二級ボイラー技士の過去問
令和4年10月公表
ボイラーの構造に関する知識 問6

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問題

二級ボイラー技士試験 令和4年10月公表 ボイラーの構造に関する知識 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

ボイラーの送気系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
  • 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
  • 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
  • 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
  • 蒸気トラップは、蒸気の使用設備内にたまったドレンを自動的に排出する装置である。
  • 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。

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この過去問の解説 (3件)

01

ボイラーで発生した蒸気は、いろいろな蒸気を使う設備に送気されます。

その送気を行う設備が送気系統装置です。

送気系統装置には、主蒸気管、主蒸気弁、減圧装置、蒸気トラップ、蒸気流量計、気水分離器、蒸気加熱器など多数のものがあります。

主蒸気配管は長くなると、温度の変化によって、配管の伸びや縮みが起こるために、それを解消するためにエキスパンションジョイントが設置されます。使用される蒸気温度に応じて、ジョイントの設置個所間の長さが決まります。

そのほかに、蒸気配管の保温の厚さや材料なども検討が必要です。

気水分離器は、蒸気内に含まれる水分を取り除いて乾き蒸気にするための装置です。

主に加熱器と組み合わせて、使われます。

蒸気と水滴の分離には、沸水防止管がドラム内に設けられます。

以上のように例を2つ紹介しましたが、送気系統装置にはそれぞれいろいろな機器や装置が組み合わされて、稼働します。

主蒸気弁、減圧弁、蒸気トラップについて解説します。

選択肢1. 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。

誤りです。

仕切弁の流れはY字形ではなく直線状に流れ、仕切弁が作動すると弁口が閉じられ、流れが停止します。

選択肢2. 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。

正しいです。

主蒸気弁には、仕切弁、玉形弁、アングル弁などがあります。

玉型弁は、流量を調整することができますが、抵抗が大きく圧力損失を起こします。

アングル弁は、流れが直角に流れるように入口側と出口側が構成され、単純に90度流れの向きを変える場合と、90度向きを変えながら調整する場合もあります。

選択肢3. 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。

正しいです。

減圧装置は、高圧力で発生した蒸気よりも低圧力で使用したい場所に蒸気を送るときに使用され、使用場所では低い圧力の蒸気を安定して使うことができます。

なお、減圧装置は装置というより、減圧弁で構成されます。

選択肢4. 蒸気トラップは、蒸気の使用設備内にたまったドレンを自動的に排出する装置である。

正しいです。

蒸気トラップは配管に設置するものと、ボイラー設備の水が溜まりやすい所に設置する場合があります。

配管に設置するのは、蒸気配管の底部にドレンが溜まるため、それを抜くために設置します。

ボイラー設備では、ドレンが溜まり易いような構造として、そこに蒸気トラップを設置することで、ドレンが溜まったら抜くことができます。

選択肢5. 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。

正しいです。

湾曲型伸縮継手は、鋼管を曲げたときに生じるたわみを、配管の伸縮を吸収します。

ベローズ型は、ベローズのひだの伸縮で、配管の伸縮吸収を行うものです。

すべり形は、外管径を広げて配管を差し込み、外側の配管と内側の配管をスライドさせて伸縮を吸収させます。

まとめ

送気系統装置は安定した加熱蒸気を送るための装置で、水分を排除して蒸気の乾き度を維持するもの、蒸気の温度による変形を排除するもの、一次圧力を減圧して二次圧力として供給するものなどがあります。

送気系統装置の出題頻度は、3年に1回くらいの割合ですが、内容が今回のような問題であると、正解が案外気づきにくいものかもしれません。

参考書など図があれば、図で見た方が記憶に残りやすいかもしれません。

参考になった数48

02

【同一テーマでの出題回数】★★★★(H27/4~R4/4公表分)

送気系統装置とは、ボイラーで発生した蒸気を使用端末装置まで送る時に関わる装置や配管類を指します。具体的には「主蒸気管」「主蒸気弁」「スチームアキュムレータ」「蒸気トラップ」「ドレンセパレータ」「減圧装置(主に減圧弁)」などがあります。本問では、そのいくつかについて問うものです。

選択肢1. 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。

誤った文章です。

主蒸気弁として使用される弁には「アングル弁」「玉形弁」「仕切弁」の3種類が知られており、弁の内部を流れる蒸気の流れ方がそれぞれ異なるためよく出題されています。正しくは、「~Y字形になる~」ではなく「~直線状に流れる~」です。

選択肢2. 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。

正しい文章です。

主蒸気弁として使われている弁の一つである「玉形弁」内の蒸気の流れ方はS字形です。その他「アングル弁」では、L字形となります。

選択肢3. 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。

正しい文章です。

ボイラーで発生させた蒸気を使用先まで送る場合、途中での圧力低下を考慮しても使用先では蒸気圧が高すぎると判断される場合、減圧弁が役立ちます。

選択肢4. 蒸気トラップは、蒸気の使用設備内にたまったドレンを自動的に排出する装置である。

正しい文章です。

主蒸気管は施工時固定すると、通常は簡単に外して清掃することは実際問題困難です。そのために、あらかじめ「蒸気トラップ」を設置しておけばドレンの排出が容易です。

選択肢5. 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。

正しい文章です。

建物に張り巡らされた配管は、程度の差はあっても非常に長いものとなります。そのため配管を流れる蒸気の高熱で、常に微妙な伸縮を繰り返しており途中で伸縮を吸収できる仕組みを施しておかないと、配管の断裂につながりかねません。そのために用いられるのが各種の伸縮継手とよばれるものです。いくつか種類があり、「U字形」「湾曲形(ベンド)」「蛇腹形(ベローズ)」「すべり形」の4種類が代表的です。

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03

この問題では、ボイラーの送気系統装置の構成と機能についての理解が問われています。送気系統装置は、ボイラーで発生した蒸気を効率的に輸送し、使用設備へ供給するための重要なシステムです。主蒸気弁、減圧弁、蒸気トラップ、伸縮継手などの装置が含まれます。

選択肢1. 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。

この文章は誤りです。主蒸気弁に用いられる仕切弁の蒸気流れは、Y字形になるため抵抗が小さいというのは正しくありません。実際には、仕切弁は直線的な流れが特徴です。

選択肢2. 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。

この文章は正しいです。玉形弁では、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため、抵抗が大きくなります。

選択肢3. 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。

この文章は正しいです。減圧弁は、蒸気圧力を一定に保つために使用され、蒸気の圧力を適切に調整します。

選択肢4. 蒸気トラップは、蒸気の使用設備内にたまったドレンを自動的に排出する装置である。

この文章は正しいです。蒸気トラップは、蒸気システム内にたまったドレンを自動的に排出する装置です。

選択肢5. 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。

この文章は正しいです。長い主蒸気管は、温度変化による伸縮に対応するために、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手が必要です。

まとめ

ボイラーの送気系統装置は、蒸気を効率的に輸送し使用設備に供給するために多様な装置を備えています。主蒸気弁、減圧弁、蒸気トラップなどの機能と構造を理解し、適切な選択をすることが重要です。

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