行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問28
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問題
行政書士試験 令和3年度 法令等 問28 (訂正依頼・報告はこちら)
Aが従来の住所または居所を去って行方不明となった場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても、管理人は、保存行為およびその財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができる。
- Aが自己の財産につき管理人を置かなかったときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
- Aが自己の財産につき管理人を置いた場合において、Aの生死が明らかでないときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、管理人を改任することができる。
- Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪の宣告をすることができ、これにより、Aは、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。
- Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。
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この過去問の解説 (3件)
01
以下、選択肢ごとに解説します。
民法第103条において、「権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。」とされています。
次に掲げる行為とは「保存行為」と「代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」です。
よって正しいです。
民法第25条1項より「従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。」
よって正しいです。
民法第26条より「不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。」
よって正しいです。
民法第31条において「前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。」とされています。
7年間生死不明で失踪宣告を受けた場合は、7年経った時点で死亡したものとみなされます。
宣告を受けた時ではないので誤りです。
失踪宣告により死亡したものとみなされた者であっても、生存しているときの権利能力自体は消滅しません。
よって正しいです。
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02
1.正しい。「権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。一 保存行為 二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」(民法103条)とあり、権利ついて定めのない管理人はこの条文に該当するため、正しいです。
2.正しい。「従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。」(民法25条1項)とあり、条文の通りです。
3.正しい。「不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。」(民法26条)とあり、条文の通りです。
4.誤り。「不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪そうの宣告をすることができる。」(民法30条1項)とあり、前半は正しいですが、「前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。」(民法31条)とあるため、誤りです。
5.正しい。失踪宣告は、失踪者の権利能力そのものを失わせるものでないと解され、仮に、失踪者が別の場所で生存していた場合は、当然に権利能力は認められます。
よって、正解は4。
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03
この問題のポイントは民法第25条、26条、28条、31条、民法第103条の理解です。
民法第25条は従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
2 前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。
とされています。
民法第26条は不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができるとされています。
民法第28条は管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とするとされています。
民法第31条は失踪の宣告を受けた者は前条の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなすとされています。
最後に民法第103条は権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
とされています。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、権限の定めのない代理人は保存行為や代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為のみをする権限を有するとされています。
よって、Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても、管理人は、保存行為およびその財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができるとなります。
解説の冒頭より、従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができるとされています。
よって、Aが自己の財産につき管理人を置かなかったときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、その財産の管理について必要な処分を命ずることができるとなります。
解説の冒頭より、不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができるとされています。
よって、Aが自己の財産につき管理人を置いた場合において、Aの生死が明らかでないときは、利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所は、管理人を改任することができるとなります。
解説の冒頭より、失踪の宣告を受けた者は前条の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなすとされています。
よって、Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪の宣告をすることができ、これにより、Aは、7年間の期間が満了した時に死亡したものとみなされるとなります。
解説の冒頭より、失踪の宣告を受けた者は前条の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなすとされています。
ただ、失踪の宣告を受けたAが生存している場合はAに権利能力があります。
よって、Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではないとなります。
この問題のように条文知識を問う問題は必ず出るので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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