2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年5月
問52 (学科 問52)

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問題

FP技能検定2級 2024年5月 問52(学科 問52) (訂正依頼・報告はこちら)

相続時精算課税制度(以下「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 本制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律25%である。
  • 本制度において、贈与者および受贈者の年齢が適用要件を満たすかどうかは、贈与があった年の1月1日現在の年齢で判定する。
  • 本制度の適用を受けることを選択した場合、その選択をした年分以後、その選択に係る贈与者から贈与により取得した財産については、暦年課税に変更することができない。
  • 本制度の選択に係る贈与者が死亡した場合における相続税額の計算上、相続税額からすでに納めた本制度に係る贈与税相当額を控除してもなお控除しきれない金額は、相続税の申告により還付を受けることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

不適切な選択肢を選ぶ問題です。

 

親世代の保有している財産を子世代に移転する際に、あらかじめ贈与税を軽減して贈与をしておき、その後の相続時に贈与分と相続分を合算して相続税を計算する制度を「相続時精算課税制度」といいます。

 

本制度の適用対象者の範囲は、贈与年の1月1日時点での年齢が、贈与者であれば「満60歳以上の父母または祖父母」、受贈者であれば「満18歳以上の推定相続人(現時点での法定相続人)である子(養子も含む)または満18歳以上の孫」に限られ、本制度を利用して贈与をした場合、贈与財産の合計が2,500万円までは非課税となり、非課税枠を超える部分については一律20%が課税されます。

 

また、本制度の選択に係る贈与者が死亡した場合には、本制度を利用してすでに納めた贈与税相当額を相続税額から控除し、控除しても控除しきれない金額については相続税の申告により還付を受けることができます

 

なお、一度でも本制度を適用した場合、その選択に係る贈与者から贈与により取得した財産については暦年課税に戻すことができなくなるので注意しましょう。

 

選択肢1. 本制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律25%である。

相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は一律20%です。

 

選択肢の内容は不適切なので、この選択肢が正解です。

選択肢2. 本制度において、贈与者および受贈者の年齢が適用要件を満たすかどうかは、贈与があった年の1月1日現在の年齢で判定する。

相続時精算課税制度において、贈与者および受贈者の年齢が適用要件を満たすかどうかは、贈与があった年の1月1日現在の年齢で判定します。

 

選択肢の内容は適切なので、この選択肢は間違いです。

選択肢3. 本制度の適用を受けることを選択した場合、その選択をした年分以後、その選択に係る贈与者から贈与により取得した財産については、暦年課税に変更することができない。

相続時精算課税制度の適用を受けることを選択した場合、その選択をした年分以後、その選択に係る贈与者から贈与により取得した財産については暦年課税に変更することができません

 

選択肢の内容は適切なので、この選択肢は間違いです。

選択肢4. 本制度の選択に係る贈与者が死亡した場合における相続税額の計算上、相続税額からすでに納めた本制度に係る贈与税相当額を控除してもなお控除しきれない金額は、相続税の申告により還付を受けることができる。

相続時精算課税制度の選択に係る贈与者が死亡した場合における相続税額の計算上、相続税額からすでに納めた本制度に係る贈与税相当額を控除してもなお控除しきれない金額は、相続税の申告により還付を受けることができます

 

選択肢の内容は適切なので、この選択肢は間違いです。

まとめ

したがって、答えは「本制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律25%である」です。

参考になった数3

02

本制度を選択すると、

贈与時点では特別控除額2,500万円と基礎控除額110万円までを、

非課税で贈与を受けられます。

その後、贈与者が亡くなって相続が発生した時点で、

本制度に係る贈与財産と相続財産を合算して、相続税額を算出します。

 

この相続税額から、

既に納めた本制度に係る贈与税相当額を控除した金額が、

納める相続税額になります。

 

適用対象者には年齢要件があり、

贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、

贈与税の申告書に加えて、相続時精算課税選択届出書を

受贈者の居住地の所轄税務署に提出する必要があります。

選択肢1. 本制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律25%である。

本制度を選択すると、贈与財産の合計2,500万円までが非課税です。

これとは別に、毎年110万円までが非課税になる基礎控除枠もあります。

 

