FP2級の過去問 2023年9月 学科 問50
この過去問の解説 (2件)
不動産の採算性や収益性を評価する手法には、投資利回りやDCF分析などがあります。
不適切
DCF法とは、対象不動産から得られると期待される純収益を現在価値に割引いて計算した値で、投資の収益性を評価する方法です。
適切
NPV法とは、投資期間中に得られる年度ごとの収益を現在価値に割り引き、その正味現在価値(年度ごとに現在価値に割り引いたものの合計額―投資額)によって判断します。
不適切
NOI利回りは、(年間収入合計ー年間費用)を総投資額で割った値です。
不適切
数値が1.0を下回っているということは、収益よりも借入金の方が大きいということになります。
そのため、対象不動産から得られる収益だけで借入金を返済することができません。
不動産投資判断には、様々な手法が存在し、それぞれが投資価値の評価において重要な役割を果たします。
この問題を通じて、不動産投資に関する主要な4つの評価手法について解説し、それぞれの適切性を検討します。
不適切
収益還元法には2つの主要な手法があります。
直接還元法とDCF(Discounted Cash Flow)法です。
直接還元法は、ある一期間の純収益を還元利回りで還元して対象不動産の収益価格を求める方法です。
これに対し、DCF法は、連続する複数の期間それぞれの純利益をそれぞれに対応した割引率で割り引き、そこで求めた現在価値を合計することで収益価格を求める方法です。
直接還元法とDCF法の主な違いは、直接還元法が一期間の収益のみを対象とするのに対し、DCF法は将来予想される複数期間のキャッシュフローを分析し、それらを割り引いて収益価格を求める点にあります。
この選択肢は、対象不動産の一期間の純収益を還元利回りで還元して対象不動産の収益価格を求めると説明しており、これは直接還元法の説明にあたり不適切です。
適切
NPV(Net Present Value / 正味現在価値)法は、将来の収益を現在価値に割り引いた後、その合計から初期投資額を差し引くことで、投資の有利性を判断する手法です。
具体的には、不動産から将来にわたって得られると予想される収益を現在価値に割り引いて算出し、そこから投資にかかる総額を差し引きます。
この差額がプラスであれば、投資は収益性があると評価され、マイナスであれば投資価値がないと見なされます。
例えば、ある不動産の将来収益の現在価値が5,000万円で、その不動産への投資額が4,000万円の場合、1,000万円の正味の価値があるとされ、投資が有利であると判断されます。
逆に、同じ不動産に対して6,000万円の投資が必要な場合は、投資価値がマイナスとなり、不利な投資と判断されます。
この方法により、特定の不動産投資が将来にわたってどの程度の収益を生み出す可能性があるかを、現在の金額で評価することが可能になります。
不適切
不動産投資における収益性を評価する際には、利回りを計算することが一般的です。
その中でも、「単純利回り」と「NOI利回り(Net Operating Income / 純利回り)」は重要な指標となります。
この選択肢が誤っているのは、紹介されている計算式がNOI利回り(純利回り)ではなく、単純利回りを説明しているためです。
単純利回りは、年間の総収入額を総投資額で割ることで算出され、不動産からの収入の大まかな収益性を示します。
具体的には、
- 単純利回り = 年間の総収入 ÷ 総投資額
という計算式で表されます。
一方、NOI利回り(純利回り)は、年間の純収益(年間の総収入から諸経費を差し引いたもの)を総投資額で割ることで算出され、不動産投資から得られる実際の収益性をより正確に反映します。
計算式は、
年間の純収益 = 総収入 - 諸経費
- NOI利回り = 年間の純収益 ÷ 総投資額
で示されます。
この説明からわかるように、収入ベース(経費を考慮しない)で計算するのが単純利回り、収益ベース(経費を考慮する)で計算するのがNOI利回りということです。
この区別を理解することは、不動産投資において重要です。
不適切
DSCR(Debt Service Coverage Ratio / 借入金償還余裕率)は、不動産投資の返済能力を評価する重要な指標です。
これは、対象不動産から得られる年間のキャッシュフローが、その年に必要な元利金返済額に対してどれだけの余裕を持っているかを表します。
計算式は次の通りです。
- DSCR = 年間キャッシュフロー ÷ 年間元利金支払額
- DSCRの数値が1.0を上回る場合、不動産からの収益だけで年間の借入金返済が可能であり、返済に対する余裕があることを意味します。
- 一方で、DSCRが1.0未満の場合は、不動産からの収益だけでは借入金の返済が困難であることを示し、投資のリスクが高いと判断されます。
この選択肢が記している、対象不動産に係るDSCRの数値が1.0を下回っている場合は、対象不動産から得られる収益だけで借入金を返済することができるという表現は誤りであり、DSCRが1.0を下回る場合は返済余裕度が不足していると解釈すべきです。
不動産投資判断の手法には、将来のキャッシュフローを現在価値に割引くDCF法、投資の正味現在価値を評価するNPV法、収益ベースで計算するNOI利回り、借入金の返済能力を評価するDSCRがあります。
これらの手法を適切に理解することで、投資の収益性とリスクを正確に評価し、有利な不動産投資を行うことが可能になります。
FP2級試験では、これらの手法の正しい理解が求められます。
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