二級ボイラー技士 過去問
令和6年10月公表
問10 (ボイラーの構造に関する知識 問10)

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問題

二級ボイラー技士試験 令和6年10月公表 問10(ボイラーの構造に関する知識 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

ボイラーのドラム水位制御について、適切でないものは次のうちどれか。
  • 水位の制御方式には、単要素式、二要素式及び三要素式がある。
  • 単要素式は、負荷変動が激しいときは良好な制御が期待できない。
  • 二要素式は、水位と蒸気圧力を検出し、その変化に応じて給水量を調節する方式である。
  • 電極式水位検出器は、蒸気の凝縮によって検出筒内部の水の純度が高くなると、正常に作動しなくなる。
  • 単要素式には、ドラム水位の変化を偏差信号として給水調節器へ伝え、比例制御で弁の開度を変えるようにしたものなどがある。

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この過去問の解説 (2件)

01

ボイラーのドラム水位制御についての問題です。


水位制御について

蒸気の使用量,すなわち負荷が変動すると蒸気発生量も変動し,それに伴い水位も変動しますので,

以下の制御方式をとり,ドラム水位を一定に保ちます。

・単要素制御:水位のみ検知し,給水量を制御します。

・二要素制御:水位+蒸気流量を検知し組合せ,給水量を制御します。

・三要素制御:水位+蒸気流量+給水流量を検知し,給水量を制御します。


水位検出器について

・フロート式検出器

 フロートが浮力により上下し,水位を検出します。

 ポンプ起動停止条件や高低水位を検出するものに向いています。

・電極式水位検出器

 電極を組合わせその電極に電流が流れる事で,水位を検出します。

 ポンプ起動停止条件や高低水位を検出するものに向いています。

 電極数を増やす事で検出範囲を増やせます。水の純度が高くなると電導度が低くなるため,不動作に繋がります。

・熱膨張管式水位調整装置

 熱に対して伸縮差が大きい金属を使用し,その変化を水位制御に利用するものです。

 単要素および二要素制御があります。

選択肢1. 水位の制御方式には、単要素式、二要素式及び三要素式がある。

正しい記述です。

 

・単要素制御:水位のみ検知し,給水量を制御します。

・二要素制御:水位+蒸気流量を検知し組合せ,給水量を制御します。

・三要素制御:水位+蒸気流量+給水流量を検知し,給水量を制御します。

選択肢2. 単要素式は、負荷変動が激しいときは良好な制御が期待できない。

正しい記述です。

 

単要素式では,水位しか計測していません。

負荷変動が激しい時とは,給水や蒸気発生量も変動しています。

より安定した制御が求められる時は,二・三要素とします。

選択肢3. 二要素式は、水位と蒸気圧力を検出し、その変化に応じて給水量を調節する方式である。

誤った記述です。

 

二要素式は,水位+蒸気流量を検知し組合せ,給水量を制御します。

圧力は検出しません。

選択肢4. 電極式水位検出器は、蒸気の凝縮によって検出筒内部の水の純度が高くなると、正常に作動しなくなる。

正しい記述です。

 

電極を組合わせその電極に電流が流れる事で,水位を検出します。

不純物の多い水は,導電率が上昇し検出し易いですが,

純度が高いと導電率が低下し,検出しにくくなります。

選択肢5. 単要素式には、ドラム水位の変化を偏差信号として給水調節器へ伝え、比例制御で弁の開度を変えるようにしたものなどがある。

正しい記述です。

 

単要素式ではドラム水位のみを検出しています。

その信号偏差を給水調節器に伝えてドラム水位を設定値に保つように調整しています。

まとめ

【Point】

より高精度の水位制御が必要な場合は,検出計器を増やしています。

単要素より二要素,二要素より三要素の方がより高精度となります。

検出対象は,ドラム水位・蒸気流量・給水流量となります。

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02

ボイラーのドラム水位制御では、主に単要素式、二要素式、三要素式という3つの方式があります。それぞれドラム水位以外にどの要素(蒸気流量、給水流量など)を検出・制御に加えるかによって、負荷変動に対する応答や制御精度が変わります。本問では、それぞれの制御方式の特徴を正しく理解しているかどうかが問われています。

選択肢1. 水位の制御方式には、単要素式、二要素式及び三要素式がある。

ボイラー水位制御で分類される方式です。

正しい記述です。

選択肢2. 単要素式は、負荷変動が激しいときは良好な制御が期待できない。

単要素式はドラム水位の変化だけをフィードバック信号とする方式です。

蒸気使用量(負荷)の急変によって発生する泡立ちや圧力変化に伴う見かけ上の水位変化に弱く、負荷変動が大きい場合は制御が不安定になりやすいです。

 

正しい記述です。

選択肢3. 二要素式は、水位と蒸気圧力を検出し、その変化に応じて給水量を調節する方式である。

二要素式では、ドラム水位に加えて蒸気流量または給水流量のいずれかを検出します。「蒸気圧力」を検出しません。

よって、「蒸気圧力」を二要素の片方にするという説明は不適切です。

選択肢4. 電極式水位検出器は、蒸気の凝縮によって検出筒内部の水の純度が高くなると、正常に作動しなくなる。

電極式水位検出器は、水と電極の間に流れる微小電流から水位を検出するため、水の導電率に依存します。

 

もし蒸気の凝縮による純水化などで導電率が極端に低下すると、電極式の検出感度が低くなり、正しく作動しなくなる可能性があります。

正しい記述です。

選択肢5. 単要素式には、ドラム水位の変化を偏差信号として給水調節器へ伝え、比例制御で弁の開度を変えるようにしたものなどがある。

単要素式制御は、最も単純なフィードバック制御で、検出する要素はドラム水位のみです。

水位計の指示と設定値の偏差をもとに給水弁の開度を操作する仕組み(P制御など)はごく一般的です。

 

正しい記述です。

まとめ

適切でない選択肢は「二要素式は、水位と蒸気圧力を検出し、その変化に応じて給水量を調節する方式である。」です。

 

実際の二要素式水位制御では、「ドラム水位 + 蒸気流量(または給水流量)」とするのが代表的で、「蒸気圧力」は検出しません。

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