FP2級の過去問
2023年1月
学科 問30

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問題

FP技能検定2級 2023年1月 学科 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

金融商品の取引等に係る各種法令に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、「金融サービスの提供に関する法律」を金融サービス提供法、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」を犯罪収益移転防止法という。
  • 金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合、その交付義務は免除される。
  • 金融サービス提供法では、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、銀行、証券、保険、貸金業の分野のサービスを仲介することができるが、特定の金融機関に所属し、その指導および監督を受けなければならないとされている。
  • 消費者契約法では、事業者の不適切な行為によって、消費者が誤認や困惑をし、それによって消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした場合、消費者は、当該契約によって生じた損害について賠償を請求することができるとされている。
  • 犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、原則として、直ちに当該取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から7年間保存しなければならないとされている。

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この過去問の解説 (3件)

01

〇金融サービス提供法…預貯金・保険・株式などの金融資産などを取り扱う業者に対して、しっかりと説明する義務を定めたもの。もし個人・事業者が適切な説明がなされていない等で損害を被った場合、その金融商品を販売する業者に対して損害賠償を請求できます。

(2021年11月に金融商品販売法から名称変更)

〇犯罪収益移転防止法 …マネーロンダリングを防止するための法。大きな金額を引き出したり、送金する際に本人確認や利用目的を聞くのは、この法律があるからです。200万円を超える現金取引や、公共料金などの支払いを除く10万円を超える現金送金は取引時に確認が必要となります。

とてもややこしい範囲ですが、比較的出題されやすいです。

出題されやすいポイントがあるので、深入りしすぎず、どの法律が何を守るための法律なのかを整理できれば問題ないでしょう。

さらに金融サービス提供法と一緒に「消費者契約法」も覚えておく必要があります。

個人の契約者のみ保護され、不適切な勧誘があったり、契約者が不利になる契約を行った場合は、その契約を取り消すことができます。

そして消費者契約法は金融サービス提供法と併用することも可能です。

選択肢1. 金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合、その交付義務は免除される。

不適切

金融商品取引法では、一般の顧客の契約締結前に必ず書面の交付が義務付けられています。

顧客から交付不要の意思表示があったとしても、免除はされません。

しかし金融サービス提供法では、金融商品の販売前の説明が不要との意思表示があれば、説明はしなくても構いません

選択肢2. 金融サービス提供法では、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、銀行、証券、保険、貸金業の分野のサービスを仲介することができるが、特定の金融機関に所属し、その指導および監督を受けなければならないとされている。

不適切

金融サービス仲介業とは登録を受けた事業者が、行・証券・保険・貸金業の全てを仲介することが可能となります。

この事業者は特定の金融機関に所属する必要はありません。

選択肢3. 消費者契約法では、事業者の不適切な行為によって、消費者が誤認や困惑をし、それによって消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした場合、消費者は、当該契約によって生じた損害について賠償を請求することができるとされている。

不適切

消費者契約法は、消費者を守るための法律です。

事業者の不適切な行為によって消費者が困惑や誤認をし、契約や承諾の意思表示をした場合は、この契約を取り消すことができます。

選択肢4. 犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、原則として、直ちに当該取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から7年間保存しなければならないとされている。

適切

犯罪収益移転防止法とは、犯罪で得たお金を移転させること(マネーロンダリング)を防止する法律です。

金融機関などは特定業務に係る取引に関する記録を作成し、取引の行われた日から7年間保存しなければなりません。

参考になった数5

02

金融商品取引に係る法律についての問題は頻出問題です。関連した法律が複数あり、似通っていることもあり混乱しがちですが、それぞれの対象や概要を覚えておきましょう。

選択肢1. 金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合、その交付義務は免除される。

不適切

金融商品取引法では、あらかじめ顧客に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされています。顧客が交付不要であると申し出た場合でも、その交付義務は免除されません。契約締結前交付文書が免除されるのは、顧客が適格機関投資家(証券会社や銀行など)の場合のみです。

