FP2級の過去問
2020年1月
学科 問18
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問題
FP技能検定2級 2020年1月 学科 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
法人を契約者( = 保険料負担者)とする損害保険の保険料や保険金の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
- すべての役員・従業員を被保険者とする積立普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
- 法人が所有する自動車で従業員が業務中に起こした対人事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理する必要はない。
- 法人が所有する倉庫建物が火災で焼失し、受け取った火災保険の保険金で同一事業年度内に代替の倉庫建物を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。
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この過去問の解説 (3件)
01
[1]適切
すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができます。
[2]不適切
積立普通傷害保険のような「積立型」の損害保険の場合、支払保険料を積立保険料と危険保険料に分けて考え、損金算入できるのは危険保険料部分のみです(積立保険料部分は資産計上します)。
[3]適切
対人賠償保険金が保険会社から直接相手方に支払われた場合、法人は保険金を受け取らないため、当該保険金に関して経理処理する必要はありません。
[4]適切
圧縮記帳が認められるのは、建物や機械などの固定資産に係る保険金を受け取り、所定の期間内に代替固定資産を取得した場合です。
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02
【正解 2】
法人損害保険の経理処理についての問題です。
[1]適切
すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を、福利厚生費として損金に算入することができます。
[2]不適切
法人が事業目的や従業員のために契約した損害保険の保険料のうち、積立普通傷害保険のような積立型の損害保険の場合は、積立保険料に該当する部分は資産計上し、掛捨保険料部分は損金算入します。
本問では、「全額を損金の額に算入」とありますので誤りです。
[3]適切
対人賠償保険金が保険会社から直接相手方に支払われた場合、法人は保険金を受け取っていないため、当該保険金に関して経理処理する必要はありません。
[4]適切
圧縮記帳とは、法人所有の建物や車両などの固定資産の損害に対して保険金を受け取り、一定期間内に代替資産を取得する場合に認められる制度です。
何故このような制度が必要なのかと言いますと、固定資産の損害に対して受け取る保険金を益金に、損害額を損金に計上すると、益金と損金の差額である保険差益が課税対象となります。しかし、この保険差益に課税がされると、代替資産の取得のための資金が少なくなり、場合によっては代替資産の取得が困難になってしまいます。この事態を避けるために、一時的に税負担を先送りするための圧縮記帳という制度が必要なのです。
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03
解答 2
1.○
法人が契約者となり、すべての役員・従業員に傷害保険を契約した場合には、支払った保険料すべてを福利厚生費として損金に算入することができます。役員・従業員に対する課税はありません。傷害保険の対象が一部の役員・従業員に限られる場合には、法人は保険料を給与として損金算入し、従業員は給与として課税対象となります。
2.✕
積立普通傷害保険の場合には、満期返戻金にあてられる「積立保険料」の部分を資産に計上し、保険金にあてられる「危険保険料」の部分を福利厚生費として損金に参入します。
3.○
被害者に直接対人賠償保険金が支払われた場合には、法人はその保険金について経費処理する必要はありません。仮に対人賠償保険金が法人に支払われた場合であっても、保険金については非課税です。
4.○
建物等の資産に損壊が生じ、保険金を取得した場合に、その保険金で代替資産を取得したときには、その代替資産を損壊した既存の資産の帳簿価額まで圧縮することができます。これを圧縮記帳と言います。損壊のあった日から3年以内に保険金の支払を受け、支払を受けた事業年度内に大体資産を取得するなど、一定の要件を満たすことで認められています。
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