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行政書士の過去問 令和5年度 法令等 問8

問題

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行政行為の瑕疵に関する次のア~オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア  ある行政行為が違法である場合、仮にそれが別の行政行為として法の要件を満たしていたとしても、これを後者の行為として扱うことは、新たな行政行為を行うに等しいから当然に許されない。
イ  普通地方公共団体の長に対する解職請求を可とする投票結果が無効とされたとしても、前任の長の解職が有効であることを前提として、当該解職が無効とされるまでの間になされた後任の長の行政処分は、当然に無効となるものではない。
ウ  複数の行政行為が段階的な決定として行われる場合、先行行為が違法であるとして、後行行為の取消訴訟において先行行為の当該違法を理由に取消しの請求を認めることは、先行行為に対する取消訴訟の出訴期間の趣旨を没却することになるので許されることはない。
エ  行政行為の瑕疵を理由とする取消しのうち、取消訴訟や行政上の不服申立てによる争訟取消しの場合は、当該行政行為は行為時当初に遡って効力を失うが、職権取消しの場合は、遡って効力を失うことはない。
オ  更正処分における理由の提示(理由附記)に不備の違法があり、審査請求を行った後、これに対する裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、理由の提示にかかる当該不備の瑕疵は治癒されない。
   1 .
ア・イ
   2 .
ア・エ
   3 .
イ・オ
   4 .
ウ・エ
   5 .
ウ・オ
( 行政書士試験 令和5年度 法令等 問8 )
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この過去問の解説 (1件)

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この問題のポイントは、違法行為の転換と最大判昭35.12.7、最判平21.12.17、最判昭47.12.5の判例の理解です。

まず、違法行為の転換とはある行政行為が違法でも、別の行政行為としては適法である場合に、その行政行為の効力を維持することをいいます。

次に上記の判例のポイントを下記にまとめます。

・最大判昭35.12.7

この判例の争点は村が吸収合併によつてなくなつた後における村長解職賛否投票の効力に関する訴の利益があるかどうかです。

これは村長解職賛否投票の効力に関する訴は、右村が吸収合併によつてなくなつた後においては、その利益がなくなつたものと解すべきであるとされました。

また、村長解職賛否投票が無効とされたとしても、前任の長の解職が有効であることを前提として、当該解職が無効とされるまでの間になされた後任の長の行政処分は、当然に無効となるものではないとされています。

・最判平21.12.17

この判例の争点は建築確認の取消訴訟において、安全認定の違法を主張できるかです。

結果として、安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟で安全認定の違法を主張できるとされました。

・最判昭47.12.5

この判例の争点は、理由付記の不備(瑕疵)は審査請求の裁決で処分理由が明らかにされた場合、治癒されるかどうかです。

結果として、理由付記の不備(瑕疵)は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それによって治癒されるものではないとされています。

 

以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。

 

選択肢1. ア・イ

解説の冒頭より、ある行政行為が違法でも、別の行政行為としては適法である場合に、その行政行為の効力を維持するとあります。

よって、アの文章はある行政行為が違法である場合、仮にそれが別の行政行為として法の要件を満たしていたとしても、これを後者の行為として扱うことは許されることはあるとなります。

次に解説の冒頭より、村長解職賛否投票が無効とされたとしても、前任の長の解職が有効であることを前提として、当該解職が無効とされるまでの間になされた後任の長の行政処分は、当然に無効となるものではないとされています。

よって、イの文章は普通地方公共団体の長に対する解職請求を可とする投票結果が無効とされたとしても、前任の長の解職が有効であることを前提として、当該解職が無効とされるまでの間になされた後任の長の行政処分は、当然に無効となるものではないとなります。

選択肢2. ア・エ

取消訴訟も職権取消もどちらも取消であるので、遡って効力を失う遡及効です。

よって、エの文章は行政行為の瑕疵を理由とする取消しのうち、取消訴訟や行政上の不服申立てによる争訟取消しの場合は、当該行政行為は行為時当初に遡って効力を失い、職権取消しの場合も、遡って効力を失うとなります。

選択肢3. イ・オ

解説の冒頭より、理由付記の不備(瑕疵)は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それによって治癒されるものではないとされています。

よって、更正処分における理由の提示(理由附記)に不備の違法があり、審査請求を行った後、これに対する裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、理由の提示にかかる当該不備の瑕疵は治癒されないとなります。

選択肢4. ウ・エ

解説の冒頭より、安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟で安全認定の違法を主張できるとされた判例があります。

よって、ウの文章は複数の行政行為が段階的な決定として行われる場合、先行行為が違法であるとして、後行行為の取消訴訟において先行行為の当該違法を理由に取消しの請求を認めることは、先行行為に対する取消訴訟の出訴期間の趣旨を没却することになるので許されることはあるとなります。

まとめ

この問題で出てきた判例は、過去出題実績のある判例が3つ出てきたので、復習した方が良いでしょう。

また、今回は違法行為の転換を知っていれば分かる内容でしたが、最判令3.3..2の判例の文章も出てきたので今後別の形で出てくる可能性があるので、この判例も一度読んでみましょう。

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