中小企業診断士 過去問
令和2年度(2020年)
問17 (経済学・経済政策 問17)

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問題

中小企業診断士試験 令和2年度(2020年) 問17(経済学・経済政策 問17) (訂正依頼・報告はこちら)

働くことにより得られる所得と余暇のバランスを考えることは重要である。下図は、家計の所得と余暇の組み合わせについて、予算制約線と無差別曲線を用いて示したものである。賃金の上昇に伴う点Eから点Fへの移動に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
問題文の画像
  • 点Eから点Gへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が増加する部分であり、「所得効果」という。
  • 点Eから点Gへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が余暇から労働に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。
  • 点Gから点Fへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が減少する部分であり、「所得効果」という。
  • 点Gから点Fへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が労働から余暇に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

賃金の上昇に伴う家計の所得と余暇の組み合わせの変化を、予算制約線と無差別曲線上における代替効果と所得効果によって分析しています。

代替効果とは、2財のうち一方の価格が上昇したときに、高くなった財の消費を減らし、代わりにもう一方の財の消費を増やす効果のことです。効用の水準を保つために、最適消費点は同一無差別曲線上で変化します。

所得効果とは、賃金上昇や低価格化などにより実質所得が変化したときに、財の消費量を変化させる効果のことです。最適消費点は予算制約線を平行移動した線上に移動します。

各選択肢については、以下のとおりです。

1→点Eから点Gへの変化は、同一無差別曲線上の移動のため、代替効果になります。

2→適切です。点Eから点Gへの変化は、賃金の上昇により時間配分を余暇から労働へと同じ効用の水準で切り替えたということであり、これは代替効果になります。

3→点Gから点Fへの変化は、所得効果ですが、正常財としての余暇の需要は増加しています。

4→点Gから点Fへの変化は、予算制約線と平行な線上との間の移動のため、所得効果になります。

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02

家計の所得と余暇の組み合わせに関する予算制約線と無差別曲線の問題です。

所得効果とは、財の価格の変化によってもたらされる消費者の実質所得の変化が、財の消費に与える影響のことです。

代替効果とは、一方の財の価格の変化によってもう一方の財の消費に及ぼす影響のことです。

それぞれの曲線の表す意味を踏まえて設問の選択肢の内容を検討します。

点Eから点Gへの変化は、所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が減少する部分であり、「代替効果」といいます。

②点Gから点Fへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての労働の需要が増加する部分であり、「所得効果」といいます。

選択肢1. 点Eから点Gへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が増加する部分であり、「所得効果」という。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢2. 点Eから点Gへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が余暇から労働に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。

正解です。

選択肢3. 点Gから点Fへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が減少する部分であり、「所得効果」という。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢4. 点Gから点Fへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が労働から余暇に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。

冒頭の説明より誤りです。

まとめ

予算制約線と無差別曲線の問題です。過去問でも頻出する論点ですのでしっかり押さえておきましょう。

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03

所得効果と代替効果に関する問題です。

 

所得効果と代替効果の知識を、以下に整理します。青字でハイライトしている部分が、見分けるポイントです。

 

・所得効果

実質所得の変化による消費量の変化(予算制約線の移動を伴う)

本問では、点G→Fへの移動

 

・代替効果

相対的な価格の変化によって、ある財の消費を減らして別の財の消費を増やすこと(同じ予算制約線上での移動)

本問では、点E→Gへの移動(余暇を減らして、所得を増やす)

選択肢1. 点Eから点Gへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が増加する部分であり、「所得効果」という。

冒頭の解説より、点Eから点Gへの変化は同じ予算制約線上での移動のため「代替効果」であり、実質所得の増加によるものでもなく余暇の需要は減少している(余暇を減らして、所得を増やす)ため不適切な選択肢です。

選択肢2. 点Eから点Gへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が余暇から労働に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。

冒頭の解説より、点Eから点Gへの変化は賃金の上昇によって時間の配分が余暇から労働に切り替えられた部分であり、「代替効果」のため正解の選択肢となります。

選択肢3. 点Gから点Fへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が減少する部分であり、「所得効果」という。

グラフを見ると、余暇の需要は点Gから点Fへと増加しているため不適切な選択肢です。

 

正常財とは所得の増加に伴い消費が増加する財のことで、余暇が正常財であることは正しいです。

正常財の他の例としては、外食(や高級料理)が挙げられます。給料が入った直後は、外食が増えるイメージです。

選択肢4. 点Gから点Fへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が労働から余暇に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。

冒頭の解説より、点Gから点Fへの変化は実質所得の変化による所得効果であり、時間の配分が労働から余暇に切り替えられたわけではないため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

所得効果と代替効果は頻出論点ですが、文章だけで問われることもあります。

本問ではグラフ内に点線の補助線も与えられていて比較的親切ではありますが、それでも込み入った内容になるため、文章だけで問われた場合は難易度がグッと上がります。

 

そのため、冒頭の解説にある所得効果と代替効果の定義、移動の違いをしっかり理解しながらグラフで確認して理解を定着させることをおススメします。

 

なお、所得効果と代替効果を合わせた「価格効果」もあります。本問では点E→Fへの移動になりますが、本問では問われていないため、所得効果と代替効果の理解の程度に応じて学習してください。

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