賃貸不動産経営管理士の過去問
平成28年度(2016年)
問23

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問題

賃貸不動産経営管理士試験 平成28年度(2016年) 問23 (訂正依頼・報告はこちら)

賃貸借契約の解除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • 賃貸借契約を解除する場合、借主に対して解除の意思表示を行えば、その意思表示が借主に到達していなくても効力が生じる。
  • 賃貸物件が共有の場合には、賃貸借契約を解除するためには、貸主たる共有者全員の同意が必要である。
  • 解除の意思表示は、撤回することができない。
  • 賃貸借契約に「賃料の支払を1ヵ月でも滞納すれば、貸主は催告をしないで賃貸借契約を解除することができる。」旨を定めておけば、貸主は、この規定を根拠に賃貸借契約を無催告で解除することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解(適切なもの)は、3です。

1 誤り。
公式テキスト第5編賃貸借契約.第6章賃貸借契約の終了.Ⅳ債務不履行による契約解除.6解除権行使の方法に記載されています。これによれば、契約解除は、相手方に対する意思表示を要し、意思表示が相手方に到達した時点で効力が生ずる(形成権)、とされています。したがって、選択肢は誤りです。

2 誤り。
公式テキスト第5編賃貸借契約.第6章賃貸借契約の終了.Ⅳ債務不履行による契約解除.7契約当事者が複数の場合の解除権の行使方法に記載されています。これによれば、賃貸不動産が共有物で、貸主が共有者である場合、過半数の共有持分を有する共有者が解除権を行使することができる、とされています。したがって、選択肢は誤りです。

3 正しい。
公式テキスト第5編賃貸借契約.第6章賃貸借契約の終了.Ⅳ債務不履行による契約解除.6解除権行使の方法に記載されています。これによれば、解除権の意思表示は、撤回することはできない、とされています。したがって、選択肢は正しいです。

4 誤り。
公式テキスト第5編賃貸借契約.第6章賃貸借契約の終了.Ⅳ債務不履行による契約解除.2債務不履行に基づく解除権の行使に記載されています。これによれば、「賃料の支払を1ヵ月でも滞納すれば、貸主は催告をしないで賃貸借契約を解除することができる。」という特約に対して、当然に無催告解除できるわけではないものの、契約を解除するに当たり催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情があれば許容されるとされています。1か月の滞納だけが理由であれば、当事者間の信頼関係が破壊されたとまでは言えず、この特約を根拠に無催告で解除できるというわけではないと考えられます。したがって、選択肢は誤りです。

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02

正解は3です。

1 .不適切です。
賃貸借契約を解除する場合、借主に対して解除の意思表示を行う必要があり、その意思表示が借主に到達しなければ効力は生じません(民法第540条)。

2 .不適切です。
民法において共有物の管理に関する事項は共有持分の価格にしたがい、その過半数で決すると定められています(民法第252条)。よって、賃貸物件が共有の場合には、賃貸借契約を解除するためには、貸主たる各共有者の持分の過半数の合意が必要です。共有者全員の同意までは不要となります。

3 .適切です。
解除権の意思表示は、撤回することができない(民法第540条第2項)と定められています。

4 .不適切です。
賃貸借契約に「賃料の支払を1ヵ月でも滞納すれば、貸主は催告をしないで賃貸借契約を解除することができる。」旨を定めていた場合であっても、借主が1ヵ月滞納しただけでは、貸主は、この規定を根拠に賃貸借契約を無催告で解除することはできません。一般的には少なくても2ヵ月以上の賃料の不払いが必要とされます。

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03

正解 3

肢1 不適切

契約解除は当事者の意思表示が相手方に到達した時点で効力が生じるとされているため、「その意思表示が借主に到達していなくても効力が生じる。」としている本選択肢は誤りです。

肢2 不適切

賃貸借契約の解除は共有物の管理に関する事項にあたるとみなされるため、物件の共有持分にしたがって過半数の同意があれば解除が可能です。

肢3 適切

民法第540条第2項によると、解除の意思表示は、撤回することができないとされています。

肢4 不適切

当該特約が契約書に記載されていたとしても、1か月の家賃の遅れがあるだけでは無催告で契約解除が認められるほど信頼関係が破壊されているとは言えず無効になる可能性が高いです。

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