行政書士の過去問
平成29年度
法令等 問24

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問題

行政書士試験 平成29年度 法令等 問24 (訂正依頼・報告はこちら)

地方自治法による住民監査請求と住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
  • 地方公共団体が随意契約の制限に関する法令の規定に違反して契約を締結した場合、当該契約は当然に無効であり、住民は、その債務の履行の差止めを求める住民訴訟を提起することができる。
  • 住民訴訟によって、住民は、地方公共団体の契約締結の相手方に対し、不当利得返還等の代位請求をすることができる。
  • 住民監査請求をするに当たって、住民は、当該地方公共団体の有権者のうち一定数以上の者とともに、これをしなければならない。
  • 地方公共団体の住民が違法な公金の支出の差止めを求める住民訴訟を適法に提起した場合において、公金の支出がなされることによる重大な損害を避けるため、同時に執行停止の申立ても行うことができる。
  • 監査委員が適法な住民監査請求を不適法として却下した場合、当該請求をした住民は、適法な住民監査請求を経たものとして、直ちに住民訴訟を提起することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は5
住民の権利の中でも、住民監査請求および住民訴訟は試験に頻出の重要なテーマです。地方自治法242条、および同法242条の2を復習しておきましょう。

1× 住民訴訟とは、住民監査請求による監査の結果に不満を持つ住民による訴訟を指しますが(同法242条の2第1項)、判例では、随意契約の制限に関する法令に反する「違法な契約であつても私法上当然に無効になるものではなく」、「住民訴訟の手段によって普通地方公共団体の執行機関又は職員に対し右債務の履行として行われる行為の差止めを請求することは、許されない」(最判S62.5.19)とされました。

2× 住民訴訟は4つの類型(差止め請求、取消し・無効確認請求、怠る事実の違法確認請求、義務づけ請求)に分けられています(同法242条の2第1項1~4号)。2002年の同法改正に伴い、不当利得請求は執行機関等を被告とし、相手方に不当利得返還請求を義務付けることを求める訴訟へと再構成されました。「地方公共団体の契約相手方」に対して住民訴訟を起こすことはできませんので、本肢は誤りとなります。

3× 事務監査請には選挙権を有する者の総数の50分の1以上の署名が必要となりますが(同法57条1項)、不正が行われやすい税務会計上の行為については、住民1人でも住民監査請求を行うことができます(同法242条1項)。

4× 公職選挙法上の選挙・当選の効力に関する訴訟と同様に、地方自治法上の住民訴訟は「民衆訴訟」(行政事件訴訟法5条)に該当しますが、民衆訴訟には執行停止(同法25条)は準用されていないため、他の訴訟と同時であったか否かに関わらず、不可ということになります。

5〇 判例(最判H10.12.18)の通りです。「監査委員が適法な住民監査請求を不適法であるとして却下した場合、当該請求をした住民は、適法な住民請求を経たものとして直ちに住民訴訟を提起することができるのみならず、…(略)…再度の住民監査請求をすることも許される。」

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02

1.特段の事情がある場合に、私法上無効になるとの判例(最判昭62.5.19)がありますので、”当然に”という記述は間違いです。

2. 地方自治法242条の2 1項に代位請求の規定はありませんので間違いです。

3.住民監査請求は監査請求と違い、住民が単独で請求できますので、間違いです。

4. 地方自治法242条の2 1項に、執行停止の規定はありませんので、間違いです。

5. 記述のとおりです。
判例によりますと、直ちに住民訴訟を提起するか、再度住民監査請求をすることもできます。(最判平10.12.18)

よって、5が正解です。

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03

1.法令に違反した契約だからといって、
 民法上当然に無効とはなりません。
 
2.相手方に対する代位請求はできません。
 よってXです。

3.住民監査請求は1人でもすることができます。
 (事務監査請求と混同しないように)

4.住民訴訟で執行停止の申し立てはできません。
 
5.正解の選択肢です。

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