行政書士の過去問 令和4年度 法令等 問30
この過去問の解説 (2件)
債務不履行には、履行遅滞・履行不能・不完全履行の3つがあります。債務不履行があったとき、債権者は債務者に対して、損害の賠償を請求することができます(民法415条)。
ただし、債務者の責任とはいえない事由の場合は、債権者は損害賠償請求をすることができません。
誤りです
「Cが亡くなった後に引き渡す」という定めは、「不確定期限」です。
債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、①その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又は②その期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負います(民法412条2項)。
この場合、「Cの死亡後」に「Bから履行請求があった」として①に該当するため、履行遅滞の責任を負います。
誤りです
契約時にすでに履行不能であっても、契約は有効となります。有効な契約である以上、履行不能の場合には損害を賠償する責任は負います。
誤りです
履行補助者の過失による履行不能については、Aに「当然に」債務不履行責任が認められるわけではありません。契約や債務の発生原因、取引上の社会通念に照らして履行補助者に帰責事由があるかで判断が変わります。履行補助者に帰責事由があると判断された場合には、債務者に債務不履行責任が発生します。
誤りです
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができます(民法536条1項)。
Aの引渡し債務は不能により消滅し、Bの代金債務も反対給付の履行なので拒絶することができます。
正しいです
債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなします(民法413条の2第2項)。
また、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、契約解除ができません(民法543条)。
さらに、債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができません(民法536条2項前段)。
そのため、この場合責任は買主Bにあるので、Bは契約解除をすることができず、反対給付を拒むこともできません。
債務不履行があった場合、損害賠償責任や契約解除をすることができます。それぞれ債権者と債務者のどちらが負うかなど要件が異なりますので押さえておきましょう。
相手方は債務不履行責任を追及でき、契約解除や損害賠償請求などが可能です。
誤り。
民法412条2項には、「債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う」としています。
よって、Aが実際にCの死亡を知らずとも、Bより請求があれば履行遅滞となるので誤りです。
誤り。
民法412条の2 2項には、「契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」とあります。
(民法415条は債務不履行による損害賠償の請求ができる場合について定められています。)
よって、Aは履行不能によるBへの損害賠償責任を負います。
誤り。
民法415条1項ただし書きには、「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」とあります。
問題文には、「Aに当然に債務不履行責任が認められる」とあり、認められない場合もある為誤りです。
誤り。
民法536条1項には、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」とあります。
よって、BはAの引渡し債務不能を理由に代金支払い請求を拒むことができます。
正しい。
民法413条の2 2項には、「債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めの帰することができない事由によってその債務の履行が不能になったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす」とあります。
よって、Bは、本件契約の解除をすることも、Aからの代金支払い請求を拒絶することもできませんので、こちらが正しいです。
債務不履行の3つの類型(履行遅滞、履行不能、不完全履行)のそれぞれの要件や効果の区別を押さえておきましょう。
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