行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問32
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問題
行政書士試験 令和3年度 法令等 問32 (訂正依頼・報告はこちら)
債権者代位権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。
- 債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。
- 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。
- 債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。
- 債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.誤り。「債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。」(民法423条1項)と条文は債権者代位権をこのように定義しており、ここには債務者の取消権も含まれており、債権者も行使することができます。
2.誤り。「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。」(民法423条2項)とあり、債権者自身の弁済期が到来していいない間は、債権者代位権を原則として行使することはできません。
3.誤り。「債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。」(民法423条の3)とされ、動産の引き渡しを債権者に対して求めることができます。
4.誤り。「債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。」(民法423条の5)とされ、債権者代位権が行使されていても、債務者は自ら取立てその他の処分をすることはできます。
5.正しい。民法423条の5の通り、債務者は、債務者がほかに持つ債権を、自己に対して弁済させることができます。
よって、正解は5。
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02
1.民法第423条1項に「自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。」と規定されています。
債務者の取消権も被代位権利の為、誤りです。
2.民法第423条2項に「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。」と規定されています。
その債権とは、「債権者の(代位しようとしている)債務者に対する債権」のことなので、誤りです。
3.「債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。」(民法第423条の3)とされています。
選択肢は動産を目的としているため、自己に引き渡しを求めることができます。よって誤りです。
4.民法第423条の5に「債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。」と規定されています。
よって誤りです。
5.上記選択肢4と同じく民法第423条の5より、「債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。」
よって正しいです。
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03
この問題のポイントは民法423条、423条の3、423条の5の理解です。
まず民法423条は債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
3 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。
とされてます。
民法423条の3は債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅する。
とされてます。
民法423条の5は債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない
とされてます。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができるとされてます。
よって、債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできるとなります。
解説の冒頭より、債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができないとされてます。
よって、債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができないとなります。
解説の冒頭より、債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができるとされてます。
よって、債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできるとなります。
解説の冒頭より、債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられないとされてます。
よって、債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできるとなります。
解説の冒頭より、債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられないとされてます。
よって、債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられないとなります。
この問題のように条文知識を問う問題は必ず出るので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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