行政書士の過去問
平成27年度
法令等 問6

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問題

行政書士試験 平成27年度 法令等 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。
※地方議会議員の出席停止処分について、1960年の「司法審査の対象外である」との判例がありましたが、2020年(令和2年)に「司法審査の対象になる」との判決が言い渡され、判例が変更されました。
 この設問は、平成27年(2015年)に出題されたものですので、上記変更は反映されておりません。
  • 具体的な権利義務ないしは法律関係に関する紛争であっても、信仰対象の価値または教義に関する判断が前提問題となる場合には、法令の適用による解決には適さず、裁判所の審査は及ばない。
  • 大学による単位授与行為(認定)は、純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断にゆだねられるべきものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有すると認めるにたる特段の事情がない限り、裁判所の審査は及ばない。
  • 衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埒外にあり、裁判所の審査は及ばない。
  • 政党の結社としての自律性からすると、政党の党員に対する処分は原則として自律的運営にゆだねるべきであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限りは、裁判所の審査は及ばない。
  • 地方議会議員の出席停止処分は、除名とは異なり議員の権利行使の一時的制約にすぎず、議会の内部規律の問題として自治的措置にゆだねるべきであるから、裁判所の審査は及ばない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1 正しい

最高裁判所は 昭和56年4月7日に『訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとつており、信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関する判断は請求の当否を決するについての前提問題にとどまるものとされていても、それが訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものであり、紛争の核心となつている場合には、該訴訟は、裁判所法三条にいう法律上の争訟にあたらない。』と判断しています。裁判所は信仰対象の価値までは判断できません。

2 正しい

最高裁判所は昭和52年3月15日に『大学における授業科目の単位授与(認定)行為は、一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、司法審査の対象にならない。』と判断しています。

3 誤り

最高裁判所は 昭和35年6月8日に『直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為のごときはたとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合であつても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外にあり』と判断しています。問題文中にある『その有効無効の判断は法的に不可能である』部分が誤りになります。

4 正しい

最高裁判所は昭和63年12月20日に『政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権が及ばない。』と判断しています。

5 正しい

最高裁判所は 昭和35年10月19日に『地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰議決の適否は裁判権の外にある。』と判断しています。

よって、解答は3になります。

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02

1 妥当です。

信仰の対象の価値または協議に関する判断を伴うものは裁判所は審査しません。

2 妥当です。

単位授与は大学の自治内に関するので裁判の審査対象には及びません。

3 妥当ではありません。

高度に政治性を伴う国家行為は法律上判断が可能であっても、審査権が及ばないことがあります。

4 妥当です。

政党の自律性が尊重されている。原則、政党党員の処分は裁判所の審査は及びません。

5 妥当です。

問題文2と3同様、この場合も裁判所の審査は及びません。あくまでも議員の出席停止処分は内部規律の問題です。

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03

正解3

1 〇 具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、その結果信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断は請求の当否を決するについての前提問題であるにとどまるものとされてはいるが、訴訟の帰すうを左右するものと認められ、訴訟の争点及び当事者の主張立証も右の判断に関するものがその核心となつている場合、法律上の争訟にあたりません。
*板まんだら事件

2 〇 単位授与行為は、一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯忍するに足りる特段の事情のない限り、司法審査の対象になりません。
*富山大学事件

3 × 高度の政治性を有する国家行為については、国民の判断に委ねられるべきとして司法審査が及ばないと判示しました。法的に不可能を理由とはしはしていません。
*苫米地事件

4 〇 内部的事項の場合には、団体の自治を尊重し司法審査は及びません。
*共産党袴田事件

5 〇 地方議会員にたいする出席停止は、団体内部事項であることを重視し、内部規律の問題として、司法審査は及びません。ただし、除名処分の場合は内部規律の問題に止まらず、司法審査は及びます。

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