行政書士の過去問
令和4年度
法令等 問14
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問題
行政書士試験 令和4年度 法令等 問14 (訂正依頼・報告はこちら)
行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に審査請求をすることができる場合には、行政不服審査法の定める例外を除き、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。
- 行政不服審査法に基づく審査請求を審理した審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書を作成し、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。
- 法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていないと思料する者は、行政不服審査法に基づく審査請求によって、当該処分をすることを求めることができる。
- 法令に違反する行為の是正を求める行政指導の相手方は、当該行政指導が違法なものであると思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって、当該行政指導の中止を求めることができる。
- 地方公共団体の機関がする処分であってその根拠となる規定が条例に置かれているものにも行政不服審査法が適用されるため、そのような処分についての審査請求がされた行政庁は、原則として総務省に置かれた行政不服審査会に諮問をしなければならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
行政不服審査法と行政手続法の条文知識を問う問題です。
妥当ではありません
問題文から「再調査の請求」に関する規定について問われているということがわかります。
再調査に関する条文を参照すると、請求ができるのは以下の2つの条件をクリアしている場合です。
・法律に再調査の請求をすることができる定めがある
・処分に関して審査請求をしていない
問題文にある「行政不服審査法の定める例外」というのは、後半の「処分に関して審査請求をしたとき」を示しています。しかし、問題文には「法律に再調査をすることができる定めがある」の部分が入っていないため妥当な内容とは言えません。
妥当です
審理手続きについての基本的な問題です。条文がそのまま問題文になっています。
審理手続きの流れを覚えていれば、すぐにわかる問題です。
以下の2つのポイントを押さえて覚えましょう。
・「遅滞なく」と「速やかに」の使い分け
・提出するのは「審査庁がすべき裁決に関する意見書」と「事件記録」の2点
妥当ではありません
問題文の「法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていないと思料する者」が行政に対してできることは以下の2点です。
・処分を求める
・行政指導を求める
どちらも「申し出」によって求めるもので、審査請求をするものではありません。
<行政手続法36条の3>
妥当ではありません
行政指導の中止については「申し出」によって求めるもので、審査請求をするものではありません。
妥当ではありません
頻出の適用除外に関する問題です。行政手続法と行政不服審査法で混乱しがちなので気をつけましょう。
問題の前段部分は妥当な内容なのですが、行政手続法の適用除外と混同してしまっている方もいる方もいるかもしれません。
行政手続法における地方公共団体の適用除外
上記は、あくまでも行政手続法の規定であって、行政不服審査法では、地方公共団体の機関が行う処分についても、その根拠が法律にあるか条例にあるかを問わず、原則として行政不服審査法の規定が適用されます。
したがって、問題文の前段は妥当な内容です。
次に後段の、諮問機関についての内容を見ていきます。
地方公共団体は諮問を行うために執行機関の附属機関として第三者機関を設置しなければなりません。
<行政不服審査法81条>
諮問先は「総務省の行政不服審査会」ではなく、地方公共団体に置かれた機関であるため、後段の記述が妥当ではないことがわかります。
基本的な知識があれば解ける問題ではありますが、行政手続法と行政不服審査法の規定を合わせて出題しているものなので知識が混ざらないように整理しておきましょう。
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02
行政不服審査法とは、行政庁の違法又は不当な処分に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続きの下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度で、国民の権利利益の救済と行政の適正な運営を確保することを目的としています。
妥当ではありません。
再調査の請求ができるのは、法律に再調査の請求をすることができる定めがないと請求できません。(行政不服審査法第5条)
妥当です。
審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書を作成し、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければなりません。(行政不服審査法第42条)
妥当ではありません。
審査請求は、行政庁の処分に不服のある者が申立を行います。
法令違反事実があったとしても、その是正のためにされるべき処分がされていないと思料のみで行政不服審査法に基づく審査請求をすることはできません。
当該処分庁又は当該行政指導を行う機関に申し出て、当該処分または行政指導を求めることができます。
妥当ではありません。
行政指導の中止の求めは、行政不服審査法に基づく審査請求によってではなく、当該行政指導をした行政機関に対し申し出て当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができるとされています。