金融商品取引法は、金商品取引業者に対して規制を設け、投資家を保護するための法律です。

選択肢2. 金融サービス提供法では、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、銀行、証券、保険、貸金業の分野のサービスを仲介することができるが、特定の金融機関に所属し、その指導および監督を受けなければならないとされている。

不適切

金融サービス提供法では、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、銀行、証券、保険、貸金業の分野のサービスを仲介することができます。特定の金融機関に所属し、指導や監督を受ける必要はありません。

金融サービス提供法は、事業者が重要事項の説明を怠ったり、断定的な判断を提供したりしたことで損害が発生した場合には損害賠償を請求できるとする法律です。

選択肢3. 消費者契約法では、事業者の不適切な行為によって、消費者が誤認や困惑をし、それによって消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした場合、消費者は、当該契約によって生じた損害について賠償を請求することができるとされている。

不適切

消費者契約法では、事業者の不適切な行為によって、消費者が誤認困惑をし、それによって消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした場合、消費者は契約を取り消すことができます。

消費者契約法は、事業者より弱い立場にある消費者を保護するための法律です。個人の契約を対象としています。

選択肢4. 犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、原則として、直ちに当該取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から7年間保存しなければならないとされている。

適切

犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、速やかに取引の記録を作成し、取引日から7年間保存しなければならないとされています。

犯罪収益移転防止法は、犯罪組織のマネーロンダリングを防止するための法律です。

まとめ

金融サービス提供法と消費者契約法は併用することができます。

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03

金融商品の取引に係る各種法令は種類も多く難しい論点です。

比較的出題されやすい傾向にありますので、しっかり押さえておきましょう。

選択肢1. 金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合、その交付義務は免除される。

不適切

金融商品取引法では、顧客と金融商品の取引契約を締結する前に契約締結前交付書面を必ず交付しないといけないことになっています。

たとえ、顧客と知り合いであり交付を要しない意思表示があっても免除されることはありません。

選択肢2. 金融サービス提供法では、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、銀行、証券、保険、貸金業の分野のサービスを仲介することができるが、特定の金融機関に所属し、その指導および監督を受けなければならないとされている。

不適切

金融サービス提供法では金融サービスを扱う業者は顧客へリスク等の説明を義務付けており、違反時には顧客が損害賠償請求できる法律です。

これまでは銀行との仲介を行う銀行代理業、証券会社との仲介を行う金融紹介仲介業、保険会社との仲介を行う保険募集人のように、それぞれの分野で登録を行い所属する金融機関から指導や監督を受ける必要がありました。それが2021年に改正され「金融サービス仲介業」が創設され全てを仲介することが可能となり、特定の金融機関に属することはなく、指導および監督を受ける必要もなくなりました

選択肢3. 消費者契約法では、事業者の不適切な行為によって、消費者が誤認や困惑をし、それによって消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をした場合、消費者は、当該契約によって生じた損害について賠償を請求することができるとされている。

不適切

消費者契約法とは、不当な勧誘による契約の取り消しと不当な契約条項の無効等を規定しています。

事業者が嘘や偽りを言い、消費者が困惑や誤認をして契約させられた場合など、契約を取り消すことができます。

損害について賠償を請求することはできません

選択肢4. 犯罪収益移転防止法では、金融機関等の特定事業者が顧客と特定業務に係る取引を行った場合、特定事業者は、原則として、直ちに当該取引に関する記録を作成し、当該取引の行われた日から7年間保存しなければならないとされている。

適切

犯罪収益移転防止法では、犯罪による収益の移転を防止する法律です。

金融機関等の特定事業者は顧客と金融に関する取引等(特定業務)を行った場合、取引記録を作成し取引が行われた日から7年間保存しなければならないとされています。

まとめ

それぞれの法律により、できることできないことがあり混乱しやすいと思います。

金融商品取引法では契約締結前交付書面を交付する必要がありますが、金融サービス提供法では顧客が事前説明を拒否した場合は説明しなくても良いです。

消費者契約法では事業者の不当な行為により契約し、損害を被った場合でも損害賠償請求はできませんが、金融サービス提供法では事業者が適切な説明がなく(顧客から断った場合は対象外)損害を被った場合は損害賠償請求ができます。

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