行政書士の過去問
令和2年度
法令等 問18

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問題

行政書士試験 令和2年度 法令等 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

行政事件訴訟法が定める出訴期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
  • 処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  • 不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  • 義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  • 差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

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この過去問の解説 (3件)

01

答え…2


1. 誤り
「処分または裁決の日」ではなく、「処分又は裁決があったことを知った日」が正しいです。

【行政事件訴訟法14条1項2項】
第十四条 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。


2. 正しい
14条3項により、正しいです。

【行政事件訴訟法14条3項】
3 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。


3. 誤り
「不作為の違法確認の訴え」に出訴期間の規定はありません。
「不作為の違法確認の訴え」に取消訴訟の出訴期間の規定(14条)は準用されていません(38条)。
不作為の状態が続いていれば、いつでも訴えを提起できます。


4. 誤り
「義務付けの訴え」に出訴期間の規定はありません。
「義務付けの訴え」に取消訴訟の出訴期間の規定(14条)は準用されていません(38条)。


5. 誤り
「差止めの訴え」に出訴期間の規定はありません。
「差止めの訴え」に取消訴訟の出訴期間の規定(14条)は準用されていません(38条)。

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02

正解.2


1.誤り
 取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6カ月、もしくは、処分又は裁決の日から1年を経過したときは提起できません(行政事件訴訟法第14条1、2項)。

 (ただし書)ただし、正当な理由があるときはこの限りではありません。

 処分又は裁決の日からは、起算して1年が出訴期間に設定されています。

2.正しい
本肢のとおりです。

 処分又は裁決につき、審査請求ができる場合において、審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、これに対する裁決があったことを知った日から6カ月を経過したとき、又は、当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができません(行政事件訴訟法第14条3項)。


3.誤り
 行政事件訴訟法第38条によると、第11条~13条、16条~19条(※以下省略)の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟に準用する、とあります。

 「不作為の違法確認の訴え」は、第3条5項に規定された抗告訴訟ですので、14条の規定は準用されません。

したがって、不作為の違法確認訴訟に出訴期間は設定されていません。


4.誤り
「義務付け訴訟」も「不作為の違法確認訴訟」と同様で、第3条6項に規定された抗告訴訟ですので、38条のとおり、準用されません。

 よって、義務付け訴訟にも出訴期間は設定されていません。


5.誤り
 「差止め訴訟」も「不作為の違法確認訴訟」や、「義務付け訴訟」と同様に、第3条7項に規定された抗告訴訟ですので、38条のとおり、14条の規定は準用されません。

 したがって、差止め訴訟にも出訴期間はありません。

参考になった数6

03

本問は出訴期間つまり、「こういう訴訟はいつまでに提起してね、ただし、正当な理由がある場合は特別だよ」という事です。

つまり、いつからいつまでの期間内に提起するという事を覚えておけば解ける問題です。

選択肢1. 処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。

処分又は裁決の取り消し訴訟は処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過すると提起できません。(行政事件訴訟法14条第1項)

又、知らなかったとしても、処分又は裁決があった日から1年を経過すると提起することができません。(行政事件訴訟法14条第2項)

ただし、正当な理由がある場合はこの限りではありません。

しかし、本記述は「処分又は裁決の日から6か月」とありますが、1年です。

よって、本記述は誤っています。

選択肢2. 処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

処分又は裁決について審査請求ができる場合において審査請求がされた場合、処分又は裁決の取り消し訴訟は、処分又は裁決があった日から1年が経過したとしても審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月又は当該裁決から1年間を経過したときはすることができません。(行政事件訴訟法14条3項)

ただし、正当な理由がある場合この限りではありません。

もし、審査請求が提起されたとしても処分又は裁決から1年が経過すれば取り消し訴訟を提起できないとすれば、審査請求の係属中にこの期間が経過してしまう恐れがあるからです。

よって、本記述は正しいです。

選択肢3. 不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

不作為の違法確認の訴えには出訴期間の定めはありません。

なぜなら、不作為の違法確認の訴えは「いつまで待たせるんだ、早くしろ」という訴訟なので、出訴期間を定めて早く提起することを求めると、「いつまで待たせる」という訳ではなくなってしまいます。

よって、本記述は誤っています。

選択肢4. 義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

義務付け訴訟は出訴期間の定めは特にありません。

例えば、Aという建物の防火設備に不備があり、行政庁が火災が起こらないように何かしらの措置を講じなければならない状態において「出訴期間が過ぎたから知らないよ、火事になろうがどうだっていい」とはならないです。

よって、本記述は誤っています。

選択肢5. 差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

差し止めの訴えは処分がされる前にあらかじめ「処分をしないでください」という事で訴訟をするものなので、出訴期間の定めは特にありません。

よって、本記述は誤っています。

まとめ

本問は出訴期間についての問題なのですが、とりあえず「知った時から6か月、知らなくても1年、ただし正当な理由がある場合はこの限りではない」ということを覚えておいてください。

ただ、不作為の違法確認の訴えや差し止め訴訟のように出訴期間の定めのないものがあったり、期間が違う場合もあるので注意してください。

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