二級ボイラー技士の過去問
令和4年10月公表
ボイラーの構造に関する知識 問9
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問題
二級ボイラー技士試験 令和4年10月公表 ボイラーの構造に関する知識 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
ボイラーの容量及び効率に関するAからDまでの記述で、誤っているもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
A 蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力及び蒸気温度にかかわらず一定である。
B 換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を、2257kJ/kgで除したものである。
C ボイラー効率は、実際蒸発量を全供給熱量で除したものである。
D ボイラー効率を算定するとき、燃料の発熱量は、一般に低発熱量を用いる。
A 蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力及び蒸気温度にかかわらず一定である。
B 換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を、2257kJ/kgで除したものである。
C ボイラー効率は、実際蒸発量を全供給熱量で除したものである。
D ボイラー効率を算定するとき、燃料の発熱量は、一般に低発熱量を用いる。
- A,B,D
- A,C
- A,D
- B,C,D
- B,D
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この過去問の解説 (3件)
01
今回に出題は、ボイラー容量とボイラー効率の問題です。
ボイラー容量は、
G×(h2-h1)
Ge = ――――――――― [kg/h]
2,257
という計算式で表されます。
ここで、Ge:換算蒸発量[kg/h] G:実際蒸発量[kg/h] h1:給水のエンタルピー[kJ/kg] h2:発生蒸気のエンタルピ[kJ/kg] 2257:100℃の飽和水を蒸発させて、100℃の飽和蒸気とする時の熱量です。
なお、G×(h2-h1)は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量となります。
また、ボイラー効率は、
G×(h2-h1)
ボイラー効率 = ――――――――×100 [%]
F×H
という計算式で表されます。
ここで、G:実際蒸発量[kg/h] h1:給水のエンタルピー[kJ/kg] h2:発生蒸気のエンタルピ[kJ/kg] F:時間当たりの燃料消費量[kg/h] H:燃料低発熱量[kJ/kg]です。
なお、 G×(h2-h1)は上の式通りのもので、F×Hは、全供給熱量です。
この2つの式を覚えておけば、ボイラー容量とボイラー効率の問題には対処できます。
ただし、式で表される文字の定義を正確に覚えておく必要があります。
A 蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力及び蒸気温度にかかわらず一定である。
誤り。
同じ蒸発量でも、温度や圧力の条件の差によってエンタルピの差があり、蒸気発生に至る吸収熱量に差が出るために、蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力及び蒸気温度によって異なります。
B 換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を、2257kJ/kgで除したものである。
正しい。
ボイラー容量は最大負荷の状態で、1時間に発生する蒸発量で表しますが、温度や圧力によって蒸気の熱量が違うために、ボイラー容量を換算蒸発量で表します。2257kJは、標準大気圧で飽和水から飽和蒸気になる潜熱としての蒸発熱です。
C ボイラー効率は、実際蒸発量を全供給熱量で除したものである。
誤り。
ボイラー効率は、初めに挙げた計算式で表されます。したがって、実際蒸発量ではなく、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を全供給熱量で除したものです。
D ボイラー効率を算定するとき、燃料の発熱量は、一般に低発熱量を用いる。
正しい。
燃料低発熱量とは、燃料中の水素や水分が持つため燃焼したときこれらが水蒸気となって潜熱を持つためにそれを差し引いた熱量のことです。
Aが誤りで、B、Dは正しいです。
A、Cともに誤りです。
Aが誤りで、Dは正しいです。
Cが誤りで、B、Dは正しいです。
B、Dともに正しいです。
ボイラーの容量とボイラー効率の問題は頻度の高い問題です。今回の問題には数式は出てきませんが、言葉で数式を述べているので、注意が必要です。数式だと何となく覚えているのですが、数式を言葉で表されると、定義をしっかり理解しておかないと、引っ掛かりやすい問題と言えます。
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02
【同一テーマでの出題回数】★★★★★★(H27/4~R4/4公表分)
ボイラーの性能を示す指標として、本問のテーマでもある「容量」及び「効率」があります。
ここでボイラーの容量とは、最大連続負荷の状態で、1時間に発生する蒸発量をいい、単位はkg/hが使用されます。あるいは、以下の式で示す換算蒸発量が使われる場合もあります。
(換算蒸発量)=((実際蒸発量)*(h2-h1))/2,257
ここで、h1は給水の比エンタルピー、h2は発生蒸気の比エンタルピーです。
一方、ボイラーの効率とは、全供給熱量に対する発生蒸気の吸収熱量の割合を言います。
以下、A~Dの各記述文について真偽を検証してみましょう。
A:誤った記述です。
正しくは、「蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力、蒸気温度及び給水温度によって異なる。」です。
B:正しい記述です。
換算蒸発量は、実際の蒸発量を基準蒸発量(標準大気中で100℃の水1kgを全て蒸気に変えるに要する熱量:2257kl/kg)に換算することで量的な把握がしやすくするためです。
C:誤った記述です。
正しくは、「ボイラー効率とは、発生蒸気の吸収熱量を全供給熱量で除したものである。」です。
D:正しい記述です。
一般的には、ボイラー効率算定で使用される「燃料の発熱量」は、低発熱量を用いることが通例です。ただし、高発熱量を使用する場合も認められているため、「いずれかを明記する」のが必要となります。
B及びDが正しい記述となるため、不正解です。
AとCが誤りの全てで、正解となります。
Dは正しい記述のため、不正解です。
BとDが正しい記述となるため、不正解です。
BとDのいずれも正しい記述となるため、不正解です。
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03
この問題では、ボイラーの容量と効率に関する知識が求められています。
ボイラーの容量は、1時間に発生する蒸気量であり、効率は供給熱量に対する蒸気の吸収熱量の割合です。
異なる蒸気条件における蒸気の発生に要する熱量の理解が重要です。
A:この文章は誤りです。
蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力及び蒸気温度によって異なります。
B:この文章は正しいです。
換算蒸発量は、実際蒸発量に給水から蒸気までのエンタルピー変化を乗じ、2257kJ/kgで除したものです。
C:この文章は誤りです。
ボイラー効率は、発生蒸気の吸収熱量を全供給熱量で除した割合を指します。
D:この文章は正しいです。
ボイラー効率を算定する際には、燃料の低発熱量が一般に用いられます。
以上より、正解は「A,C」という選択肢です。
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