行政書士の過去問
令和4年度
法令等 問18
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問題
行政書士試験 令和4年度 法令等 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
抗告訴訟の対象に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- 都市計画法に基づいて、公共施設の管理者である行政機関等が行う開発行為への同意は、これが不同意であった場合には、開発行為を行おうとする者は後続の開発許可申請を行うことができなくなるため、開発を行おうとする者の権利ないし法的地位に影響を及ぼすものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。
- 都市計画区域内において用途地域を指定する決定は、地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課すものではあるが、その効果は、新たにそのような制約を課する法令が制定された場合と同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なものにすぎず、当該地域内の個人の具体的な権利を侵害するものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しない。
- 市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定により、事業施行地区内の宅地所有者等は、所有権等に対する規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされるため、当該計画の決定は、その法的地位に直接的な影響を及ぼし、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。
- 地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は、同条例が上記水道料金を一般的に改定するものであって、限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しない。
- 特定の保育所の廃止のみを内容とする条例は、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童およびその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができ、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する。
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この過去問の解説 (3件)
01
行政事件訴訟法の「処分性」に関する問題です。判例を覚える必要がありますが、結論だけ丸暗記してしまうのではなく、判旨の論理やポイントについても押さえておきましょう。
抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するか(処分性があるか)は、①公権力の行使②個別・具体的に特定の者に対して権利義務が生じるの2つに当てはまるかで判断します。
妥当ではありません
<判決要旨 最判平7.3.23> 処分性なし
開発行為を行おうとする者が都市計画法に基づく同意を得られない場合、開発行為を行うことがはできないが、その人の権利や法的地位が侵害されるわけではない
妥当です
<判決要旨 最判昭57.4.22> 処分性なし
用途地域指定の効果は制約を課する法令が制定された場合と同様で、当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なもの。このような効果を生ずるというだけで、地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。
妥当です
<判例要旨 最判平20.9.10> 処分性あり
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができる。
妥当です
<判例要旨 最判平18.7.14> 処分性なし
水道料金を改定する条例の制定行為は、水道料金を一般的に改定するものであって、限られた特定の者に対してのみ適用されるものではない。
妥当です
<判例要旨 最判平21.11.26> 処分性あり
条例の制定は、その施行により当該保育所廃止の効果を発生させ、入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、保育を受けることを期待し得る法的地位を奪う結果を生じさせるものである。
問題文以外にも、出題される可能性がある判例がありますので、処分性の定義とともに覚えましょう。
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02
抗告訴訟とは、行政事件訴訟法第3条に「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう」とあります。
同法3条以下に、処分の取消の訴え、裁決の取消の訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認訴え、義務付けの訴え、差止めの訴えなどの類型が挙げられています。
妥当ではありません。
最判平成7年3月23日:不作為の違法確認等の判例は、公共施設の管理者である国もしくは地方公共団体又はその機関が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分に当たらないとしています。
よって、問題文中「抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する」となっている為、妥当ではありません。
妥当です。
最判昭和57年2月22日:盛岡広域都市計画用途地域指定無効確認訴訟において、都市計画法8条1項1号の規定に基づく工場地域指定の決定は、抗告訴訟の対象とならないとしています。
よって、問題文の通り抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しないので妥当です。
妥当です。
最判平成20年9月10日:行政処分取消請求事件の判例は、市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとしています。
よって、問題文の通り抗告訴訟の対象となる行政処分に該当します。
妥当です。
最判平成18年7月14日:給水条例無効確認等請求事件の判例は、普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は、同条例が上記水道料金を一般的に改定するものであって、限られた特定の者に対してのみ適用されるものでなく、同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないという事情の下では、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとしています。
よって、問題文の通り抗告訴訟の対象となる行政処分に該当せず妥当です。
妥当です。
最判平成21年11月26日:横浜市保育園廃止処分取消請求事件の判例は、市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為は、当該保育所の利用関係が保護者の選択に基づき保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり、現に保育を受けている児童及びその保護者は当該保育所において保育の実施期間が満了するまでの間保育を受けることを期待し得る法的地位を有すること、同条例が他に行政庁の処分を待つことなくその施行により当該保育所廃止の効果を発生させ、入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、上記法的地位を奪う結果を生じさせるものであることなど判事の事情の下では、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとしています。
よって、問題文の通り抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるので妥当です。
行政事件訴訟で出題の多い取消訴訟は、処分性、原告適格、狭義の訴えの利益、被告適格、出訴期間、管轄する裁判所、審査請求前置などの訴訟要件が行政事件訴訟法第8条以降に定められています。
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03
抗告訴訟の対象に関する出題です。
