FP2級の過去問
2023年5月
学科 問53

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問題

FP技能検定2級 2023年5月 学科 問53 (訂正依頼・報告はこちら)

遺産の分割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 共同相続人は、一定の場合を除き、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。
  • 換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。
  • 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。
  • 相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。

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この過去問の解説 (3件)

01

遺産分割には被相続人が遺言で分割方法を定める指定分割と共同相続人の全員の協議によって行う協議分割があります。協議分割の場合は全員の参加と合意が必要です。協議分割の場合、現物分割、換価分割、代償分割という3つの方法があります。特徴をよく理解してください。

選択肢1. 共同相続人は、一定の場合を除き、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。

適切

遺産分割協議書は、後日の紛争防止の観点から作成すべきものです。

全ての遺産分割が成立してなくとも、成立した一部のみの遺産分割協議を作成することも可能です。

選択肢2. 換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。

適切

相続財産が不動産などの場合、相続財産の全部または一部をお金に換えて共同相続人で分割する方法です。

選択肢3. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。

不適切

不動産や自社株など特定の相続人が相続財産をもらう代わりに自分の財産を他の共同相続人に提供することです。

選択肢4. 相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。

適切

代償分割より得た財産は被相続人から相続した財産では有りませんが、贈与税ではなく相続税が課税されます。

まとめ

遺産分割の方法を理解し、内容について答えられるようにしましょう。

現物分割:財産をそのまま相続人で分ける方法

換価分割:相続財産の全部または一部をお金に換えて分割する方法

代償分割:特定の相続人が相続財産をもらう代わりに、自分の財産を他の相続人に提供する方法

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02

遺産の分割に関する問題は頻出ですが、ここまで詳細に問われることは稀です。

どのような分割方法があるのか、ざっくりどんな分割方法なのかが分かっていれば、基礎的な問題は解けます。

選択肢1. 共同相続人は、一定の場合を除き、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。

適切

遺産分割協議書は、一部の分割内容のみを定めた場合でも作成可能です。

たとえば遺産分割の際に、まだ協議が決まっていない部分を覗いて、遺産分割協議書を作成することは可能です。

遺産分割協議書は、共同相続人の全員の同意があれば、遺産分割の内容を取り消すこともできます

選択肢2. 換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。

適切

換価分割とは、相続した財産の一部または全部を売却し金銭に換えて、その金銭を共同相続人間で分割する方法です。

ただし売却時に所得税を課されることもあります

選択肢3. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。

不適切

代償分割とは、ある特定の者が全財産を相続し、その代わりに自己の財産(代償財産)で他の相続人に相続分を支払う方法です。

たとえば、財産が土地や家屋のみのため分割して相続することが難しい場合、Aが全ての土地と家屋を相続し、その他BやCにはAが自分の貯金などから現金を渡すことができる、というイメージです。

これには家庭裁判所に申し立てをする必要はありません

選択肢4. 相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。

適切

代償分割により相続した代償財産は、相続税の課税対象となります。

贈与税の対象ではないので、注意しましょう。

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03

遺産の分割に関する問題は出題される頻度は高くありませんが、基本的な論点は押さえておきましょう。

相続財産を共有している人が共同相続人となり、相続人が複数人いる場合は遺産分割を行う必要があります。

分割方法には現物分割、代償分割、換価分割があり、分割内容が問われます。

選択肢1. 共同相続人は、一定の場合を除き、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。

適切

遺産分割協議書とは、遺産分割を行い各相続人の取得すべき財産が確定した場合、遺産分割協議書を作成しなければいけません。

共同相続人は遺産の全部または一部を分割することができ、一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することもできます。

選択肢2. 換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。

適切

換価分割とは、相続により取得した不動産などの遺産(全部または一部)を売却し、その売却金を共同相続人の間で分割する方法です。

売却することにより譲渡所得税が課税されることもあります。

選択肢3. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。

不適切

代償分割とは、分割しにくい財産を遺産分割する場合、相続人のうちの1人が財産を現物で取得し、他の相続人に対し自分の財産を提供することを言います。

選択肢4. 相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。

適切

代償分割により他の相続人より取得した代償財産は相続税の課税対象となります。

代償財産は被相続人から直接取得した財産ではないけれど、被相続人の財産を代償分割により受け取ったため相続税となります。

まとめ

遺産の分割には以下の方法があります。

現物分割・・・遺産をそのまま分割する方法

換価分割・・・遺産を売却し、売却金を他の相続人へ分割する方法

代償分割・・・相続人が遺産を現物で取得し他の相続人に自分の財産を提供する方法

代償財産を交付した人の課税価格・・・相続により取得した現物の財産の価額-交付した代償財産の価額

代償財産の交付を受けた人の課税価格・・・相続により取得した現物の財産の価額+交付を受けた代償財産の価額

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