二級ボイラー技士の過去問
令和3年10月公表
ボイラーの取扱いに関する知識 問16

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問題

二級ボイラー技士試験 令和3年10月公表 ボイラーの取扱いに関する知識 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

ボイラーの清缶剤について、誤っているものは次のうちどれか。
  • 軟化剤は、ボイラー水中の硬度成分を不溶性の化合物(スラッジ)に変えるための薬剤である。
  • 軟化剤には、炭酸ナトリウム、りん酸ナトリウムなどがある。
  • 脱酸素剤は、ボイラー給水中の酸素を除去するための薬剤である。
  • 脱酸素剤には、タンニン、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジンなどがある。
  • 低圧ボイラーの酸消費量付与剤としては、塩化ナトリウムが用いられる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は,5です。

ボイラーの清缶剤に関する問題です。

1.正しいです。

軟化剤は不溶性の化合物(スラッジ)を軟化させ,その後,連続ブローにて適宜排出させています。

2.正しいです。

軟化剤はアルカリ性のナトリウム水溶液が多く採用されています。

3.正しいです。

一般的にボイラーに給水する水はイオン交換を行っていますが,水中には酸素が残っています(=溶存酸素)。溶存酸素が多く存在する場合,ボイラー水管を錆させますので,亜硫酸ナトリウムおよびヒドラジン等を用いて溶存酸素(O2)を除去します。なお,ヒドラジンは発がん性リスクがあり,取り扱いには注意が必要です。

(例)ヒドラジン(N2H4)の脱炭素原理について:N2H4 + O2 = 2H2O + N2

4.正しいです。

脱酸素剤には、タンニン、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジンを使用します。

5.誤りです。

酸消費量付与剤としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムが用いられます。

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02

正解は、 5 です。

1.正しい記述です。

軟化剤は、硬質成分の原因となるマグネシウムイオンやカルシウムイオンを不溶成分にします。軟化剤をボイラー水に添加しないとボイラー水管表面に、硬質スケールの付着が発生し、伝熱を阻害してしまいます。ですから、軟化剤の注入は必須になります。ですが、軟化剤は、スラッジ等を多量に発生させる為、吹き出し(ブロー)作業を定期的に、適切に行なう必要があります。

2.正しい記述です。

軟化剤として、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、非リン酸系清缶剤、が使用されます。

炭酸ナトリウムは、主に1Mpa以下のボイラーに使用されます。これ以上の高圧ボイラーになりますと分解されてしまう為、使用に適しません。

リン酸ナトリウムは、優れた軟化剤として広く使用されます。リン酸イオンを生成し、硬質成分のカルシウムイオン等と反応し不溶性のリン酸塩を生成します。それにより、ブローによる排出を容易にします。

非リン酸系の清缶剤は、リンの排出規制を守るために開発されたものです。主成分は、高分子ポリマーで硬度成分を溶かす働きがあります。

3.正しい記述です。

溶存酸素は、鋼材腐食の原因物質となりますので脱酸素剤によって、ボイラー水から取り除かなければなりません。

4.正しい記述です。

亜硫酸ナトリウムは、ボイラー水中に溶け込んだ溶存酸素の除去に使用されます。1 mg/Lの溶存酸素を除去するのに7.88 mg/Lの亜硫酸ナトリウムが必要とされます。

ヒドラジンは、主に高圧ボイラーに使用されます。1 mg/Lの溶存酸素を除去するのに1 mg/Lのヒドラジンが必要とされます。

タンニンは、天然成分のポリフェノールの一種で、脱酸素効果やスケール成分のイオンと反応し、不溶性成分とする事が出来ます。

5.誤った記述です。

酸消費量付与剤とは、鉄のイオン化(鋼材腐食)を防ぐ為に添加されるものです。適正な酸消費量は、鋼材腐食を抑制します。ですから、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリ性物質が添加されます。

塩化ナトリウムは、中性塩ですので、誤りです。

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03

正解は、5です。

1.正しいです。

 軟化剤は、マグネシウムやカルシウムなどの硬度成分を不溶性の軟質沈殿物(スラッジ)に変えることでボイラー水を軟化させます。炭酸ナトリウムやリン酸ナトリウムなどが用いられます。

2.正しいです。

3.正しいです。

 ボイラー水中の酸素は、腐食の原因になります。脱酸素剤は水中の酸素を化学反応により除去します。亜硫酸ナトリウムやヒドラジン、タンニンなどが用いられます。

4.正しいです。

5.誤りです。

 酸消費量は、ボイラー水のアルカリ度を表しますから、酸消費量付与剤はボイラー水にアルカリ成分を加えるものでなくてはなりません。アルカリ成分とは水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などです。水酸化ナトリウムや炭酸カルシウムが該当します。

 問題文中にある塩化ナトリウムは食塩のことで、食塩水はアルカリ性ではありませんから、誤りを察することができると思います。

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