2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年9月
問15 (学科 問15)

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問題

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)試験 2024年9月 問15(学科 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

法人を契約者(=保険料負担者)とする生命保険等に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2024年4月に締結したものとする。
  • 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して法人が受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。
  • 被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。
  • 被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
  • 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題では、契約者を法人とする生命保険などに係る保険料の経理処理に関する記述が不適切の文章を選択します。

選択肢1. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して法人が受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。

不適切です。

今回の場合、全額が益金とはなりません。これまで支払った保険料は資産計上されるのでそれを取り崩し、受け取った解約返戻金との差額は雑収入(益金)として計上します。

選択肢2. 被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。

適切です。前期払いの医療保険の保険金は資産計上額がないので、受け取った給付金の全額が益金として算入されます。

選択肢3. 被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。

適切です。

養老保険で死亡保険金受取人と満期受取人がともに法人の場合、将来の保険金の受取人は必ず法人となります。貯蓄性が高い商品となっており、保険料の全額を保険金積立金として資産計上します。

選択肢4. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

適切です。

法人契約における定期保険で期間が3年以上のものは、最高解約返戻率を基準として資産計上割合と損金計上割合が変化します。最高解約返戻率が60%の場合、50%超70%以下の区分となり、保険期間の前半4割期間は支払保険料の40%を資産計上し、残りの60%を損金に算入します。

最高解約返戻率当初の仕訳期間資産計上割合

50%以下または

解約期間3年未満

経過期間に応じて

支払保険料の全額を

損金算入

50%超70%以下前半4割期間

支払保険料の40

を資産計上

残りの60%を損金算入

70%超85%以下

支払保険料の60

を資産計上

残りの40%損金算入

85%超当初10年間

支払保険料

×最高解約返戻率×90

を資産計上

残りを損金算入

11年目以降、

最高解約返戻率の期間最終日まで

支払保険料

×最高解約返戻率×70

を資産計上

残りを損金算入

まとめ

法人保険契約の保険料の経理処理に関する問題はFP2級の問題の中でも難しいです。被保険者が役員、死亡保険受取人が法人である終身保険を解約した場合、法人が受け取った解約返戻金は全額益金となりませんので気を付けましょう。

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02

この問題は生命保険の法人契約の経理処理について問われています。保険料支払い時、保険金や解約返戻金受取時などの経理処理のパターンを理解しましょう。

 

選択肢1. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して法人が受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。

不適切です。

解約返戻金を受け取る場合、資産計上額があれば取り崩し、その差額を雑収入として益金に算入します。設問は全額を益金の額に算入する、とありますので誤りです。

選択肢2. 被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。

適切です。

設問のとおりです。医療保険について受取人が法人の場合は受け取った入院給付金や手術給付金は全額益金の額に算入されます。

選択肢3. 被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。

適切です。

養老保険の保険料を法人が受け取った場合は契約形態によって経理処理が以下のように異なります。

契約者被保険者保険金受取人経理処理
法人役員・従業員法人資産計上
法人役員・従業員役員・従業員の遺族損金算入

従って設問の場合は被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人になるので全額資産計上となります。

選択肢4. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

適切です。

定期保険の税務処理は解約返戻率によって異なります。

最高解約

返戻率

50%超

70%以下

70%超

85%以下

85%超

資産計上

割合

40%60%

1~10年目

最高解約返戻率×90%

11年目以降

最高解約返戻率×70%

損金算入

割合

60%40%100-資産計上割合

従って設問の場合は適切になります。

まとめ

法人契約の経理処理については、仕分けのルールも含めて確実に理解しておきたい論点です。様々な経理処理のパターンを理解しましょう。

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03

法人保険の経理処理について問われています。

 

原則として、貯蓄性がある保険は資産として計上、掛け捨て保険は損金として計上することを確認しておきましょう。

 

定期保険、解約返戻金の処理には注意が必要です。

選択肢1. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して法人が受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。

不適切です。

全額が益金ではありません

資産計上していた額との差額を、益金として処理します

 

解約返戻金を受け取る際には、資産として計上していた保険積立金を、取り崩す作業が必要になります。

 

そのため、解約返戻金のうち、資産として処理されていた部分は益金に算入しません

選択肢2. 被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。

適切です。

入院給付金および手術給付金は、契約者・受取人が法人の場合、全額益金となります

 

これは、法人が保険契約にて得た収入とみなされるためです。

選択肢3. 被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。

適切です。

養老保険の保険料は、契約者・受取人が法人の場合全額資産に計上します。

 

養老保険は貯蓄性が高い商品であるためです。

選択肢4. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

適切です。

定期保険の経理処理は、解約返戻率によって方法が変わります。

 

50%以下の場合は、全額を損金として計上します。

 

50%超の場合は、一部を資産として計上します。

 

最高解約返戻率資産計上期間資産計上割合
50%超70%以下前半4割期間40%資産 60%損金
70%超85%以下60%資産 40%損金

 

 

まとめ

解約返戻金の受け取りは、全額益金とならないので注意が必要です。

 

定期保険の経理処理は、単純でないため、要点をおさえておきましょう。

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