FP2級の過去問
2023年5月
学科 問59

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問題

FP技能検定2級 2023年5月 学科 問59 (訂正依頼・報告はこちら)

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律における「遺留分に関する民法の特例」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。
  • 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。
  • 本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。
  • 後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

遺留分に関する民法の特例についての問題です。

「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」により、中小企業の経営承継がスムーズに進むよう特例が設けられています。

非常に難しい論点です。余裕のある人は学習しておくと良いでしょう。

選択肢1. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。

適切

旧代表者から贈与により取得した自社株式について、遺留分を算定するための価額に算入しないことができます。これを除外合意と言います。

後継者以外の人に会社の株式が分散しないようにすることができます。

選択肢2. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。

適切

旧代表者から贈与により取得した自社株式について、遺留分を算定するための価額に算入すべき価額を本特例の適用に係る合意をした時点の価額に固定することができます。これを固定合意と言います。

株式の評価を固定することにより、相続開始まで当該株式等の価値が上昇しても非後継者は遺留分の額が増大となりません。

選択肢3. 本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。

適切

推定相続人と後継者全員の合意を書面にて得たのち、1ヶ月以内に経済産業大臣の確認を受け、その1ヶ月以内に家庭裁判所の許可を受けることができた場合に適用を受けることができます。

選択肢4. 後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。

不適切

中小企業が合意時点において3年以上継続して事業を行っている非上場企業が本特例を受けることができます。

まとめ

国は事業承継での遺留分トラブルに対処するため、本特例を規定しています。

特例によってできることは

除外合意・・・自社株式を遺留分の算定計算から除外することを推定相続人全員が合意すること

固定合意・・・遺留分算定に用いる自社株式の評価額を合意時点の評価額に固定させること

追加合意・・・株式以外の財産や後継者以外の相続人が贈与を受けた財産も遺留分の計算から除外すること(単独では行えず、除外合意や固定合意に付随して行う)

参考になった数2

02

遺留分に関する民法の特例は出題回数が少なく難問なので、先に他の問題を解くのも良いでしょう。

テキストよっては詳細が掲載されていない範囲です。

選択肢1. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。

適切

後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部の価額を、遺留分を算定するための財産の価額から除外することができます。

これを除外合意と言います。

選択肢2. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。

適切

後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、合意時点の価額に固定することができます。

これを固定合意と言います。 

選択肢3. 本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。

適切

本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要があります。 

選択肢4. 後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。

不適切

本特例は、合意時点で3年以上継続して事業を行なっている非上場企業であることが条件です。

そのため、上場企業は対象外です。

参考になった数0

03

遺留分係る民法特例法に関する問題です。

中小企業の事業承継における遺留分に関する特例です。

下記を覚えておきましょう。

除外合意

後継者が贈与を受けた株式について、遺留分算定基礎財産から除外することを推定相続人全員で合意する方法

固定合意

後継者が贈与を受けた株式について、遺留分算定基礎財産に算入する価格を合意時の時価に固定することを推定相続人全員で合意する方法

選択肢1. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。

適切

後継者が贈与を受けた株式について、遺留分算定基礎財産から除外することを推定相続人全員で合意する方法のことを除外合意と言います。

後継者以外の人に会社の株式が分散することを回避できます。

選択肢2. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。

適切

後継者が贈与を受けた株式について、遺留分算定基礎財産に算入する価格を合意時の時価に固定することを推定相続人全員で合意する方法、これを固定合意と言います。

後継者の貢献による自社株の価値上昇分が遺留分侵害額請求の対象外となります。

選択肢3. 本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。

適切

推定相続人全員の合意から1ヶ月以内に経済産業大臣の確認を受け、その1ヶ月以内に家庭裁判所の許可を受ける必要があります。

選択肢4. 後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。

不適切

適用をうけることができる要件は以下になります。

・中小企業基本法に規定する一定の中小企業であること

・3年以上継続して事業を行っていること

・非上場企業であること

したがって上場している株式は対象外です。

まとめ

円滑な中小企業の事業承継を目的とした特例であることを意識しましょう。

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