行政事件訴訟法3条1項により、「この法律において抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。」とされ、同条2項により、「この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、同条3項により、「この法律において裁決の取消しの訴えとは、審査請求その他の不服申立て(単に審査請求という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(単に裁決という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、最高裁判所判決平成7年3月23日で、判事事項により、「①公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為と抗告訴訟の対象、➁主位的請求を認容した原判決を破棄して右請求に係る訴えを却下すべきものとした場合において不適法でその欠缺を補正することができない予備的請求に係る訴えを上告審が却下することの可否。」とされ、裁判要旨により、「 ①公共施設の管理者である国若しくは地方公共団体又はその機関が都市計画法32条所定の同意を拒否する行為は、抗告訴訟の対象となる処分に当たらない、➁主位的請求を認容した原判決を破棄して右請求に係る訴えを却下すべきものとした場合において、予備的請求に係る訴えが不適法でその欠缺を補正することができないときは、上告審は、右訴えを却下することができる。」とされます。
つまり、「開発を行おうとする者の権利ないし法的地位に影響を及ぼすものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当する」という部分が、妥当ではありません。
行行政事件訴訟法3条1項により、「この法律において抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。」とされ、同条2項により、「この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、同条3項により、「この法律において裁決の取消しの訴えとは、審査請求その他の不服申立て(単に審査請求という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(単に裁決という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、最高裁判所判決昭和57年4月22日で、判事事項により、「 都市計画法8条1項3号に基づく高度地区指定の決定と抗告訴訟の対象。」とされ、裁判要旨により、「都市計画法8条1項3号に基づく高度地区指定の決定は、抗告訴訟の対象とならない。」とされるので、妥当です。
行政事件訴訟法3条1項により、「この法律において抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。」とされ、同条2項により、「この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、同条3項により、「この法律において裁決の取消しの訴えとは、審査請求その他の不服申立て(単に審査請求という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(単に裁決という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、最高裁判所大法廷判決平成20年9月10日で、判事事項により、「市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定と抗告訴訟の対象。」とされ、裁判要旨により、「市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。」とされるので、妥当です。
行政事件訴訟法3条1項により、「この法律において抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。」とされ、同条2項により、「この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、同条3項により、「この法律において裁決の取消しの訴えとは、審査請求その他の不服申立て(単に審査請求という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(単に裁決という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、地方自治法244条3項により、「普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」とされ、最高裁判所判決で、判事事項により、「①普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例、➁普通地方公共団体の住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用についての不当な差別的取扱いと地方自治法244条3項、③普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例のうち当該普通地方公共団体の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金の3.57倍を超える金額に改定した部分が地方自治法244条3項に違反するものとして無効とされた事例。」とされ、裁判要旨により、「①普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は、同条例が上記水道料金を一般的に改定するものであって、限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないという事情の下では、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない、➁普通地方公共団体の住民ではないが、その区域内に事務所、事業所、家屋敷等を有し、当該普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用について、当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは、地方自治法244条3項に違反する、③普通地方公共団体が営む水道事業の水道料金を定めた条例の改正により、当該普通地方公共団体の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金の3.57倍を超える金額とすることなどを内容とする水道料金の増額改定が行われた場合において、上記の別荘に係る給水契約者の基本料金が、当該給水に要する個別原価に基づいて定められたものではなく、給水契約者の水道使用量に大きな格差があるにもかかわらず、別荘以外の給水契約者(ホテル等の大規模施設に係る給水契約者を含む。)の1件当たりの年間水道料金の平均額と別荘に係る給水契約者の1件当たりの年間水道料金の負担額がほぼ同一水準になるようにするとの考え方に基づいて定められたものであることなど判示の事情の下では、上記の水道料金の改定をした条例のうち別荘に係る給水契約者の基本料金を改定した部分は、地方自治法244条3項に違反するものとして無効である。」とされるので、妥当です。
行政事件訴訟法3条1項により、「この法律において抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。」とされ、同条2項により、「この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、同条3項により、「この法律において裁決の取消しの訴えとは、審査請求その他の不服申立て(単に審査請求という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(単に裁決という。)の取消しを求める訴訟をいう。」とされ、地方自治法149条7号により、「普通地方公共団体の長は、公の施設を設置し、管理し、及び廃止する事務を担任する。」とされ、同法244条の2第1項により、「普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。」とされ、最高裁判所判決平成21年11月26日で、判事事項により、「市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例。」とされ、裁判要旨により、「 市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為は,当該保育所の利用関係が保護者の選択に基づき保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,現に保育を受けている児童及びその保護者は当該保育所において保育の実施期間が満了するまでの間保育を受けることを期待し得る法的地位を有すること,同条例が,他に行政庁の処分を待つことなくその施行により当該保育所廃止の効果を発生させ,入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して,直接,上記法的地位を奪う結果を生じさせるものであることなど判示の事情の下では,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。」とされるので、妥当です。
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