FP2級の過去問
2023年5月
実技 問15

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問題

FP技能検定2級 2023年5月 実技 問15 (訂正依頼・報告はこちら)

個人事業主で青色申告者である志田さんの2022年分の所得等が下記<資料>のとおりである場合、志田さんが2022年分の所得税の確定申告を行う際に、事業所得と損益通算できる損失に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。
問題文の画像
  • 不動産所得▲80万円と譲渡所得▲60万円が控除できる。
  • 不動産所得▲80万円と雑所得▲6万円が控除できる。
  • 不動産所得▲20万円と譲渡所得▲60万円が控除できる。
  • 不動産所得▲20万円が控除できる。

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この過去問の解説 (3件)

01

損益通算に関する問題は頻出です。
今回のように文章問題として出題されることもあれば、実技では実際に計算させる問題も出題されます
必ず何が損益通算できるのか覚えておきましょう。

選択肢1. 不動産所得▲80万円と譲渡所得▲60万円が控除できる。

不適切
・不動産所得→損益通算できますが土地の取得に要した借入金の利子は損益通算の対象外です。
そのため「80万円ー60万円」の20万円のみ損益通算が可能です。

 

・譲渡所得→上場株式の売却による損失は、申告分離課税を選択した上で、他の上場株式の譲渡所得との内部通算のみ可能です。
そのため、他の所得との損益通算はできません
なお申告分離課税はもともと、損益通算できません

選択肢2. 不動産所得▲80万円と雑所得▲6万円が控除できる。

不適切
・不動産所得→損益通算できますが、土地の取得に要した借入金の利子は損益通算の対象外です。
そのため「80万円ー60万円」の20万円のみ損益通算が可能です。

 

・雑所得→雑所得はもともと損益通算の対象外です。

選択肢3. 不動産所得▲20万円と譲渡所得▲60万円が控除できる。

不適切
・不動産所得→土地の取得に要した借入金の利子は損益通算の対象外のため「80万円ー60万円」の20万円の損益通算は可能です。

 

・譲渡所得→上場株式の売却による損失は、申告分離課税を選択した上で、他の上場株式の譲渡所得との内部通算のみ可能です。
そのため、他の所得との損益通算はできません
なお申告分離課税はもともと、損益通算できません

選択肢4. 不動産所得▲20万円が控除できる。

適切
・不動産所得→土地の取得に要した借入金の利子は損益通算の対象外のため「80万円ー60万円」の20万円の損益通算は可能です。

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02

損益通算に関する問題です。

損益通算の対象となるのは、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得、で(不・事・山・譲)と覚えます。対象外となるものはよく出題されるのでしっかりマスターしましょう。

損益通算の対象とならないものは以下のとおりです。

・不動産所得の損失の金額のうち、土地等取得のための借入金の利子

株式等の譲渡所得の計算上生じた損失(申告分離を選択した上場株式等の譲渡損失や配当金、特定公社債等の利子との損益通算は可能)

・生活用動産の譲渡による損失(譲渡益も非課税)

・生活に通常必要ではない資産について生じた譲渡による損失(ゴルフ会員権、別荘等

・土地又は建物などの譲渡について生じた損失(他の黒字の土地建物等譲渡所得以外とは損益通算できない)

上記を踏まえて設問を見ると、

・不動産所得は損益通算の対象ですが、土地等取得のための借入金の利子は損益通算の対象外です。したがって不動産所得の損失80万円から60万円を差し引きした20万円が損益通算可能となります。

・譲渡所得は損益通算の対象ですが、上場株式の売却に係る損失は他の申告分離を選択した株式や配当金等以外と損益通算することはできません

雑所得は損益通算できません。(そもそも不事山譲)に入っていません。

したがって控除できるのは不動産所得▲20万円のみになります。

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03

損益通算に関する問題です。

とても難しい論点ですが、よく出題されるのでしっかり押さえておきましょう。

損益通算の対象となるのは、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得のみに限られます。

その中でも対象外となるものがあるので注意が必要です。

選択肢1. 不動産所得▲80万円と譲渡所得▲60万円が控除できる。

・不動産所得は損益通算の対象ですが、設問にある土地の取得に要した借入金の利子は損益通算の対象外です。

資料の不動産所得の損失80万円から土地の取得に要した借入金の利子60万円を差し引きした20万円が損益通算できる金額になります。

・譲渡所得は損益通算の対象ですが、上場株式の売却に係る損失は事業所得と損益通算することはできません

上場株式等を譲渡したことにより生じた損失は、その年分の申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額や特定公社債等の利子等と損益通算ができます。

雑所得は損益通算できません

したがって適切なものは、不動産所得▲20万円が控除できる。になります。

まとめ

損益通算の対象となる所得は不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得ですが、その中でも対象外となる所得があります。

・生活用動産の譲渡など非課税所得の損失

・個人に対する定額譲渡により生じた損失

・生活に通常必要ではない資産の譲渡による損失

・土地又は建物などの譲渡により生じた損失(一定要件を満たした居住用財産は可能)

株式等の譲渡により生じた損失上場株式等の譲渡損失は申告分離課税を選択した上場株式の配当金特定公社債等の利子との損益通算は可能

・不動産所得の損失の金額のうち、土地取得のための借入金の利子

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