FP2級の過去問
2023年9月
学科 問16

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問題

FP技能検定2級 2023年9月 学科 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

生命保険の税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも契約者(= 保険料負担者)および保険金受取人は個人であるものとする。
  • 契約者と被保険者が同一人である養老保険において、被保険者の相続人ではない者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。
  • 契約者と被保険者が同一人である終身保険において、被保険者がリビング・ニーズ特約に基づいて受け取る特約保険金は、非課税となる。
  • 契約者と年金受取人が同一人である個人年金保険において、年金受取人が毎年受け取る年金は、所得税における公的年金等控除の対象となる。
  • 契約から10年を経過した一時払養老保険を解約して契約者が受け取る解約返戻金は、所得税において総合課税の対象となる。

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この過去問の解説 (3件)

01

生命保険の税金に関する問いです。

契約者・被保険者・受取人がそれぞれ誰に該当するのかによって、課税対象が決まります。

選択肢1. 契約者と被保険者が同一人である養老保険において、被保険者の相続人ではない者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。

適切

契約者と被保険者が同一の場合は相続税の課税対象となります。

また、契約者と被保険者が異なる場合のうち、契約者と受取人が同一の場合は所得税、契約者と受取人も異なる場合は贈与税の課税対象となります。

選択肢2. 契約者と被保険者が同一人である終身保険において、被保険者がリビング・ニーズ特約に基づいて受け取る特約保険金は、非課税となる。

適切

ただし、被保険者が保険金を受け取り後に死亡し、残っていた金額は相続税の課税対象となります。

選択肢3. 契約者と年金受取人が同一人である個人年金保険において、年金受取人が毎年受け取る年金は、所得税における公的年金等控除の対象となる。

不適切

個人年金保険は公的年金等に該当せず、公的年金等控除の対象となりません。

選択肢4. 契約から10年を経過した一時払養老保険を解約して契約者が受け取る解約返戻金は、所得税において総合課税の対象となる。

適切

受取人が契約者の場合は所得税、受取人が契約者以外であれば贈与税の課税対象となります。

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02

生命保険金に関連する税金は、保険契約の構成要素(契約者、被保険者、保険金受取人)に基づいて決定されます。

これにより、受け取られる保険金に適用される税金の種類が異なります。

所得税、相続税、贈与税の観点から、生命保険金の課税状況を理解することが重要です。

この問題を通じて、生命保険金の課税について解説します。

選択肢1. 契約者と被保険者が同一人である養老保険において、被保険者の相続人ではない者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。

適切

死亡保険金の受け取りに関して税金が課されるかどうかは、保険契約における契約者、被保険者、そして保険金受取人の関係性によって決定されます。

具体的には、以下の3つのシナリオに分けて考えることができます。

シナリオ1: 契約者 = 被保険者、受取人 = 相続人

相続税の適用: このパターンでは、契約者と被保険者が同一人物であり、受取人がいる場合、受け取った死亡保険金は相続財産とみなされるため、相続税の対象となります。

ただし、保険金には一定の非課税枠があり、それを超えた部分にのみ相続税が課されます。

シナリオ2: 契約者 ≠ 被保険者、契約者 = 受取人

所得税・住民税の適用: この場合、契約者が別の人物(例えば配偶者)のために保険に加入しており、その保険金を自分が受け取る場合、受け取った保険金は所得税及び住民税の対象となります。

これは、保険金の受け取りが契約者に対する所得として認識されるためです。

シナリオ3: 契約者 ≠ 被保険者、契約者 ≠ 受取人

贈与税の適用: 契約者が契約者以外の人(例えば配偶者)を被保険者として保険契約を結び、その死亡保険金を第三者(例えば子ども)が受け取る場合、この保険金の受け取りは贈与とみなされ、贈与税が課されることになります。

