問題
本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、( ア )の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう( イ )に当たり、適法というべきである。
もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法1条1項の適用上違法であることを前提とするものである。
普通地方公共団体の議会は、憲法の定める( ウ )に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、( エ )の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の措置が( ア )を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても、異なることはないというべきである。
したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の( ア )を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置が( エ )の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。
(最一小判平成31年2月14日民集73巻2号123頁)