FP2級の過去問
2023年9月
学科 問60

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問題

FP技能検定2級 2023年9月 学科 問60 (訂正依頼・報告はこちら)

株式譲渡によるM&A等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問において、株式会社は非上場会社であるものとする。
  • M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。
  • M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。
  • 株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。
  • 株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。

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この過去問の解説 (3件)

01

M&Aの手法の中に「株式譲渡」があり、株式譲渡によって経営権も譲渡されます。

選択肢1. M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。

適切です。

取締役が保有していた株式を売却することにより所得税、住民税がかかります。

譲渡所得として申告分離課税で申告することになります。

選択肢2. M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。

適切です。

問題文の通り、原則として契約金額で譲渡所得の金額を計算します。

設問は非上場会社であるため、市場価格がありません。

専門家に適切な金額(会社の価値)を見積もってもらい、譲渡を実施する必要があります。

選択肢3. 株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。

適切です。

定款とは会社の基本情報や運営指針を定めた書類のことです。

相続により会社の株式が全く会社に関わりのない人に渡ってしまうことも起こりえます。

そこで、あらかじめ定款に必要に応じて会社が株式を買い取ることができる旨を定めておくことで、株式の分散を防いだり、株主総会決議などでの経営の混乱を避けたりすることに繋がります。

選択肢4. 株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。

不適切です。

株主は取締役である必要はありません。

※株式譲渡制限会社とは、株式の売買が自由にできないように、株式の譲渡をする際に株主総会もしくは取締役会の決議を必要とする会社のことをいいます。

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02

ポイントとしては、税金面、会社の仕組みについて理解しているかです。

選択肢1. M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。

適切です。この場合、譲渡所得となり、株式の譲渡なので申告分離課税となり、所得税と住民税が課されます。

選択肢2. M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。

適切です。株式の譲渡なので、「総収入金額-(取得費+譲渡費用)-負債の利子」で計算されます。

選択肢3. 株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。

適切です。株式を渡したくない人への対策として譲渡制限株式を設けている会社もあります。そして、その制度により株式を売り渡すことができるようになっています。

選択肢4. 株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。

不適切です。定款に決まりがなければ株主でなくても取締役に就任することができます。

まとめ

税金面ではある程度の知識で対応できるでしょう。

会社に関する知識としては、あまり聞きなれないことかもしれませんが覚えておく必要があります。

参考になった数1

03

株式譲渡に関する問題です。譲渡の際の税金やルールを把握しておく必要があります。

選択肢1. M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。

適切

非上場の株式の譲渡所得も、上場株式と同様に申告分離課税です。

選択肢2. M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。

適切

譲渡所得は、「譲渡価格ー必要経費」で求められます。

選択肢3. 株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。

適切

株式の分散を避けたり、適切でない人物が株主となるのを防ぐために、譲渡制限を設けることができます。

選択肢4. 株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。

不適切

株主でなくても取締役に就任することができます。

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