行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問19
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問題
行政書士試験 平成30年度 法令等 問19 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章は、行政事件訴訟法の定める差止訴訟に関する最高裁判所判決の一節である。空欄A〜Dに当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[ A ]を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に[ B ]等を提起して[ C ]の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・第1審原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を[ D ]受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定し難い。また、上記騒音は、本件飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを[ D ]受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う[ B ]等による救済になじまない性質のものということができる。(最一小判平成28年12月8日民集70巻8号1833頁)
A ア:重大な損害 イ:回復の困難な損害
B ア:民事訴訟 イ:取消訴訟
C ア:仮処分 イ:執行停止
D ア:一時的にせよ イ:反復継続的に
行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[ A ]を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に[ B ]等を提起して[ C ]の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・第1審原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を[ D ]受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定し難い。また、上記騒音は、本件飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを[ D ]受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う[ B ]等による救済になじまない性質のものということができる。(最一小判平成28年12月8日民集70巻8号1833頁)
A ア:重大な損害 イ:回復の困難な損害
B ア:民事訴訟 イ:取消訴訟
C ア:仮処分 イ:執行停止
D ア:一時的にせよ イ:反復継続的に
- [ A ]ア [ B ]ア [ C ]ア [ D ]ア
- [ A ]ア [ B ]ア [ C ]イ [ D ]ア
- [ A ]ア [ B ]イ [ C ]イ [ D ]イ
- [ A ]イ [ B ]ア [ C ]ア [ D ]イ
- [ A ]イ [ B ]イ [ C ]イ [ D ]イ
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この過去問の解説 (4件)
01
行政事件訴訟法の定める差止め訴訟に関する設問であり、判決は自衛隊機運航差止請求訴訟(最判H28.12.8)のものです。読解力があれば、知識がなくとも回答が絞れます。
行政事件訴訟法37条の4第1項を引用します。「差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。」
A 同項の通り、「『重大な損害』を生ずるおそれ」」が必要な要件となります。
B・C また、重大な損害を生ずるおそれがあると認められるためには、「処分がされた後に『取消訴訟』等を提起して『執行停止』の決定を受けることにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。」と判事されています。
D 「睡眠妨害、聴取妨害又は精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を『反復継続的に』受けており、…(略)…これを『反復継続的に』受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う『取消訴訟』等による救済になじまない性質のものということができる。」蓄積していくという表現から、一時的ではなく反復的なものであると推測できます。
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02
行政事件訴訟法第37条の4に法定された
抗告訴訟の一種です。
本問は一見判例について問うているように見えて、
その実取消訴訟や差止訴訟の概要について
問うている比較的易しい問題といえます。
A
ア:「重大な損害」の語が入ります。
法第37条の4第1項は、
「差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより
重大な損害を生じる恐れがある場合に限り、
提起することができる。
ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、
この限りではない。」
と定めています。
上述の通り、
訴訟要件として「重大な損害が生じる恐れがある」
ことが法定されています。
B
イ:「取消訴訟」の語が入ります。
行政「処分」の違法に対しては、
民事訴訟ではなく行政事件訴訟法に基づく
取消訴訟を提起してその取り消しを求めることになります。
C
イ:「執行停止」の語が入ります。
取消訴訟の仮の救済処分としては、
執行停止の制度が法定されています。(法第25条)
行政事件訴訟制度は、
取消訴訟の認容判決が出るまでは執行を停止しない
(執行不停止)が原則ですが、
法25条の枠の中で、この原則の例外が認められます。
執行停止の制度があることに対応して、
法第44条に民事保全法に規定する仮処分申請を
排除する規定があります。
D
イ:「反復継続的に」の語が入ります。
法第25条2項は、
「処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害」を避けるために、
執行停止がなされると定めています。
すると、「重大な損害」を認定するには、
一時的な被害ではなく、反復継続的な被害が
必要であると解せられます。
以上より、本問は肢4が正答となります。
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03
差止訴訟は「重大な損害」が提訴要件となっています。
B:イ 取消訴訟
C:イ 執行停止
差止訴訟は「重大な損害」があり、これを回避するための他の手段がない場合に限り、認められます。
D:イ 反復継続的に
したがって、③が正解です。
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04
差止めの訴えの要件として、「重大な損害を生ずるおそれ」を必要としています(37条の4第1項)。
2.イ
3.イ
「重大な損害を生ずるおそれ」とは、処分がされたあとに取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止を命ずる方法によるものでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当です。
(最判平28.12.8)
4.イ
「重大な損害を生じるおそれ」は、反復継続的に蓄積される必要があります。
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