妥当ではありません。
行政不服審査法は、その根拠が法律または条令いずれであっても、地方公共団体が行う処分については行政不服審査会に相当する機関を置くことが義務付けられています。
行政不服審査法は、行政事件訴訟法との区別がよく出題されます。行政不服審査法は、違法かどうかだけでなく、その処分が不当かどうかも審査法対象となることが特徴です。
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03
行政不服審査法の規定に関する出題です。
行政不服審査法5条1項により、「行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について一定の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。」とされます。
つまり、「行政不服審査法の定める例外を除き」という部分が、妥当ではありません。
行政不服審査法41条3項により、「審理員が一定の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに次条1項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。同条2項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。」とされ、同法42条1項により、「審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書という。)を作成しなければならない。」とされ、同条2項により、「審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。」とされるので、妥当です。
行政不服審査法2条により、「行政庁の処分に不服がある者は、一定の規定の定めるところにより、審査請求をすることができる。」とされ、行政手続法36条の3第1項により、「何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。」とされ、最高裁判所判決昭和53年3月14日で、判事事項により、「①不当景品及び不当表示防止法10条6項にいう「1項の規定による公正取引委員会の処分について不服があるもの」の意義、➁不当景品類及び不当表示防止法の規定にいう一般消費者と公正取引委員会による公正競争規約の認定に対する同法10条6項に基づく不服申立の利益。」とされ、裁判要旨により、「 ①不当景品類及び不当表示防止法10条6項にいう「1項の規定による公正取引委員会の処分について不服があるもの」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう、➁不当景品類及び不当表示防止法の規定にいう一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定に対し同法10条6項の規定に基づく不服申立をする法律上の利益を有するとはいえない。」とされます。
つまり、「その是正のためにされるべき処分がされていないと思料する者は、行政不服審査法に基づく審査請求によって、当該処分をすることを求めることができる」という部分が、妥当ではありません。
行政不服審査法1条2項により、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(単に処分という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」とされ、行政手続法36条の2第1項により、「法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。」とされ、最高裁判所判決昭和39年10月29日で、判決「いわゆる抗告訴訟の対象たる行政庁の公権力行使にあたる行為の要件。」とされ、裁判要旨により、「国または公共団体の行なう行為のうち、それが仮りに違法なものであるとしても、正当な権限を有する機関によつて取り消されまたはその無効が確認されるまでは法律上または事実上有効なものとして取り扱われるものでなければ、いわゆる抗告訴訟の対象たる行政庁の公権力の行使にあたる行為とはいえない。」とされます。
つまり、「当該行政指導が違法なものであると思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって、当該行政指導の中止を求めることができる」という部分が、妥当ではありません。
行政不服審査法43条1項により、「審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、一定のいずれかに該当する場合を除き、審査庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは内閣府設置法の一定の規定、若しくは国家行政組織法の一定の規定する庁の長である場合にあっては行政不服審査会に、審査庁が地方公共団体の長(地方公共団体の組合にあっては、長、管理者又は理事会)である場合にあっては81条1項又は2項の機関に、それぞれ諮問しなければならない。」とされ、同法81条1項により、「地方公共団体に、執行機関の附属機関として、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するための機関を置く。」とされ、同条2項により、「前項の規定にかかわらず、地方公共団体は、当該地方公共団体における不服申立ての状況等に鑑み同項の機関を置くことが不適当又は困難であるときは、条例で定めるところにより、事件ごとに、執行機関の附属機関として、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するための機関を置くこととすることができる。」とされます。
つまり、「原則として総務省に置かれた行政不服審査会に諮問をしなければならない」という部分が、妥当ではありません。
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