2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年5月
問50 (学科 問50)

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問題

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)試験 2024年5月 問50(学科 問50) (訂正依頼・報告はこちら)

不動産の投資判断手法等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • NOI利回り(純利回り)は、対象不動産から得られる年間の純収益を総投資額で除して算出される利回りであり、不動産の収益性を測る指標である。
  • NPV法(正味現在価値法)による投資判断においては、対象不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額を下回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。
  • DSCR(借入金償還余裕率)は、対象不動産から得られる収益による借入金の返済余裕度を評価する指標であり、対象不動産に係る当該指標の数値が1.0を下回っている場合は、対象不動産から得られる収益だけで借入金を返済することができる。
  • DCF法は、対象不動産の一期間の純収益を還元利回りで還元して対象不動産の価格を求める手法である。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は不動産投資の収益性に関する内容です。

不動産投資を行うときは将来的に採算が取れるかどうかを

検討しなければいけません。

その代表的な指標として投資利回りが利用されます。

これらは表面利回りや純利回り(NOI利回り)といった単純なものだけではなく、

キャッシュ・オン・キャッシュ、収益還元法などの聞きなれない方法もあります。

まずは投資利回りというものが何なのかを理解した上で

それぞれの内容を学習することをオススメします。

選択肢1. NOI利回り(純利回り)は、対象不動産から得られる年間の純収益を総投資額で除して算出される利回りであり、不動産の収益性を測る指標である。

適切

NOI利回り(純利回り)は年間収入合計から諸費用を差し引き、

総投資額で割り出す方法です。

表面利回りより正確性が高く計算できます。

計算式は以下の方法です。

 

NOI利回り(純利回り)=(年間収入合計-年間費用合計)÷投資総額×100

選択肢2. NPV法(正味現在価値法)による投資判断においては、対象不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額を下回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。

不適切

NPV法とは、

投資期間中の賃貸料などの収益を現在価値に割り戻して

初期投資額を差し引き、正味現在価値を求める方法です。

正味現在価値が投資額を上回っている場合収益の方が多いため

投資有利と判断されます。

 

※現在価値

将来受け取るお金を現在の価値に計算し直した金額のことです。

 

投資元本10万円、金利10の場合

(1年後)

=10万円÷(1+0.1)=約9.9万円

つまり1年後の10万円の価値は現在の価値で表すと9.9万円に

なるということです。

選択肢3. DSCR(借入金償還余裕率)は、対象不動産から得られる収益による借入金の返済余裕度を評価する指標であり、対象不動産に係る当該指標の数値が1.0を下回っている場合は、対象不動産から得られる収益だけで借入金を返済することができる。

不適切

DCSR(借入金償還余裕率)は借入金の返済余裕度を表して

債務返済能力の指標となります。

手元にある年間の純収益を年間元利返済額で割った比率で、

比率が高いほどに返済能力が高いと判断されます。

年間の純収益が100万円で借入金が50万円だった場合、

DCSRは2.0倍となります。

DCSRが1.0であれば純収益=返済額

となるため1.0を下回る場合は返済することが出来ません。

したがって不適切です。

選択肢4. DCF法は、対象不動産の一期間の純収益を還元利回りで還元して対象不動産の価格を求める手法である。

不適切

DCF法とは不動産から将来発生する1年の純収益と保有期間終了の転売価格を

現在価値に割り戻してその収益価格を求める方法です。

参考になった数9

02

この問題では、

不動産投資の評価手法(NOI利回り、NPV法、DSCR、DCF法)について問われています。

 

 

選択肢1. NOI利回り(純利回り)は、対象不動産から得られる年間の純収益を総投資額で除して算出される利回りであり、不動産の収益性を測る指標である。

適切です。

NOI利回りは、税金や修繕費等を差し引いた純粋な収益性を示します。

 

純利益(年間収入-必要経費)÷総投資額」で求めます。

 

数字が大きい程、利益が大きくなります。

選択肢2. NPV法(正味現在価値法)による投資判断においては、対象不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額を下回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。

不適切です。

NPV法は、「不動産の収益(現在価値)」と「初期投資額」を比べ、

その投資が有利かどうか判定する方法です。

 

現在価値>投資額であれば有利となります。

問題文は投資額を下回っているため、不利な投資になります。

 

