行政書士の過去問
令和4年度
法令等 問24

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問題

行政書士試験 令和4年度 法令等 問24 (訂正依頼・報告はこちら)

都道府県の事務にかかる地方自治法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  • 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部について、条例の定めるところにより、市町村が処理するものとすることができるとされている。
  • 都道府県の事務の根拠となる法律が、当該事務について都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り、当該事務は自治事務となるとされている。
  • 都道府県知事がする処分のうち、法定受託事務にかかるものについての審査請求は、すべて総務大臣に対してするものとするとされている。
  • 都道府県は、その法定受託事務の処理に対しては、法令の規定によらずに、国の関与を受けることがあるとされている。
  • 都道府県は、その自治事務について、独自の条例によって、法律が定める処分の基準に上乗せした基準を定めることができるとされている。

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この過去問の解説 (3件)

01

自治事務と法定受託事務の定義や違いについて、ポイントを押さえながら整理しておきましょう。

選択肢1. 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部について、条例の定めるところにより、市町村が処理するものとすることができるとされている。

妥当です

都道府県知事の権限に属する事務の一部は、都道府県の条例で定めるところにより、市町村が処理することとすることができます(地方自治法252条の17の2第1項)。

選択肢2. 都道府県の事務の根拠となる法律が、当該事務について都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り、当該事務は自治事務となるとされている。

妥当ではありません

地方自治法において、自治事務とは地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。

つまり、「自治事務とする旨」が定められているわけではありません。

選択肢3. 都道府県知事がする処分のうち、法定受託事務にかかるものについての審査請求は、すべて総務大臣に対してするものとするとされている。

妥当ではありません

都道府県知事がする処分のうち、法定受託事務にかかるものについての審査請求は、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣に対して行います。総務大臣には限られません。ちなみに市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く)の処分は、都道府県知事に対して行います。(地方自治法255条の2)

選択肢4. 都道府県は、その法定受託事務の処理に対しては、法令の規定によらずに、国の関与を受けることがあるとされている。

妥当ではありません

普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはありません(地方自治法245条の2)。

これは自治事務に関しても同様です。

選択肢5. 都道府県は、その自治事務について、独自の条例によって、法律が定める処分の基準に上乗せした基準を定めることができるとされている。

妥当ではありません

法律よりも厳しい基準(上乗せ条例)は、定めることはできません

例外的に、大気汚染防止法のように法令で決められた内容が、全国一律の最低水準という場合は、上乗せ条例が認められる場合もあります。

まとめ

自治事務・法定受託事務に関しては重要度の高い分野になります。それぞれの定義や国の関与について、他にも法定受託事務の第一号・第二号の違いなどは整理して覚えましょう。

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02

地方自治体の二つに区分される事務の概念から出題です。

選択肢1. 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部について、条例の定めるところにより、市町村が処理するものとすることができるとされている。

妥当です。

問題文の通り、地方自治法第252条の17の2第1項により市町村が処理することができます。

選択肢2. 都道府県の事務の根拠となる法律が、当該事務について都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り、当該事務は自治事務となるとされている。

妥当ではありません。

地方公共団体の事務は、自治事務と法定受託事務に区別されます。自治事務は、法定受託事務以外をいうので、そのように定めていなくても法定受託事務でなければ必然的に自治事務になります。

選択肢3. 都道府県知事がする処分のうち、法定受託事務にかかるものについての審査請求は、すべて総務大臣に対してするものとするとされている。

妥当ではありません。

都道府県知事がする処分の審査請求は、当該処分に係る事務を規定する法律またはこれに基づく政令を所管する各大臣に対しておこないます。

選択肢4. 都道府県は、その法定受託事務の処理に対しては、法令の規定によらずに、国の関与を受けることがあるとされている。

妥当ではありません。

法定受託事務の処理は法律の根拠がなければ、国の関与を受けることはありません。

選択肢5. 都道府県は、その自治事務について、独自の条例によって、法律が定める処分の基準に上乗せした基準を定めることができるとされている。

妥当ではありません。

条例は法令に違反しない限りにおいて制定が認められています。

まとめ

国は、都道府県の自治事務に関して、是正の要求・勧告をすることができます。

また、法定受託事務については是正の指示を行う事が出来ます。

関与の大きさについての違いを把握しておきましょう。

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03

この問題のポイントは地方自治法2条8項、245条の2、252条の17の2第1項、255条の2第1項1号の理解です。

まず地方自治法2条8項はこの法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいうとなります。

地方自治法245条の2は普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはないとなります。

地方自治法252条の17の2第1項は都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる。この場合においては、当該市町村が処理することとされた事務は、当該市町村の長が管理し及び執行するものとするとなります。

地方自治法255条の2第1項1号は法定受託事務に係る都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分についての審査請求は、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣に対してするものとするとされています。

 

以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。

選択肢1. 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部について、条例の定めるところにより、市町村が処理するものとすることができるとされている。

解説の冒頭より、都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができるとされています。

よって、都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部について、条例の定めるところにより、市町村が処理するものとすることができるとされているとなります。

選択肢2. 都道府県の事務の根拠となる法律が、当該事務について都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り、当該事務は自治事務となるとされている。

解説の冒頭より、自治事務とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいうとなります。

よって、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものは自治事務となるとされているとなります。

選択肢3. 都道府県知事がする処分のうち、法定受託事務にかかるものについての審査請求は、すべて総務大臣に対してするものとするとされている。

解説の冒頭より、法定受託事務に係る都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分についての審査請求は、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣に対してするものとするとされています。

よって、都道府県知事がする処分のうち、法定受託事務にかかるものについての審査請求は、すべて各大臣に対してするものとするとされているとなります。

選択肢4. 都道府県は、その法定受託事務の処理に対しては、法令の規定によらずに、国の関与を受けることがあるとされている。

解説の冒頭より、普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはないとなります。

よって、都道府県は、その法定受託事務の処理に対しては、法令の規定によらなければ、国の関与を受けることがないとされているとなります。

選択肢5. 都道府県は、その自治事務について、独自の条例によって、法律が定める処分の基準に上乗せした基準を定めることができるとされている。

地方自治法に都道府県は、その自治事務について、独自の条例によって、法律が定める処分の基準に上乗せした基準を定めることができるという条文はありません。

まとめ

この問題のように条文知識を問う問題は必ず出るので、条文素読もやった方が良いでしょう。

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