行政書士の過去問
令和5年度
法令等 問42_4

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問題

行政書士試験 令和5年度 法令等 問42_4 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章の空欄( エ )に当てはまる語句を、以下の選択肢(1〜20)から選びなさい。

公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と( ア )の増進に寄与することを目的とするものであって(1条)、この法律によって建設された公営住宅の使用関係については、管理に関する規定を設け、家賃の決定、明渡等について規定し(第3章)、また、法〔=公営住宅法〕の委任(25条)に基づいて制定された条例〔=東京都営住宅条例〕も、使用許可、使用申込、明渡等について具体的な定めをしているところである。右法及び条例の規定によれば、公営住宅の使用関係には、( イ )の利用関係として公法的な一面があることは否定しえないところであって、入居者の募集は公募の方法によるべきこと(法16条)などが定められており、また、特定の者が公営住宅に入居するためには、事業主体の長から使用許可を受けなければならない旨定められているのであるが(条例3条)、他方、入居者が右使用許可を受けて事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、前示のような法及び条例による規制はあっても、事業主体と入居者との間の法律関係は、基本的には私人間の家屋( ウ )と異なるところはなく、このことは、法が賃貸(1条、2条)等私法上の( ウ )に通常用いられる用語を使用して公営住宅の使用関係を律していることからも明らかであるといわなければならない。したがって、公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、( エ )の法理の適用があるものと解すべきである。ところで、右法及び条例の規定によれば、事業主体は、公営住宅の入居者を決定するについては入居者を選択する自由を有しないものと解されるが、事業主体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、両者の間には( エ )を基礎とする法律関係が存するものというべきであるから、公営住宅の使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為をした場合であっても、賃貸人である事業主体との間の( エ )を破壊するとは認め難い特段の事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、その明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。
(最一小判昭和59年12月13日民集38巻12号1411頁<文章を一部省略した。>)
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  • 公の営造物
  • 管理関係
  • 一般権力関係

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題のポイントは、最判昭59.12.13民集38巻12号1411頁の理解です。

これは以下のように記載されています。

公営住宅法は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な 生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉 な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを 目的とするものであつて(一条)、この法律によつて建設された公営住宅の使用関 係については、管理に関する規定を設け、家賃の決定、家賃の変更、家賃の徴収猶 予、修繕義務、入居者の募集方法、入居者資格、入居者の選考、家賃の報告、家賃 の変更命令、入居者の保管義務、明渡等について規定し(第三章)、また、法の委 任(二五条)に基づいて制定された条例も、使用許可、使用申込、申込者の資格、 使用者選考、使用手続、使用料の決定、使用料の変更、使用料の徴収、明渡等につ いて具体的な定めをしているところである(三条ないし二二条)。右法及び条例の 規定によれば、公営住宅の使用関係には、公の営造物の利用関係として公法的な一 面があることは否定しえないところであつて、入居者の募集は公募の方法によるべ きこと(法一六条)、入居者は一定の条件を具備した者でなければならないこと( 法一七条)、事業主体の長は入居者を一定の基準に従い公正な方法で選考すべきこ と(法一八条)などが定められており、また、特定の者が公営住宅に入居するため には、事業主体の長から使用許可を受けなければならない旨定められているのであ るが(条例三条)、他方、入居者が右使用許可を受けて事業主体と入居者との間に- 3 公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、前示のような法及び条例による 規制はあつても、事業主体と入居者との間の法律関係は、基本的には私人間の家屋 賃貸借関係と異なるところはなく、このことは、法が賃貸(一条、二条)、家賃( 一条、二条、一二条、一三条、一四条)等私法上の賃貸借関係に通常用いられる用 語を使用して公営住宅の使用関係を律していることからも明らかであるといわなけ ればならない。したがつて、公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれ に基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例 に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、 その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべき である。ところで、右法及び条例の規定によれば、事業主体は、公営住宅の入居者 を決定するについては入居者を選択する自由を有しないものと解されるが、事業主 体と入居者との間に公営住宅の使用関係が設定されたのちにおいては、両者の間に は信頼関係を基礎とする法律関係が存するものというべきであるから、公営住宅の 使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為をした場合であつても、 賃貸人である事業主体との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情がある ときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、 その明渡を請求することはできないものと解するのが相当であるとされています。

 

以上の点をおさえて、問題をみていきましょう。

選択肢3. 信頼関係

解説の冒頭より、公営住宅の 使用者が法の定める公営住宅の明渡請求事由に該当する行為をした場合であつても、 賃貸人である事業主体との間の信頼関係を破壊するとは認め難い特段の事情がある ときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、 その明渡を請求することはできないものと解するのが相当であるとされています。

よって、エは信頼関係が該当します。

まとめ

この問題で出てきた判例は過去に出題実績があり、本設問では以前より深く理解を問うことになっていたので、今後の試験対策として、過去問で出てきた判例をチェックし、読み直すことも重要だと考えられます。

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02

エ:信頼関係

「賃貸人である事業主体との間の[ エ ]を破壊するとは認められない事情があるときには、事業主体の長は、当該使用者に対し、その住宅の使用関係を取り消し、その明渡を請求することはできない」と言っています。不動産の賃貸借契約は、当事者同士の信頼関係にもとづいた継続的な契約であるため、簡単には解除が認められません。 ただし、信頼関係を破壊するほどの背信的行為があれば、貸主から契約を解除できます。よって、エには「信頼関係」が入ります。

まとめ

出題率の高い分野ですのでしっかり押さえておきましょう。

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