行政書士の過去問 令和4年度 法令等 問14
この過去問の解説 (2件)
行政不服審査法と行政手続法の条文知識を問う問題です。
妥当ではありません
問題文から「再調査の請求」に関する規定について問われているということがわかります。
再調査に関する条文を参照すると、請求ができるのは以下の2つの条件をクリアしている場合です。
・法律に再調査の請求をすることができる定めがある
・処分に関して審査請求をしていない
<行政不服審査法5条>
行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。
問題文にある「行政不服審査法の定める例外」というのは、後半の「処分に関して審査請求をしたとき」を示しています。しかし、問題文には「法律に再調査をすることができる定めがある」の部分が入っていないため妥当な内容とは言えません。
妥当です
審理手続きについての基本的な問題です。条文がそのまま問題文になっています。
<行政不服審査法42条>
1 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(以下「審理員意見書」という。)を作成しなければならない。
2 審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。
審理手続きの流れを覚えていれば、すぐにわかる問題です。
以下の2つのポイントを押さえて覚えましょう。
・「遅滞なく」と「速やかに」の使い分け
・提出するのは「審査庁がすべき裁決に関する意見書」と「事件記録」の2点
妥当ではありません
問題文の「法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていないと思料する者」が行政に対してできることは以下の2点です。
・処分を求める
・行政指導を求める
どちらも「申し出」によって求めるもので、審査請求をするものではありません。
<行政手続法36条の3>
1 何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
妥当ではありません
行政指導の中止については「申し出」によって求めるもので、審査請求をするものではありません。
<行政手続法36条の2>
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。
妥当ではありません
頻出の適用除外に関する問題です。行政手続法と行政不服審査法で混乱しがちなので気をつけましょう。
問題の前段部分は妥当な内容なのですが、行政手続法の適用除外と混同してしまっている方もいる方もいるかもしれません。
行政手続法における地方公共団体の適用除外
- ・その根拠となる規定が条例又は規則に置かれている処分と届出
- ・行政指導と命令等を定める行為
- <行政手続法3条>
- 3 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
上記は、あくまでも行政手続法の規定であって、行政不服審査法では、地方公共団体の機関が行う処分についても、その根拠が法律にあるか条例にあるかを問わず、原則として行政不服審査法の規定が適用されます。
したがって、問題文の前段は妥当な内容です。
次に後段の、諮問機関についての内容を見ていきます。
地方公共団体は諮問を行うために執行機関の附属機関として第三者機関を設置しなければなりません。
<行政不服審査法81条>
1 地方公共団体に、執行機関の附属機関として、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するための機関を置く。
諮問先は「総務省の行政不服審査会」ではなく、地方公共団体に置かれた機関であるため、後段の記述が妥当ではないことがわかります。
基本的な知識があれば解ける問題ではありますが、行政手続法と行政不服審査法の規定を合わせて出題しているものなので知識が混ざらないように整理しておきましょう。
行政不服審査法とは、行政庁の違法又は不当な処分に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続きの下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度で、国民の権利利益の救済と行政の適正な運営を確保することを目的としています。
妥当ではありません。
再調査の請求ができるのは、法律に再調査の請求をすることができる定めがないと請求できません。(行政不服審査法第5条)
妥当です。
審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書を作成し、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければなりません。(行政不服審査法第42条)
妥当ではありません。
審査請求は、行政庁の処分に不服のある者が申立を行います。
法令違反事実があったとしても、その是正のためにされるべき処分がされていないと思料のみで行政不服審査法に基づく審査請求をすることはできません。
当該処分庁又は当該行政指導を行う機関に申し出て、当該処分または行政指導を求めることができます。
妥当ではありません。
行政指導の中止の求めは、行政不服審査法に基づく審査請求によってではなく、当該行政指導をした行政機関に対し申し出て当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができるとされています。
妥当ではありません。
行政不服審査法は、その根拠が法律または条令いずれであっても、地方公共団体が行う処分については行政不服審査会に相当する機関を置くことが義務付けられています。
行政不服審査法は、行政事件訴訟法との区別がよく出題されます。行政不服審査法は、違法かどうかだけでなく、その処分が不当かどうかも審査法対象となることが特徴です。
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