行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問24
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問題
行政書士試験 令和3年度 法令等 問24 (訂正依頼・報告はこちら)
地方自治法が定める普通地方公共団体の長と議会の関係に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長は再度議会を解散することができる。
イ 普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付すことができる。
ウ 普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。
エ 普通地方公共団体の議会が成立し、開会している以上、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできない。
オ 地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。
ア 普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長は再度議会を解散することができる。
イ 普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付すことができる。
ウ 普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。
エ 普通地方公共団体の議会が成立し、開会している以上、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできない。
オ 地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。
- ア・イ
- ア・オ
- イ・エ
- ウ・エ
- ウ・オ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア.誤り。「議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。」(地自法178条2項)とされており、再度議会を解散させることができるといった規定はありません。
イ.誤り。「普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない。」(地自法176条4項)とされており、必ず再議に付す必要があります。
ウ.正しい。「普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第一項の規定にかかわらず、議長は、臨時会を招集することができる。」(地自法101条5項)とされており、条文通りの内容です。
エ.誤り。「議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。」(地自法179条1項)とされており、長は専決処分を行うことができます。
オ.正しい。「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」が存在します。
したがって、正解は5。
<参考>地方公共団体の議会の解散に関する特例法
(この法律の趣旨)第一条 この法律は、地方公共団体の議会の解散の請求に関する世論の動向にかんがみ、当該議会が自らすすんでその解散による選挙によつてあらたに当該地方公共団体の住民の意思をきく方途を講ずるため、地方公共団体の議会の解散について、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の特例を定めるものとする。
(議会の解散)第二条 地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができる。
2 前項の規定による解散の議決については、議員数の四分の三以上の者が出席し、その五分の四以上の者の同意がなければならない。
3 第一項の議決があつたときは、当該地方公共団体の議会は、その時において解散するものとする。
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02
1.地方自治法第178条2項「議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。」より、再度の不信任議決があった場合、長が失職し解散することはできません。よって誤りです。
2.地方自治法176条4項「普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない」より、再議または再選挙は普通地方公共団体の長がしなければならない義務であり、裁量ではありません。よって誤りです。
3.地方自治法101条4項より、「前二項の規定による請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から二十日以内に臨時会を招集しなければならない。」とされていますが、同条5項「第二項の規定による請求のあつた日から二十日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第一項の規定にかかわらず、議長は、臨時会を招集することができる。」とされており、議長が臨時会を招集することができます。よって正しいです。
4.地方自治法第180条1項に「普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、これを専決処分にすることができる。」と規定されています。
なお専決処分とは、地方自治法第179条より、本来議会の権限に属する事項について、ある一定の要件を満たす場合に、その地方公共団体の長が議会の議決を経ることなく決することのできる処分のことです。よって誤りです。
5.地方自治法には普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに自ら解散することを可能とする規定はありませんが、「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」が存在します。
同法規定により地方公共団体の議会は自らの議決で解散することができます。よって正しいです。
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03
この問題のポイントは、地方自治法101条2項と5項、176条4項、178条2項、179条1項、地方公共団体の議会の解散に関する特例法第2条1項の理解です。
まず地方自治法101条1項は普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の長がこれを招集するとされ、2項は議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができるとされています。
5項は第二項の規定による請求のあつた日から二十日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第一項の規定にかかわらず、議長は、臨時会を招集することができるとされています。
次に地方自治法176条4項は普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならないとされています。
地方自治法178条2項は議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失うとされています。
地方自治法179条1項は普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。ただし、第百六十二条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意及び第二百五十二条の二十の二第四項の規定による第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の総合区長の選任の同意については、この限りでないとされています。
最後に地方公共団体の議会の解散に関する特例法第2条1項は地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができるとされています。
以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。
解説の冒頭より、議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失うとされています。
よって、アは普通地方公共団体の議会による長の不信任の議決に対して、長が議会を解散した場合において、解散後に招集された議会において再び不信任が議決された場合、長はその職を失うとなります。
解説の冒頭より普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならないとされています。
よって、イは普通地方公共団体の議会の議決が法令に違反していると認めた場合、長は裁量により、当該議決を再議に付さなければならないとなります。
解説の冒頭より、普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができるとされています。
よって、ウは普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができるとなります。
解説の冒頭より、議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができるとされています。
よって、エは普通地方公共団体の議会が成立し、開会していても、議会において議決すべき事件が議決されないことを理由に、長が当該事件について処分(専決処分)を行うことはできるとなります。
解説の冒頭より、地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができるとされています。
また、地方自治法にそのような規定はないです。
よって、オは地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在するとなります。
この問題のように条文理解を問う問題は必ず出てき、また、地方議会やその長に関する問題は度々行政書士試験に出てくるので、地方自治法の地方議会やその長の部分の地方自治法の条文はしっかり読んだ方が良いでしょう。
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