 

 

選択肢3. DSCR(借入金償還余裕率)は、対象不動産から得られる収益による借入金の返済余裕度を評価する指標であり、対象不動産に係る当該指標の数値が1.0を下回っている場合は、対象不動産から得られる収益だけで借入金を返済することができる。

不適切です。

DSCRは、借入金の返済能力指標です。

現在の家賃収入で返済ができるかどうか?考えることができます。

 

「年間純収益÷年間返済額」で求めます。

 

DSCRが1.0未満の場合、収益が返済額を下回ることを意味します。

そのため、収益だけでは返済が出来ません。

 

選択肢4. DCF法は、対象不動産の一期間の純収益を還元利回りで還元して対象不動産の価格を求める手法である。

不適切です。

DCF法は、複数年の純収益と売却価格を、現在価値に割り戻して評価する方法です。

 

問題文は、一期間の純収益で計算する「直接還元法」の説明になっています。

参考になった数1

03

不動産の投資判断手法・鑑定評価方法・投資分析に関する問題は頻出ですが、覚えにくい範囲でもあります。

方法がたくさん出てくるので、混同しないようにしましょう。

また実技では計算させる問題もあるので、そちらも注意しながら覚えていくべき範囲です。

選択肢1. NOI利回り(純利回り)は、対象不動産から得られる年間の純収益を総投資額で除して算出される利回りであり、不動産の収益性を測る指標である。

適切

NOI利回りとは純利回りのことで、年間収入の合計から諸経費を除いた金額を、総投資額で割ることで計算ができます。

このNOI利回りは不動産の採算性・収益性を測る指標の1つです。

NOI利回りは計算問題が出題されることもあるため、以下の計算式も覚えておきましょう。

 

NOI利回り(%)=

 

  年間収入ー諸経費    ✕100

総投資額(自己資金+借入金)

選択肢2. NPV法(正味現在価値法)による投資判断においては、対象不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額を下回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。

不適切

NPV法とは、不動産投資の分析手法の1つです。

不動産投資が有効かどうかを分析する一般的な手法として、収益還元法のうちの1つであるDCF法が用いられています。

そしてそのDCF法には、NPV法とIRR法があります。

 

NPV法とは、不動産の賃料などの収益の現在価値の合計から、投資した額の現在価値の合計を差し引いて判断をします。

その差額がプラスであれば、該当不動産には投資価値があるとみなされます。

 

原価法・取引事例比較法・収益還元法・直接還元法・DCF法は、不動産の鑑定評価をする際に用いられる方法です。

鑑定評価方法を用いて、該当不動産の投資が有効かを判断するのがNPV法とIRR法です。

細かいですが、どれが出題されてもおかしくないので、混同しないように覚えていきましょう。

選択肢3. DSCR(借入金償還余裕率)は、対象不動産から得られる収益による借入金の返済余裕度を評価する指標であり、対象不動産に係る当該指標の数値が1.0を下回っている場合は、対象不動産から得られる収益だけで借入金を返済することができる。

不適切

DSCR(借入金償還余裕率)とは、対象不動産から得られる賃料などの収益によって、借入金の返済する際にどれだけカバーできるのかを評価する指標です。

計算式は以下の通りです。

 

DSCR(借入金償還余裕率)(単位:倍)

 

   年間純利益(NOI) 

=年間返済額(元金+利息)

 

年間純利益(NOI)が1万円で、年間返済額が1万円の場合は単位が1倍となります。

一方、年間純利益(NOI)が5万円で、年間返済額が1万円の場合は単位は5倍となります。

よって数値が大きい方が、対象不動産から得られる収入だけでも借入金の返済に余裕ができることになります。

選択肢4. DCF法は、対象不動産の一期間の純収益を還元利回りで還元して対象不動産の価格を求める手法である。

不適切

DCF法は、不動産の鑑定評価方法である収益還元方法のうちの1つです。

不動産が将来生み出すであろう賃料収入などの収益を、現在価値に割り戻して求める方法を収益還元方法といいます。

そのうち、不動産から将来的に継続して生まれる純収益と売却価格を求めて、現在価値に割り戻した金額を合計して評価額を求める方法をDCF法と言います。

設問の説明は、直接還元法の説明です。

 

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