賃貸不動産経営管理士の過去問
平成30年度(2018年)
問15

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問題

賃貸不動産経営管理士試験 平成30年度(2018年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)

賃貸借契約の特約の有効性に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。

ア  賃貸借の期間内に建物が競売により売却され、その所有権が他の者に帰属した場合に賃貸借契約が終了する旨の特約は、無効である。
イ  賃貸借の更新について合意が成立しない場合は賃貸借契約が期間満了と同時に当然に終了する旨の特約は、有効である。
ウ  借主が貸主の同意を得て賃貸建物に設置した造作について、建物明渡し時に買取請求権を行使することができない旨の特約は、有効である。
エ  振込みにより賃料を支払う場合の振込み手数料を貸主負担とする旨の特約は、無効である。

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この過去問の解説 (3件)

01

 借地借家法の趣旨は賃借人の保護にあるため、借家関係においては、同法30条が、契約の更新、解除、更新拒絶及び契約期間について、同法の規定よりも賃借人に不利な特約の効力を否定しています。また、同法37条は、借家権の対抗、転貸借終了の際の通知及び借地上の建物の賃借人保護について、同法の規定よりも賃借人に不利な特約の効力を否定しています。本問では、これらの強行法規に照らし、各肢の特約が有効といえるかが問われています。

肢ア 適切
 賃貸借契約の期間中に競売により建物の所有者が変わったとしても、賃借人は建物の引渡しを受けていれば、競落人に対しても賃貸借契約を対抗でき、競落人が賃貸人たる地位を承継することとなります。にもかかわらず、競売により建物所有者が変わった場合には賃貸借契約を終了させるのは、賃借人に不利な合意として無効となります。

肢イ 適切とはいえない
 建物の賃貸人の側から契約を終了させるためには、当初の契約期間満了の1年前から6月前までの間に正当事由を伴う更新拒絶を申し入れる必要があり、これがない以上は賃貸借契約は法定更新されます。また、期間満了までに更新について合意が成立しない場合には、契約期間を除き、従前の契約と同一の条件で契約が更新されたものとみなされます(借地借家法26条1項)。にもかかわらず、更新について合意が成立しない場合には賃貸借契約を終了させるのは、賃借人に不利な合意として無効となります。

肢ウ 適切
 造作買取請求権(同法33条1項)は、同法30条及び37条に掲げられていません。つまり、造作買取請求権について同法の規定よりも賃借人に不利な特約を付すことは可能です。たとえば、賃借人が賃貸人の同意を得てトイレにウォシュレットを取付けた場合、退去時に買取請求できない旨を合意したときは、その合意は有効と認められます。

肢エ 適切とはいえない
 弁済費用は原則として債務者の負担となりますが、特約によって債権者負担とすることも可能です(民法485条)。

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02

正解は2(ア、ウ)です。

ア、 正しいです。
  民法395条「抵当建物使用者の引渡しの猶予」よりも、借主に対して不利な特約になるので無効です。

イ、 誤りです。
賃貸借の更新について合意が成立しない場合は「法定更新」になります。(借地借家法26条)合意が成立しなければ終了する特約は、借主に対して不利になるので無効です。有効ではありません。

ウ、 正しいです。
造作買取請求権(借地借家法33条)については、任意規定ですので、特約で排除することが認められています。したがって、この特約は有効です。

エ、 誤りです。
賃料の振込手数料は、民法の「弁済の費用」(民法485条)にあたり、「別段の意思表示がなければ」借主(債務者)の負担となります。これを特約で貸主負担にするのは有効です。

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03

適切なものの組合せは『ア、ウ』です。

ア.適切。

賃貸借の期間内に建物が競売により売却され、その所有権が他の者に帰属した場合に賃貸借契約が終了する旨の特約は、借主に不利になるため無効です。

イ.不適切。

賃貸借の更新について合意が成立しない場合は賃貸借契約が期間満了と同時に当然に終了する旨の特約は、借主に不利になるため無効です。

ウ.適切。

借主が貸主の同意を得て賃貸建物に設置した造作について、建物明渡し時に買取請求権(造作買取請求権)を行使することができない旨の特約は、有効です。

エ.不適切。

振込みにより賃料を支払う場合の振込み手数料は弁済費用にあたり、原則借主負担ですが、貸主負担とする旨の特約は、有効です。

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