2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年9月
問56 (学科 問56)

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問題

FP技能検定2級 2024年9月 問56(学科 問56) (訂正依頼・報告はこちら)

民法における配偶者居住権に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していなかった場合であっても、当該建物について配偶者居住権を取得することができる。
  • 被相続人の財産に属した建物について、被相続人が相続開始の時に被相続人の配偶者以外の者と共有していた場合、被相続人の配偶者は、当該建物について配偶者居住権を取得することができない。
  • 配偶者居住権を取得した配偶者は、配偶者居住権の目的となっている建物の所有者の承諾を得たうえで、第三者に当該建物の使用または収益をさせることができる。
  • 配偶者居住権の目的となる建物の全部が滅失して使用および収益をすることができなくなった場合、配偶者居住権は消滅する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、FP2級試験の「相続・事業継承」の問題です。
FPは、顧客の相続対策をサポートする立場として、配偶者居住権の仕組みや適用条件を正しく理解しておく必要があります。
配偶者居住権とは、相続発生後も被相続人(亡くなった人)の所有していた建物に住み続けることができる権利です。この権利は、配偶者の生活を守るために創設された制度で、特定の要件を満たす場合に認められます。
配偶者居住権が取得できる条件や、権利消滅要件、使用や収益の可否などが問われるため、違いをしっかり押さえておきましょう。

選択肢1. 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していなかった場合であっても、当該建物について配偶者居住権を取得することができる。

不適切
配偶者居住権を取得するためには、「相続開始時点でその建物に住んでいたこと」が要件となります。(民法1028条)
この制度は、配偶者が相続後も住み慣れた家に住み続けられるようにするための仕組みです。そのため、被相続人が所有していた建物であっても、相続開始時に配偶者が居住していない場合は、配偶者居住権を取得できません。
「相続開始時に住んでいなくても取得できる」という記述は不適切です。

選択肢2. 被相続人の財産に属した建物について、被相続人が相続開始の時に被相続人の配偶者以外の者と共有していた場合、被相続人の配偶者は、当該建物について配偶者居住権を取得することができない。

適切
配偶者居住権は、被相続人が単独所有していた建物に対してのみ認められる権利です。そのため、被相続人が建物を他の人(相続人に限らず)と共有していた場合、配偶者居住権の取得できません。
「共有状態の建物には配偶者居住権が認められない」という記述は適切です。

選択肢3. 配偶者居住権を取得した配偶者は、配偶者居住権の目的となっている建物の所有者の承諾を得たうえで、第三者に当該建物の使用または収益をさせることができる。

適切
配偶者居住権は、あくまでも「居住する権利」であり、所有権とは異なります。
そのため、基本的には配偶者本人が住むための権利であり、自由に第三者に貸したり収益を得たりすることはできません。しかし、建物の所有者(所有権を持つ相続人など)の承諾があれば、第三者に貸し出すことも可能です。これは、建物の管理権限が所有者にあるため、所有者の判断を尊重する仕組みになっているからです。
「所有者の承諾があれば、第三者に使用・収益をさせることができる。」という記述は適切です。

選択肢4. 配偶者居住権の目的となる建物の全部が滅失して使用および収益をすることができなくなった場合、配偶者居住権は消滅する。

適切
配偶者居住権は、配偶者が亡くなるか、または建物が亡くなった場合に消滅します。(民法1036条)
例えば、火災や地震などで建物が完全に滅失し、住むことができなくなった場合、配偶者居住権も消滅します。ただし、建物が部分的に損壊した場合は修繕すれば済めるため、居住権が消滅するわけではありません。
「建物が滅失した場合、配偶者居住権が消滅する」という記述は適切です。

まとめ

この問題では、配偶者居住権の取得条件や制限、消滅要件についての理解が問われています。配偶者居住権は、配偶者が亡くなった後も同じ住居に住み続けられるようにするための権利で、一定の要件を満たす場合に認められます。

 

✅取得には「相続開始時にその建物に住んでいたこと」が必要で、別居していた場合は認められません。
✅適用されるのは被相続人が単独で所有していた建物のみで、共有建物には適用されません。
✅配偶者居住権は所有権ではなく「住む権利」なので、自由に貸し出すことはできないが、所有者の承諾があれば可能です。
✅建物が滅失(全壊)した場合、配偶者居住権も消滅します。

 

配偶者の生活を守るための重要な制度なので、試験でも頻出テーマです。
適用条件や制限を正しく理解しておきましょう。

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02

配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった際に残された配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合、一定の条件に該当するときに、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利のことです。

 

選択肢1. 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していなかった場合であっても、当該建物について配偶者居住権を取得することができる。

不適切

上記説明の通り、配偶者居住権を取得するには相続開始の時に居住していた場合という要件があります。

選択肢2. 被相続人の財産に属した建物について、被相続人が相続開始の時に被相続人の配偶者以外の者と共有していた場合、被相続人の配偶者は、当該建物について配偶者居住権を取得することができない。

適切

被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合(例えば子と同居していた場合)にあっては、配偶者居住権は取得できません。(民法1028条1項ただし書)

 

選択肢3. 配偶者居住権を取得した配偶者は、配偶者居住権の目的となっている建物の所有者の承諾を得たうえで、第三者に当該建物の使用または収益をさせることができる。

適切

民法1032条3項にて、「居住建物の所有者の承諾を得なければ、~略~ 居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。」と明記があります。逆をいえば、所有者の承諾があれば、建物の使用または収益をさせることができます。例えば、第三者への建物を貸して賃料を得たりすることも可能です。

選択肢4. 配偶者居住権の目的となる建物の全部が滅失して使用および収益をすることができなくなった場合、配偶者居住権は消滅する。

適切

配偶者居住権は下記の場合に消滅します。

①期間を定めたときは、期間が満了する時

②配偶者が死亡した時

③居住建物の全部が滅失その他事由により使用及び収益することができなくなった時

本選択肢は③に該当するため、適切となります。

まとめ

昨今は、社会の高齢化や長寿化から、夫婦の一方が亡くなり残された配偶者が長期間にわたり生活を継続する事が増えました。そんな配偶者の居住権を守り、明確にするため、民法の配偶者居住権は令和2年4月1日に施行されています。

なぜその条文ができたのかを理解しておくと、問題が解きやすくなります。

 

 

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