行政書士 過去問
令和5年度
問43_4 (法令等 問43_4)
問題文
次の文章の空欄( エ )に当てはまる語句を、以下の選択肢(1〜20)から選びなさい。
処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が( ア )であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。
そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、( イ )がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が( ア )か否かが争われ得るところ、この訴えは( ウ )と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。
最高裁判所の判例は、処分が( ア )であるというためには、当該処分に( エ )な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。
処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が( ア )であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。
そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、( イ )がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が( ア )か否かが争われ得るところ、この訴えは( ウ )と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。
最高裁判所の判例は、処分が( ア )であるというためには、当該処分に( エ )な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
行政書士試験 令和5年度 問43_4(法令等 問43_4) (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章の空欄( エ )に当てはまる語句を、以下の選択肢(1〜20)から選びなさい。
処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が( ア )であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。
そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、( イ )がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が( ア )か否かが争われ得るところ、この訴えは( ウ )と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。
最高裁判所の判例は、処分が( ア )であるというためには、当該処分に( エ )な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。
処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が( ア )であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。
そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、( イ )がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が( ア )か否かが争われ得るところ、この訴えは( ウ )と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。
最高裁判所の判例は、処分が( ア )であるというためには、当該処分に( エ )な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。
- 原始的不能
- 行政不服申立て
- 外観上客観的に明白
- 住民訴訟
- 撤回可能
- 無効確認の訴え
- 不当
- 実質的当事者訴訟
- 重大かつ明白
- 差止めの訴え
- 実体的
- 仮の救済申立て
- 形式的当事者訴訟
- 無効
- 義務付けの訴え
- 重大又は明白
- 客観訴訟
- 手続的
- 争点訴訟
- 不作為の違法確認の訴え
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
この問題のポイントは、無効等確認の訴えの理解です。
無効等確認の訴えは出訴期間のない取消訴訟とも呼ばれておりますが、取消訴訟よりも提起するハードルが高いです。
まず取消訴訟と違う要件として、その行政行為が重大かつ明白な瑕疵があることです。
また、現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができない場合でなければならないです。
逆に現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することが達することができる場合とは実質的当事者訴訟(行政訴訟)と争点訴訟(民事訴訟)があります。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、無効等確認の訴えの要件の一つとして、行政行為が重大かつ明白な瑕疵があることがあります。
よって、エに該当するのは重大かつ明白になります。
この問題のように無効等確認の訴えの理解を求める問題は出てくるので、無効等確認の訴えの復習をした方が良いでしょう。
参考になった数5
この解説の修正を提案する
02
エ:重大かつ明白
「当然無効となる行政行為」とは、重大かつ明白な瑕疵がある行政行為です。そのため、エには「重大かつ明白」が入ります。
出題率の高い分野ですのでしっかり押さえておきましょう。
参考になった数1
この解説の修正を提案する
03
本問は、行政処分に対する不服申立て手段としての無効確認訴訟及び民事訴訟の一種である争点訴訟について基本的な知識を問う問題です。
本問を整理すると、
処分が(ア)なら、出訴期間経過後に処分取消しの訴えが提起できなくなっても、「別訴で争える」。
そしてその「別訴」の例として
①行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟である(イ)
②民事訴訟において処分の(ア)を争う(ウ)
がある。
判例の(ア)の判断基準は、当該処分の瑕疵が(エ)であることである。
と言っています。そして、
(ア)に入るのは、処分の効力ないし法的評価を表す語句。
(イ)に入るのは、(ア)を実体上の根拠として提起できる行政事件訴訟法に規定のある訴訟類型。
(ウ)に入るのは、民事訴訟の争点として(ア)を主張する訴訟類型。
(エ)に入るのは、瑕疵に関する態様又は性質などの属性で(ア)の要件となるもの。
という推測が立ちます。
そこで選択肢を見ます。
見ただけで「無効」だなとピンとくるのですが、そこを置いて敢えていくつかの語句を検討してみましょう。
処分の効力ないし法的評価を表す語句は、「撤回可能」「不当」「無効」です
「撤回可能」は、「撤回」というのは行政庁自身の主体的な行為であり、処分を受けた者が処分の効力を争う話ではありません。
「不当」は、行政不服審査においては処分の不当性を争うことができますが、行政事件訴訟では違法性しか争えない(「不当」という表現は一切出てきません)ので、訴訟が主題の本問では不適です。
行政不服審査法第1条第1項「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」
「無効」ならば、取消しの訴えのように出訴期間の制限がなく、取消の訴えの出訴期間経過後でも訴えを提起することができますから、まさに趣旨に沿った語句です。
よって、(ア)には「無効」が入ります。
ここでこの文章が処分無効を訴訟で争う話であるということが明らかになりました。
(ア)が決まれば後は簡単です。
(エ)は判例が示す処分が無効となる要件ですから、これは「重大かつ明白」しかありません。判例の無効要件は知らないとお話になりません。必修知識です。
よって(エ)には「重大かつ明白」が入ります。
参考として処分の無効に関する判例を少し解説しておきます。
まず、違法な処分は原則的には取り消しうるだけで、無効となるのは例外です。
その無効となる例外について、判例は原則として、当該処分の①違法が重大であること②その違法の存在が明白であることを要件としています。
最大判昭和31年7月18日裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
「国家機関の公法的行為(行政処分)は……仮りにその処分に関し違法の点があつたとしても、その違法が重大且つ明白である場合の外は、これを法律上当然無効となすべきではない」
最判昭和34年9月22日裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
「無効原因となる重大・明白な違法とは、処分要件の存在を肯定する処分庁の認定に重大・明白な誤認があると認められる場合を指す」
最判昭和36年3月7日裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
「瑕疵が明白であるというのは、処分成立の当初から、誤認であることが外形上、客観的に明白である場合を指すものと解すべきである。
……瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に、誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきものであつて、……外形上、客観的に誤認が明白であると認められる場合には、明白な瑕疵があるというを妨げない。」
これは、理論的には「重大性明白説」の「外形上一見明白説」と呼ばれるものです。
しかし、明白性を要求していない判例もあります。
最判昭和48年4月26日裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
「一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであつて、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解する」
「原判決が、上記に指摘した諸点を顧慮することなく、本件課税処分は課税要件のないところに課税したもので、その瑕疵は重大であるが、なお明白であるとはいいえないとして、これを無効でないと即断したのは、課税処分の無効に関する法の解釈適用を誤つたか、または審理不尽、理由不備の違法がある」
本判例は、課税処分が一般的に「処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと」を理由に、明白であることを要件としていません。
そもそも「明白性の要件」は、処分が無効になることで当該処分を信頼した第三者が不測の不利益を被らないようにすることを目的としたものです。
であれば、第三者が通常いない課税処分のようなものについては考慮の必要がないということです。
ただし、明白性の要件を必要としないからと言って、瑕疵が重大であればそれだけで無効と言っているわけではありません。
まず「原則として課税処分は有効」です。
その上で、瑕疵が重大であって更に「徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情」があれば、無効となると言っています。
瑕疵が重大であることは前提条件となっていますが、それでもなお、著しく不当と認められるだけの例外的事情がなければ、有効なのです。
本件判例は、明白性の要件を別の「著しく不当」の要件にすげ替えたとみることもできます。
いずれにしても、簡単に無効とはしないという最高裁の考え方が見て取れます。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問43_3)へ
令和5年度 問題一覧
次の問題(問1)へ