これらのシナリオからわかるように、生命保険金の税法上の扱いは、契約の関係性によって大きく異なります。

このような問題を解く際には、契約者、被保険者、受取人の役割とそれぞれの関係性を明確に把握することが重要です。

この問題のケースは契約者と被保険者が同一人物なのでシナリオ1に該当するため、相続税が適用されます。

選択肢2. 契約者と被保険者が同一人である終身保険において、被保険者がリビング・ニーズ特約に基づいて受け取る特約保険金は、非課税となる。

適切

リビング・ニーズ特約は、被保険者が余命6ヵ月以内の状態にあると医師によって診断された場合に、事前に死亡保険金の一部を受け取ることができる特約です。

この特約によって受け取られる保険金には、以下の税法上の取り扱いが適用されます。

非課税扱い: リビング・ニーズ特約に基づいて被保険者が受け取る保険金は非課税となります。

これは、特約保険金が被保険者の終末期の医療やケアに関連する費用の補填を目的としているため、税法上、特別な扱いを受けることになります。

残額の相続税対象: ただし、被保険者がリビング・ニーズ特約から受け取った保険金を全額使用しなかった場合、その未使用分は被保険者の死亡後、他の遺産と同様に遺族に相続されます。

リビング・ニーズ特約は、被保険者とその家族にとって、終末期における経済的支援を提供する重要な手段となります。

選択肢3. 契約者と年金受取人が同一人である個人年金保険において、年金受取人が毎年受け取る年金は、所得税における公的年金等控除の対象となる。

不適切

個人年金保険から受け取る年金は、公的年金や社会保障制度に基づく年金とは異なる性質のものであり、そのため、所得税法上での「公的年金等控除」の適用対象外となります。

公的年金等控除は、主に国民年金、厚生年金保険、及び各種の共済組合から支払われる年金に対して適用される控除であり、これらは国や公的機関が運営する制度によって提供される年金です。

一方で、個人年金保険は民間の保険会社が提供する商品であり、加入者が自ら選択して加入する私的な年金制度に該当します。

選択肢4. 契約から10年を経過した一時払養老保険を解約して契約者が受け取る解約返戻金は、所得税において総合課税の対象となる。

適切

契約から10年経過した後に一時払養老保険を解約し、その際に契約者自身が受け取る解約返戻金の税務上の扱いについて正確に理解することが重要です。

このケースでは、解約返戻金の課税方法が、保険期間の長さによって異なることを認識する必要があります。

保険期間が5年以下の場合の源泉分離課税: 契約期間が5年以下の一時払養老保険、もしくは5年を超える契約を5年以内に解約した場合、解約返戻金は金融類似商品とみなされ、源泉分離課税の対象となります。

この際、20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)の税率が適用され、保険金受け取り時に税金が自動的に源泉徴収されます。

その結果、受取人は追加の税務申告を行う必要がありません。

この選択肢で述べられている状況では、契約期間が5年を超えていることから、源泉分離課税の対象外となり、所得税における総合課税の対象とみなされます。

まとめ

生命保険金の受け取りに関する税金は、契約の性質と関係者間の関係性に依存します。

契約者、被保険者、保険金受取人の各役割に注目し、受け取る保険金の種類に応じて適切な税法を適用することが必要です。

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03

生命保険と税金の関係性は非常に重要な論点となりますので、確認をしていきましょう。

①契約者A 被保険者A 受取人B ⇒相続税

②契約者A 被保険者B 受取人A ⇒所得税

②契約者A 被保険者B 受取人C ⇒贈与税

選択肢1. 契約者と被保険者が同一人である養老保険において、被保険者の相続人ではない者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。

解説の冒頭①に該当する契約となります。

受取人Bは相続人であるかどうかは関係ありません。

選択肢2. 契約者と被保険者が同一人である終身保険において、被保険者がリビング・ニーズ特約に基づいて受け取る特約保険金は、非課税となる。

リビング・ニーズ特約は非課税となります。

リビング・ニーズ特約とは、余命6か月以内と診断された場合に、死亡保険金をまだ生きている間に受け取ることが出来る特約です。(利息などが引かれて支払われます。)

選択肢3. 契約者と年金受取人が同一人である個人年金保険において、年金受取人が毎年受け取る年金は、所得税における公的年金等控除の対象となる。

個人年金保険は任意で加入できる保険であるため、”公的”年金ではありません。

そのため、公的年金等控除の対象とはなりません。

選択肢4. 契約から10年を経過した一時払養老保険を解約して契約者が受け取る解約返戻金は、所得税において総合課税の対象となる。

生命保険の解約返戻金や満期保険金は、基本的には一時所得として総合課税の対象となります。

しかし、例外がありますので、確認をしましょう。

一時払養老保険」や「一時払個人年金保険」等を契約日から5年以内に解約した場合には、

源泉分離課税となります。(差益に対し、20.315%)

一時払終身保険は5年以内に解約した場合でも、一時所得の対象となります。

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