これらの金額を超えた部分に対して、一律で20%の税率が適用されます。

 

よって誤りです。

選択肢2. 本制度において、贈与者および受贈者の年齢が適用要件を満たすかどうかは、贈与があった年の1月1日現在の年齢で判定する。

本制度を選択できる場合の年齢は、

 

●贈与者:60歳以上の父母または祖父母

●受贈者:18歳以上の者のうち、推定相続人である子や孫

 

と定められており、年齢は贈与の年の1月1日現在のものです。

 

よって正しいです。

選択肢3. 本制度の適用を受けることを選択した場合、その選択をした年分以後、その選択に係る贈与者から贈与により取得した財産については、暦年課税に変更することができない。

本制度を選択した場合、同じ贈与者から贈与を受ける財産については、

その選択をした年分以降すべて本制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。

 

よって正しいです。

選択肢4. 本制度の選択に係る贈与者が死亡した場合における相続税額の計算上、相続税額からすでに納めた本制度に係る贈与税相当額を控除してもなお控除しきれない金額は、相続税の申告により還付を受けることができる。

本制度を選択した受贈者においては、相続発生時に算出した相続税額から、

控除しきれない本制度に係る贈与税相当額については、

相続税の申告をすることにより還付を受けられます。

 

よって正しいです。

まとめ

本制度は、納税者が選択することで、

贈与税と相続税を通じた課税が行われる制度です。

 

贈与税納税時から相続税納税時までの流れに加えて、

非課税枠の金額や税率、適用年齢などの数字を正確に覚えましょう。

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03

 相続時精算課税とは届け出た贈与者(特定贈与者)からの贈与については、

累計2,500万円までを贈与税非課税とし、

相続発生時に他の相続財産と合わせて清算して課税する制度です。

 2024年1月からの改正で、各年の贈与額に対し110万円までの基礎控除が認められ、

年110万円までの贈与ならば贈与税がかからず、

相続税への足し戻しも不要になりました。

 ただしこの制度を受けるには贈与のあった年の翌年の贈与税申告期限内に、

本制度を選択する旨の届出書を提出する必要があります。

また一旦この制度の適用を選択した特定贈与者からの以降の贈与は

全て本制度の適用となり変更することはできません。

選択肢1. 本制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律25%である。

不適切。

本制度では、特定贈与者からの贈与額から基礎控除額を控除した後の残額の累計が2,500万円を超えた場合、超えた額に一律20%の贈与税が課されます。

選択肢2. 本制度において、贈与者および受贈者の年齢が適用要件を満たすかどうかは、贈与があった年の1月1日現在の年齢で判定する。

適切。

この制度の贈与者(特定贈与者)は贈与がある年の1月1日時点で60歳以上の父母または祖父母、受贈者は1月1日時点で18歳以上で贈与者の子か孫に限られます。

選択肢3. 本制度の適用を受けることを選択した場合、その選択をした年分以後、その選択に係る贈与者から贈与により取得した財産については、暦年課税に変更することができない。

適切。

一旦この制度を選択すると、その年分以降に特定贈与者から受ける贈与は全て相続時精算課税制度が適用され、変更することはできません。

選択肢4. 本制度の選択に係る贈与者が死亡した場合における相続税額の計算上、相続税額からすでに納めた本制度に係る贈与税相当額を控除してもなお控除しきれない金額は、相続税の申告により還付を受けることができる。

適切。

本制度の贈与者の相続が発生した際に、

本制度を適用した贈与財産も含めて改めて相続税額を計算します。

そして算出された相続税額から既に本制度で納めた贈与税額を控除した額が、

納付すべき相続税額となります。

算出された相続税額よりも納付済みの贈与税額が過大となる場合は、

差額の還付を受けることができます。

まとめ

相続時精算課税制度の特長は、

暦年課税制度との相違点も含めて、きちんと押さえるようにしましょう。

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