行政書士 過去問
令和6年度
問52 (一般知識等 問6)

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問題

行政書士試験 令和6年度 問52(一般知識等 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

行政書士法に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  • 行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。
  • 行政書士は、自ら作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求について、その手続を代理することはできない。
  • 国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算して2年以上になる者は、行政書士となる資格を有する。
  • 破産手続開始の決定を受けた場合、復権をした後においても行政書士となる資格を有しない。
  • 地方公務員が懲戒免職の処分を受けた場合、無期限に行政書士となる資格を有しない。

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この過去問の解説 (2件)

01

行政書士法における義務と資格

行政書士法における行政書士の義務および行政書士の資格についての問題です。

各選択肢ともに条文を読んでいれば理解できる問題です。

選択肢1. 行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。

「行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。」(行政書士法10条の2 第1項)

選択肢2. 行政書士は、自ら作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求について、その手続を代理することはできない。

×

行政書士は自ら作成した官公署に提出する書類に関する審査請求の代理をすることができます。(行政書士法1条の3 1項2号)

選択肢3. 国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算して2年以上になる者は、行政書士となる資格を有する。

×

行政書士法2条6号により資格を取得するためには、高校卒以上であれば17年、中学卒であれば20年の勤務経験が必要です。

 

選択肢4. 破産手続開始の決定を受けた場合、復権をした後においても行政書士となる資格を有しない。

×

破産者が復権を得た場合は欠格事由でなくなります。(行政書士法2条の2 5号)

選択肢5. 地方公務員が懲戒免職の処分を受けた場合、無期限に行政書士となる資格を有しない。

×

公務員が懲戒免職の処分を受けた場合はその処分の日から3年間が欠格事由となります。(行政書士法2条の2 4号)

まとめ

行政書士法1条の2から4の業務内容、2条の2の欠格事由は重要です。

第6条の2の登録拒否事由、6条の5の登録取消事由・7条の登録抹消事由も含めて条文を何度か読んで覚えて頂くことを推奨します。

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02

本問は、行政書士なら知っていて当然というレベルの行政書士法の諸規定について問う問題です。
行政書士法の規定という以上のテーマ性がないのですが、半分は常識、残り半分は行政書士法を軽く勉強するだけで解ける問題だと思います。

選択肢1. 行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。

妥当です。よってこの肢が正解です。


行政書士は、事務所の見やすい場所に報酬額の掲示をしなければなりません。

 

行政書士法第10条の2第1項「行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。」

 

この行政書士法の規定は「の2」なので後から追加されたわけですが、依頼人とのトラブルが、法改正を必要とするほど頻発したのでしょうか。

選択肢2. 行政書士は、自ら作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求について、その手続を代理することはできない。

妥当ではありません


行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求の手続代理ができます。

 

行政書士法第1条の3第1項「行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(……)第2条第3号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(……)第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
(第3号以下略)

 

なお、この代理は、特定行政書士のみが行うことができます。

 

行政書士法第1条の3第2項「前項第2号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。」

選択肢3. 国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算して2年以上になる者は、行政書士となる資格を有する。

妥当ではありません
 

通算20年以上(高等学校以上を卒業している者などは17年以上)行政事務に従事した公務員は、行政書士となる資格を得ます。

 

行政書士法第2条「次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
(第1号ないし第5号略)
六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(……)又は特定地方独立行政法人(……)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(学校教育法(……)による高等学校を卒業した者その他同法第90条に規定する者にあつては十七年以上)になる者」

 

2年はいくらなんでも短すぎます。本当に2年だったらいくら何でも行政書士の資格を甘く見すぎです。

選択肢4. 破産手続開始の決定を受けた場合、復権をした後においても行政書士となる資格を有しない。

妥当ではありません
 

法律上の資格制限などを消滅させて本来の法的地位を回復するのが「復権」です。
資格制限が消滅している以上、行政書士となる資格も復活します。

 

行政書士法第2条の2「次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、行政書士となる資格を有しない。
(第1号略)
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
(第3号以下略)


余談ですが、会社法の取締役の欠格事由として「破産者で復権を得ない者」は20年くらい前に削除されていますので、ついでに憶えておきましょう。いまだに欠格事由だと思っている人が時々メディアで見受けられます。

選択肢5. 地方公務員が懲戒免職の処分を受けた場合、無期限に行政書士となる資格を有しない。

妥当ではありません
 

懲戒免職の処分を受けた元公務員でも処分の日から3年を過ぎれば行政書士となることができます。

 

行政書士法第2条の2「次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、行政書士となる資格を有しない。
(第1号ないし3号略)
四 公務員(行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員を含む。)で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
(第5号以下略)」

 

そもそも行政書士に限らずたいていの(おそらくすべての)資格について、「無期限」の欠格条項は存在しません。資格に関しては少なくとも法律上は、日本は再起を認めない偏狭な社会ではありません。

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