、安全度を考慮して決定されている。

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この過去問の解説 (1件)

01

「閾値の概念を示す Hatch の図において、縦軸は化学的因子の量である」 は間違いです。

 

Hatchの図とは、有害な物質が体にどのような影響を与えるかを表した図です。

この図では、

・横軸 → 化学物質の量(どれくらいの量を体に取り込んだか)

 ・縦軸 → 医学的症状(どんな影響が体に出るか)

となっているので、「縦軸は化学的因子の量」 という説明は間違いになります。

 

1. 閾値(いきち)とは?

「閾値」とは、「この量を超えると体に悪い影響が出る」という境界線のことです。

例えば、ある化学物質が空気中に「0.1ミリグラムまでなら安全」と決められている場合、「0.1ミリグラム」が閾値になります。

この量を超えると、咳が出たり、頭痛がしたりする可能性があるということです。

 

2. Hatch の図の役割

  Hatchの図は、有害物質が体にどんな影響を与えるかをわかりやすく示した図です。
  例えば、空気中の汚れ(化学物質の量)が増えていくと、

   ・少しの量ならほとんど影響なし

   ・増えてくると軽い咳が出る

   ・もっと増えると頭痛や吐き気が出る

   ・さらに増えると病気になる

  というように、症状が強くなっていく様子を表します。

 

 3. Hatch の図の縦軸と横軸

  ・横軸 → 化学物質の量(どれくらいの量を体に取り込んだか)

  ・縦軸 → 医学的症状(どんな影響が体に出るか)

  

 「縦軸は化学的因子の量」と説明すると、軸が逆になってしまうので、間違いになります。

選択肢1. 環境基準には、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準と生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準がある。

 環境基準には「人の健康を守るための基準」と「生活環境をきれいに保つための基準」の2種類があります。
 例えば、空気の汚れを減らすための基準は「健康を守るため」でもあり、「生活環境を快適にするため」でもあります。

選択肢2. 閾値とは最小の刺激量として定義され、医学的な有害性の判断の根拠となる量である。

 閾値とは「これ以上の量になると体に悪い影響が出る」という境界線のことです。
 例えば、ある化学物質が「1リットルの空気中に0.1ミリグラムまでなら安全」という場合、0.1ミリグラムが閾値になります。

選択肢3. 環境基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。

 環境基準は新しい研究結果や科学的な判断をもとに、必要に応じて変更されます。
 例えば、昔は安全だと思われていた物質が「実は体に悪い影響がある」と分かった場合、基準が厳しくなることがあります。

選択肢4. 閾値の概念を示す Hatch の図において、縦軸は化学的因子の量である。

 不適当です。
 

 Hatchの図では、縦軸は医学的症状を示し、横軸が化学的因子の量です。
 つまり、化学物質の量が増えると、どのような健康への影響が現れるかを示す図になります。

選択肢5. 環境基準は、動物実験や疫学調査等から得られる有害濃度を基礎とし、安全度を考慮して決定されている。

 環境基準は動物実験や人の健康調査(疫学調査)をもとに決められます。
 例えば、ある化学物質が「動物に影響が出る量」を調べて、それよりも安全な範囲を決めるのです。

まとめ

 Hatchの図では縦軸は医学的症状であり、横軸が化学的因子の量なので、「縦軸は化学的因子の量である」という選択肢は最も不適当になります。

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