FP2級の過去問
2023年5月
学科 問57

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問題

FP技能検定2級 2023年5月 学科 問57 (訂正依頼・報告はこちら)

相続税における取引相場のない株式の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特定の評価会社の株式には該当しないものとする。
  • 類似業種比準方式における比準要素は、1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額および1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)である。
  • 会社規模が大会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式によって評価する。
  • 会社規模が小会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式によって評価する。
  • 同族株主のいる会社において、同族株主以外の株主が取得した株式の価額は、その会社規模にかかわらず、原則として、純資産価額方式によって評価する。

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この過去問の解説 (3件)

01

相続税における取引相場のない株式の評価に関する問題はとても難解なので、苦手であれば飛ばしましょう。

しかし出題頻度は比較的多い問題なので、得意な方はプラス1点を取りに行くのも戦略です。

その場合は、長時間かけずに解けるようになることが望ましいです。

 

※取引相場のない株式とは、取引所に上場していない非上場株式のことです。

例えば、家族経営の会社では身内で全ての株式を保有しているというようなイメージです。

上場株式であれば市場にあるので株式の価格は把握できますが、上場されていないと実際相続に必要な価格が分かりません。

そのため、そんな株式のための評価方法があります。
 

もう少し細かい分岐はありますが、試験上覚えるべき内容は以下の通りです。
 

株式を取得するのが・・・

 

〇同族株主の場合 ①大会社→類似業種比準方式(原則的評価方式)

         ②中会社→類似業種比準方式と 純資産価額方式の併用方式

         ③小会社→純資産価額方式(原則的評価方式)

 

〇同族株主以外の場合→配当還元方式(特例的評価方式)

選択肢1. 類似業種比準方式における比準要素は、1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額および1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)である。

適切

類似業種比準方式の計算式は以下の通りです。
 

類似業種の株価✕✕係数

        A  B   C

          3
 

A=類似業種の一株当たりの年配当金額

B=類似業種の一株当たりの年利益金額

C=類似業種の一株当たりの純資産価額

a=評価会社の一株当たりの年配当金額

b=評価会社の一株当たりの年利益金額

c=評価会社の一株当たりの純資産価額

選択肢2. 会社規模が大会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式によって評価する。

不適切

大会社で同族株主が株式を取得した場合は、類似業種比準方式で評価をします。

選択肢3. 会社規模が小会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式によって評価する。

不適切

小会社で同族株主が株式を取得した場合は、純資産価額方式で評価をします。

選択肢4. 同族株主のいる会社において、同族株主以外の株主が取得した株式の価額は、その会社規模にかかわらず、原則として、純資産価額方式によって評価する。

不適切

同族株主以外の株主が株式を取得した場合は、その会社規模にかか わらず、原則として、配当還元方式で評価します。  

参考になった数4

02

昨今、中小企業の後継者問題で注目度の高い論点です。難しいですが、しっかり学習しましょう。

まず、株式を同族株主等が取得した場合は原則的評価方式で、株式を同族株主等以外が取得した場合は特例的評価方式である配当還元方式が適用されると覚えましょう。

さらに株式を取得した者が同族株主等で、会社区分が特定会社に該当する場合は、純資産価額方式特定会社以外に該当する場合①類似業種比準方式②純資産価額方式③併用方式がそれぞれ原則的評価方式に該当すると覚えましょう。

選択肢1. 類似業種比準方式における比準要素は、1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額および1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)である。

適切

類似業種比準方式とは、事業内容が類似する企業の株価を基に1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額をベースにして算出します。

選択肢2. 会社規模が大会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式によって評価する。

不適切

同族株主等が取得した株式に関する原則的評価方式のうち、

会社規模が大会社である会社の評価方式は類似業種比準方式

会社規模が小会社である会社の評価方式は純資産価額方式

会社規模が中会社である会社の評価方式は併用方式

となります。

選択肢3. 会社規模が小会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式によって評価する。

不適切

同族株主等が取得した株式に関する原則的評価方式のうち、

会社規模が大会社である会社の評価方式は類似業種比準方式

会社規模が小会社である会社の評価方式は純資産価額方式

会社規模が中会社である会社の評価方式は併用方式

となります。

選択肢4. 同族株主のいる会社において、同族株主以外の株主が取得した株式の価額は、その会社規模にかかわらず、原則として、純資産価額方式によって評価する。

不適切

同族株主以外の株主が取得した株式の価額は会社の規模にかかわらず、特例的評価方式である配当還元方式によって評価します。

まとめ

覚えるのが難しいかもしれませんが、小企業は土地などの資産の比率が高いため、純資産価額方式、大企業は純資産の割合が低く、類似する企業があるケースが多いので類似業種比準方式、中企業はその中間なので、併用方式と意識すると覚えやすいかもしれません。

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03

取引相場のない株式の評価方法についての問題です。

とても難しい論点なので苦手に感じる人も多いと思います。

方法ごとに整理をして要点を押さえておきましょう。

選択肢1. 類似業種比準方式における比準要素は、1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額および1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)である。

適切

類似業種比準方式とは、似た業種の株価を基に1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額を比較して算出します。

選択肢2. 会社規模が大会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式によって評価する。

不適切

会社規模が大会社である会社の評価方式は類似業種比準方式です。

会社規模が中会社である会社の評価方式は類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式です。

選択肢3. 会社規模が小会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式によって評価する。

不適切

会社規模が小会社である会社の評価方式は純資産価額方式です。

会社規模が大会社である会社の評価方式は類似業種比準方式です。

選択肢4. 同族株主のいる会社において、同族株主以外の株主が取得した株式の価額は、その会社規模にかかわらず、原則として、純資産価額方式によって評価する。

不適切

同族株主以外の株主が取得した株式の価額は会社の規模にかかわらず原則、配当還元方式によって評価します。

まとめ

株式の評価方法には次の方式があります。

・原則的評価方式

 ・・・類似業種比準方式(配当、利益、純資産を類似する上場企業と比較)

 ・・・純資産価額方式(総資産から負債を差引きし純資産を算出)

・特例的評価方式

 ・・・配当還元方式(1株あたりの配当金を一定の利率で割り戻し算出)            

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