FP2級の過去問
2024年1月
学科 問27

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問題

FP技能検定2級 2024年1月 学科 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

ポートフォリオ理論に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • システマティック・リスクは、市場全体の変動の影響を受けるリスクであり、分散投資によっても消去しきれないリスクとされている。
  • ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値以下となる。
  • 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が-1である場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの低減)は得られない。
  • 同一期間における収益率が同じ2つのファンドをシャープ・レシオで比較する場合、収益率の標準偏差の値が小さいファンドの方が、収益率の標準偏差の値が大きいファンドよりも当該期間において効率的に運用されていたと評価することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

ポートフォリオ理論は、投資リスクを管理し、期待収益を最大化するための理論です。

この問題では、ポートフォリオ理論に関連するいくつかの基本的な概念について、適切か不適切かを判断する選択肢が提示されています。

選択肢1. システマティック・リスクは、市場全体の変動の影響を受けるリスクであり、分散投資によっても消去しきれないリスクとされている。

適切
システマティック・リスクとは、ポートフォリオ理論において分散投資によっては消去することができない市場全体のリスクです。

市場リスク、分散不能なリスクとも呼ばれ、例えば景気の悪化などが挙げられます。

これに対して、分散投資によって消去可能なリスクをアンシステマティックリスクと呼びます。

選択肢2. ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値以下となる。

適切
ポートフォリオのリスクとは、一般に、組み入れた各資産の期待収益率からのばらつきの度合いを指します。

各資産のリスクを組入比率で加重平均することにより、ポートフォリオ全体のリスクを計算します。

分散投資の効果により、ポートフォリオ全体のリスクは、個々の資産のリスクの単純な加重平均よりも低くなることが期待されます。

選択肢3. 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が-1である場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの低減)は得られない。

不適切
相関係数とは、2つの資産の値動きの関連性を示す数値です。

相関係数は-1から1の範囲で表され、次のように解釈されます。

 

相関係数が1:2つの資産は完全に同じ方向に動きます。

つまり、一方が上がるともう一方も必ず上がり、一方が下がるともう一方も必ず下がります。

 

相関係数が-1:2つの資産は完全に逆の方向に動きます。

つまり、一方が上がるともう一方は必ず下がり、一方が下がるともう一方は必ず上がります。

 

相関係数が0:2つの資産の値動きには全く関連性がありません。

 

2資産の相関係数が-1の場合、それぞれが完全に逆の動きをするため、リスクを相殺することができます。

これにより、ポートフォリオ全体のリスクを大幅に低減する効果があります。

したがって、相関係数が-1の資産を組み合わせることによって、分散投資の効果(リスクの低減)が得られないというのは誤りです。

 

選択肢4. 同一期間における収益率が同じ2つのファンドをシャープ・レシオで比較する場合、収益率の標準偏差の値が小さいファンドの方が、収益率の標準偏差の値が大きいファンドよりも当該期間において効率的に運用されていたと評価することができる。

適切
シャープ・レシオは、リスクに対するリターンの効率性を評価するための指標です。

この指標は、投資のリスク(リターンの変動)に対するリターン(一定期間での平均収益率)を比較するために使われます。

 

シャープ・レシオの計算式は以下となります。

シャープ・レシオ=(収益率−無リスク資産の収益率)÷標準偏差

 

例えば、同じ収益率を持つ2つのファンドを比較する場合、標準偏差が小さいファンドの方がリスクが低く、より効率的に運用されていると評価されます。

標準偏差が小さいということは、収益の変動が少なく安定していることを意味します。

 

収益率が同じであれば、標準偏差の値が小さいほどシャープ・レシオの数値は大きくなります。

シャープ・レシオが大きいほど、リスクに対して効率的に運用されていたと評価されます。

まとめ

ポートフォリオ理論の基本的な概念を理解することは、効果的な投資戦略を立てる上で非常に重要です。

システマティック・リスクとアンシステマティックリスクの違いや、相関係数の意味、シャープ・レシオによる評価方法などを正しく理解することで、リスクを管理し、収益を最大化するための投資判断を行うことができます。

今回の問題を通じて、これらの基本的な概念を再確認しましょう。

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02

ポートフォリオ理論に関する問題です。

選択肢1. システマティック・リスクは、市場全体の変動の影響を受けるリスクであり、分散投資によっても消去しきれないリスクとされている。

適切な選択肢

システマティック・リスクとは分散投資を行っても消しきれないリスクのことです。
市場金利の少々・下落や政府要人の発言、災害などがあります。

選択肢2. ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値以下となる。

適切な選択肢

ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率の加重平均した値となります。

選択肢3. 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が-1である場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの低減)は得られない。

不適切な選択肢

2つの資産の値動きの関係性を相関係数といい、-1から+1までの数値で表します。


相関係数が「-1」だと2つの資産は全く逆に動きリスク軽減効果が最大となり、「+1」だと同じ動きになるのでリスク軽減効果はありません

選択肢4. 同一期間における収益率が同じ2つのファンドをシャープ・レシオで比較する場合、収益率の標準偏差の値が小さいファンドの方が、収益率の標準偏差の値が大きいファンドよりも当該期間において効率的に運用されていたと評価することができる。

適切な選択肢

シャープレシオは投資の効率性を測る指標で、シャープレシオが高いほど効率が良い運用ができていることを表します。

シャープレシオの求め方は、
(ポートフォリオの収益率‐無リスク資産の収益率)÷ポートフォリオの標準偏差
となるので、収益率が同じであるならば標準偏差が小さいほどシャープレシオは大きくなるので効率の良い運用と評価できます。

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03

ポートフォリオ理論の用語を問う問題です。

基本的な問題ですが、耳慣れない用語が多いと思われます。選択肢にある用語はすべて、定義を理解しておきましょう。

選択肢1. システマティック・リスクは、市場全体の変動の影響を受けるリスクであり、分散投資によっても消去しきれないリスクとされている。

適切

問題文のとおりです。システマティック・リスクは市場すべてが影響を受けるために分散投資をしてもリスク低減できません。

その逆に「アンシステマティック・リスク」とは、分散投資することでリスクを低減できるものを指します。

選択肢2. ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値以下となる。

適切

問題文のとおりです。加重平均とは、資産額の割合を重み付けして平均するということです。

選択肢3. 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が-1である場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの低減)は得られない。

不適切

相関関係が-1ということは、全く逆の相関(Aが上がればBは絶対に同じだけ下がる)という意味ですので、AとBを同じ金額購入したとすると、ポートフォリオを組成することで完全にリスクが無くなると言えます。ただしこの場合、損失はゼロになりますが、利益もゼロになってしまいますので、リターンもゼロになります。

選択肢4. 同一期間における収益率が同じ2つのファンドをシャープ・レシオで比較する場合、収益率の標準偏差の値が小さいファンドの方が、収益率の標準偏差の値が大きいファンドよりも当該期間において効率的に運用されていたと評価することができる。

適切

シャープレシオとは、リスクに比べてどれだけ収益をあげられたかを示す指標です。

(収益率-無リスク資産の収益率)÷標準偏差

で表しますので、標準偏差が小さければ、この数値は大きくなり、効率が良いと判断されます。

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