行政書士の過去問
平成27年度
法令等 問8

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問題

行政書士試験 平成27年度 法令等 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

裁判による行政上の義務履行確保について、最高裁判所の判決に照らし、妥当な記述はどれか。
  • 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、法令の適用により終局的に解決することができないから、法律上の争訟に該当しない。
  • 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、このような訴訟を提起することを認める特別の規定が法律にあれば、適法となりうる。
  • 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、終局的には、公益を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律上の争訟には該当しない。
  • 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、行政上の義務履行確保の一般法である行政代執行法による代執行が認められる場合に限り、不適法である。
  • 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではないが、現行法上、こうした訴訟を認める特別の規定があるため、提起することが許されている。

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この過去問の解説 (3件)

01

本問は最高裁判所は平成14年7月9日にした宝塚パチンコ店建設中止命令事件に関する問題です。

1 誤り

上記判例では『国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって,自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから,法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく,法律に特別の規定がある場合に限り,提起することが許されるものと解される。』とされています。『国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟』を一括して法律上の争訟に該当しないと言い切ることは誤りです。

2 正しい

1の解説のように、『訴訟を提起することを認める特別の規定が法律にあれば』訴訟の提起が認められます。

3 誤り

上記判例では『国又は地方公共団体が提起した訴訟であって,財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には,法律上の争訟に当たるというべきである』としています。

4 誤り

1の解説のように、国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、『行政代執行法による代執行が認められる場合に限り』ではなく、『法律に特別の規定がある場合に限り,提起することが許される』とされています。

5 誤り

3の解説のように、問題文にある『法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではない』とまでは言っていません。

よって、解答は2となります。

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02

正解2

1 × 参考判例 宝塚市パチンコ条例判決
ポイントは
①国、地方公共団体が提起した訴訟は、財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には法律上の争訟にあたる
②行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく、法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許される

2 〇 上記判例の趣旨です。

3 × 上記判例の通り、財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には、法律上の争訟に当たります。

4 × 上記判例の通り、法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許されます。行政代執行法による代執行が認められる場合に限りとしている点で妥当ではありません。

5 × 上記判例の通り、財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には法律上の争訟にあたるとしています。

参考になった数6

03

正解2


1 不正解 行政権が国民に対して「行政上の義務履行を求める訴訟」は法律の上の争訟に該当しない場合があります。要件は「法令の適用により終局的に解決することが出来ない」ではなく「個人の救済を目的とするとき」です。

2 正解

3 不正解 「財産権」の主体として個人の権利利益の保護救済を目的とする際は、法律上の争訟に該当します。

4 不正解 提起することは可能です。

5 不正解 選択肢3と同様、財政権の主体として個人権利利益の保護救済を目的とする際は、法律上の争訟に該当します。

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