2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年1月
問52 (学科 問52)

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問題

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)試験 2024年1月 問52(学科 問52) (訂正依頼・報告はこちら)

みなし贈与財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 負担付贈与があった場合において、受贈者の負担額が贈与者以外の第三者の利益に帰すときは、原則として、当該第三者が受贈者の負担額に相当する金額を贈与によって取得したこととなり、贈与税の課税対象となる。
  • 子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合には、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を、子が父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
  • 債務者である個人が資力を喪失して債務を弁済することが困難になり、債権者である個人から当該債務の免除を受けた場合、当該免除を受けた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額は、贈与税の課税対象とならない。
  • 離婚による財産分与により取得した財産は、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して社会通念上相当な範囲内である場合、原則として、贈与税の課税対象とならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

みなし贈与財産に関する問題は、比較的出題される範囲です。

そしてさらに、今回の選択肢はどれも覚えるべきものばかりです。

贈与や相続の場合は、誰が、誰に、どのように贈与や相続をしているかが重要になってくるので、きちんと整理しながら読んでいきましょう。

 

みなし贈与財産とは…本来は贈与によって取得してはいないが、実質的には贈与とみなされるもの。

選択肢1. 負担付贈与があった場合において、受贈者の負担額が贈与者以外の第三者の利益に帰すときは、原則として、当該第三者が受贈者の負担額に相当する金額を贈与によって取得したこととなり、贈与税の課税対象となる。

適切

負担付贈与とは、受贈者に贈与行う代わりに、一定の債務も負担させる贈与の契約のことです。

例えば「2000万円の家を相続させる代わりに、1000万円の借金も負担して」というように、負担も一緒に贈与します。

 

そして今回はの設問は、AからBへ贈与を行う代わりに、Cの借金もBへ負担させるということ。

この場合は、Cは負担もなくBが借金を返してくれるという利益を得ることができます

そのためCは、Bの負担額分の利益を受けたとみなされ、この負担額部分が贈与税の課税対象となります。

選択肢2. 子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合には、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を、子が父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。

不適切

AからBへ著しく低い価額で財産を贈与した場合は、譲渡価額とその時の通常の値段である時価との差額が贈与とみなされ、贈与税の課税対象となります。

例:通常価格1000万円の土地を100万円で贈与をした場合は、900万円の部分が贈与税の課税対象となります。

選択肢3. 債務者である個人が資力を喪失して債務を弁済することが困難になり、債権者である個人から当該債務の免除を受けた場合、当該免除を受けた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額は、贈与税の課税対象とならない。

適切

基本的には、債務(借金)の免除を受けた場合は、その免除を受けた部分に関しては利益とされるため、その部分が贈与税の課税対象となります。

しかし、社会通念上この債務(借金)を返済することが困難であると認められた場合は、贈与税の課税対象とはなりません

文章が難しく感じますが、債務を借金と置き換えたり、自分が分かりやすいように頭の中で整理しながら読むコツを掴んでおきましょう。

選択肢4. 離婚による財産分与により取得した財産は、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して社会通念上相当な範囲内である場合、原則として、贈与税の課税対象とならない。

適切

離婚に伴う、慰謝料や財産分与によって取得した財産に関しては、社会通念上相当な範囲であれば、贈与税の課税対象とはなりません。

これは婚姻中に、夫婦の協力で築いた財産とみなされるためです。

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02

みなし贈与財産とは、

本来は贈与財産ではないが贈与を受けたのと同じ効果がある財産をいいます。

選択肢1. 負担付贈与があった場合において、受贈者の負担額が贈与者以外の第三者の利益に帰すときは、原則として、当該第三者が受贈者の負担額に相当する金額を贈与によって取得したこととなり、贈与税の課税対象となる。

適切な選択肢。

贈与を受ける人に一定の債務を負担させることを条件に、

贈与することを「負担付贈与」といいます。

第三者が負担なしに利益を得た場合、

贈与者から負担相当額の贈与があったとみなされるため、

贈与税が課せられます。

選択肢2. 子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合には、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を、子が父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。

