FP2級の過去問
2024年1月
学科 問28

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問題

FP技能検定2級 2024年1月 学科 問28 (訂正依頼・報告はこちら)

上場株式等の譲渡および配当等(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、NISA(少額投資非課税制度)により投資収益が非課税となる口座をNISA口座という。
  • 上場株式の配当に係る配当所得の金額について、総合課税を選択して所得税の確定申告をした場合、特定口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。
  • NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。
  • 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、所得税の確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。
  • NISA口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失の金額については、特定口座内で保有する上場株式等の配当等に係る配当所得の金額と損益通算することができない。

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この過去問の解説 (3件)

01

本問は、上場株式等の譲渡および配当等に係る税金についての知識を問う問題です。

上場株式の配当所得に対する課税方法の選択や、NISA口座の特性を正確に把握していることが求められます。

選択肢1. 上場株式の配当に係る配当所得の金額について、総合課税を選択して所得税の確定申告をした場合、特定口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。

不適切

上場株式の配当所得から譲渡損失を控除するためには、申告分離課税を選択して確定申告を行う必要があります。

総合課税を選択すると、上場株式の譲渡損失は配当所得と損益通算できません。

 

配当所得を総合課税で申告する場合、他の所得(給与所得や事業所得など)と合算され、総合課税の税率が適用されますが、上場株式の譲渡損失を控除するためには、譲渡所得を分離して申告する申告分離課税が必要です。

選択肢2. NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。

適切

NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要があります。

 

株式数比例配分方式を選択すると、NISA口座内での保有株数に応じて配当金が自動的に振り分けられ、非課税扱いとなります。

他の受取方法(配当金領収証方式、登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式)では、配当金に対して課税されます。

選択肢3. 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、所得税の確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。

適切

上場株式等に係る配当所得と損益通算しても控除しきれない譲渡損失は、所得税の確定申告をすることで、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができます。

 

これは、損益通算後に残る譲渡損失を翌年度以降の譲渡所得と相殺することができるという税法上の規定です。

たとえば、今年譲渡損失が発生し、翌年に譲渡益が発生した場合、その譲渡益と繰越損失を相殺することができるため、翌年の税負担を軽減することができます。

この制度により、投資家は長期的な損益管理を行いやすくなります。

選択肢4. NISA口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失の金額については、特定口座内で保有する上場株式等の配当等に係る配当所得の金額と損益通算することができない。

適切

NISA口座で発生した譲渡損失は、他の口座(特定口座や一般口座)での譲渡所得や配当所得と損益通算することができません。

 

NISA口座の最大の特徴は、投資による利益(譲渡益や配当金)が非課税となることですが、その反面、NISA口座内での譲渡損失は他の所得と通算できないという制約があります。

したがって、NISA口座内での損失は税務上考慮されず、NISAのメリットとデメリットを理解した上で投資判断を行う必要があります。

まとめ

この問題では、上場株式等の配当および譲渡に関する税制について具体的な知識が求められました。

特に、NISA口座の配当金非課税扱いや、損益通算の方法についての理解が重要です。

特定口座とNISA口座の違いや、それぞれの口座における適切な税務処理方法を把握することで、正しい税務申告を行うための基礎知識を確認できます。

参考になった数5

02

上場株式等の譲渡・配当に係る税金に関する問題です。

選択肢1. 上場株式の配当に係る配当所得の金額について、総合課税を選択して所得税の確定申告をした場合、特定口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。

不適切な選択肢

 

上場株式の配当所得から譲渡損失を控除するためには、申告分離課税を選択して確定申告をする必要があります。

選択肢2. NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。

適切な選択肢

 

配当金の受け取り方法を株式数比例配分方式を選択しないと、NISA口座であっても配当金に税金が課せられます。

 

その他の配当金の受け取り方法に、配当金領収書方式、登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式があります。

選択肢3. 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、所得税の確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。

適切な選択肢

 

控除しきれない譲渡損失の金額は、確定申告をすることで3年間繰り越して控除することができます。

選択肢4. NISA口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失の金額については、特定口座内で保有する上場株式等の配当等に係る配当所得の金額と損益通算することができない。

適切な選択肢

 

NISA口座内で生じた譲渡損失と特定口座内で生じた譲渡損失の金額は、損益通算することはできません

参考になった数0

03

上場株式の譲渡・配当等に関する税金の問題です。

確定申告・損益通算など、非常に制度が理解しづらい部分がありますので、FP試験を受ける方は少額でも実際に株式投資をしてみることをおすすめします。NISA制度など、非常に実感を持って理解することができるようになるでしょう。

選択肢1. 上場株式の配当に係る配当所得の金額について、総合課税を選択して所得税の確定申告をした場合、特定口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。

不適切

配当所得・譲渡損失ともに「申告分離課税」方式をとって確定申告する必要があります。「総合課税」にした場合は、損益通算できなくなります。

選択肢2. NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。

適切

株式数比例配分方式以外にも配当金領収書方式、個別銘柄指定方式、登録配当金受領口座方式があります。

「株式数比例配分方式」のみが、非課税口座で保有する株式の配当が非課税口座に振り込まれますので、他の一般の株式の配当と区別ができるために非課税措置になるのです。

選択肢3. 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、所得税の確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。

適切

問題文のとおりです。確定申告による損失金額の繰り延べが3年間ということは頻出ですので必ず覚えましょう。

選択肢4. NISA口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失の金額については、特定口座内で保有する上場株式等の配当等に係る配当所得の金額と損益通算することができない。

適切

問題文のとおりです。これがNISA制度の大きな弱点であると言われています。NISA口座内でおきた譲渡利益は非課税となるかわりに、このようなデメリットもあるのですね。

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