不適切な選択肢。

著しく低い価格で財産の贈与をすることを「定額授受」といいます。

この場合時価と実際に支払った金額との差額が贈与税の課税対象になります。

選択肢3. 債務者である個人が資力を喪失して債務を弁済することが困難になり、債権者である個人から当該債務の免除を受けた場合、当該免除を受けた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額は、贈与税の課税対象とならない。

適切な選択肢。

債務がある人がその債務を免除してもらった場合、

その免除してもらった金額が贈与税の課税対象になります。

ただし資力(財力・支払い能力)がなく債務の支払いが困難である部分は、

贈与税の課税対象外となります。

選択肢4. 離婚による財産分与により取得した財産は、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して社会通念上相当な範囲内である場合、原則として、贈与税の課税対象とならない。

適切な選択肢。

社会通念上相当な範囲を超える部分については、

贈与税の課税対象となります。

まとめ

この他に生命保険金・定期金の権利も、

みなし贈与財産とみなされます。

参考になった数2

03

相続・事業継承分野の贈与に関する問題です。

みなし贈与とは、贈与者と受贈者間で贈与に関する意思表示の合意がなくても、贈与があったとみなされる贈与のことをいいます。みなし贈与の場合、受贈者は受け取る意思表示をしていないので、贈与を受けた場合と同様の利益を得ているのに気づかずに、贈与税が未納となる可能性があります。

 

 

選択肢1. 負担付贈与があった場合において、受贈者の負担額が贈与者以外の第三者の利益に帰すときは、原則として、当該第三者が受贈者の負担額に相当する金額を贈与によって取得したこととなり、贈与税の課税対象となる。

適切

負担付贈与とは、受贈者が贈与を受ける代わりに負担を負う贈与契約をいいます。この負担による利益を得ることができるのは贈与者に限られず、第三者とすることも可能です。例えば、受贈者Bは、贈与者Aが所有するマンションの贈与を受ける代わりに、第三者Cに毎月10万円を支払う、といった契約が当てはまります。この第三者Cは贈与があったとみなされ、贈与税の課税対象となります。

 

選択肢2. 子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合には、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を、子が父から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。

不適切

子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合には、贈与税の課税対象となります。この際、財産の時価と支払った対価との差額が贈与額とみなされます。(国税庁HP、No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき参照)本選択肢では、「相続税評価額と支払った対価の額との差額」となっていますので、本選択肢は誤りとなります。

選択肢3. 債務者である個人が資力を喪失して債務を弁済することが困難になり、債権者である個人から当該債務の免除を受けた場合、当該免除を受けた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額は、贈与税の課税対象とならない。

適切

個人から債務の免除を受けた場合は、原則として免除された額を債務免除した人から贈与されたものとみなされます。ただし、債務者が資力の喪失により債務を弁済することが困難である場合は、その部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされません。(国税庁HP、No.4424 債務免除等を受けた場合参照)

選択肢4. 離婚による財産分与により取得した財産は、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して社会通念上相当な範囲内である場合、原則として、贈与税の課税対象とならない。

適切

離婚による財産分与によって財産を取得した場合は、贈与にあたりません。財産分与は相手からの贈与ではなく、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を分けるものであるからです。ただし下記の場合は贈与とみなされ、贈与税が課税されます。

・分与された財産額が、夫婦の共有財産の額やその他の事情を考慮しても多すぎる場合

・離婚が贈与税や相続税から免れるためだと認められた場合

まとめ

みなし贈与には、本問で出題された事例以外に、具体的に下記のようなものがあてはまります。

・契約者以外の者が保険金や解約返戻金等を受け取った場合

・不動産の名義変更を無償で行う場合

・株式(非上場)の名義変更を無償で行う場合

・債務の肩代わりをしてもらった場合

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