行政書士 過去問
令和6年度
問54 (一般知識等 問8)

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問題

行政書士試験 令和6年度 問54(一般知識等 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

デジタル環境での情報流通に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
  • 生成AIが、利用者からの質問を受けて、誤った情報をあたかも真実であるかのように回答する現象を、アノテーションという。
  • 情報が大量に流通する環境の中で、人々が費やせるアテンションや消費時間が希少になり、それらが経済的価値を持つようになることを、アテンションエコノミーという。
  • SNSなどを運営する事業者が、違法コンテンツや利用規約違反コンテンツを削除することなどを、コンテンツモデレーションという。
  • SNSなどで流通する情報について、第三者がその真偽を検証して結果を公表するなどの活動を、ファクトチェックという。
  • SNSなどのアルゴリズムにより、自分の興味のある情報だけに囲まれてしまう状況を、フィルターバブルという。

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この過去問の解説 (2件)

01

デジタル環境での情報流通

デジタル情報を用いる環境や情報の編集作業についての用語やその意味を問う問題です。

選択肢1. 生成AIが、利用者からの質問を受けて、誤った情報をあたかも真実であるかのように回答する現象を、アノテーションという。

×

「アノテーション」とはデータにその付随するデータであるタグやメタデータを加えていく作業です。

AIが誤った情報をあたかも真実であるかのように回答する現象のことは「ハルシネーション」といいます。

選択肢2. 情報が大量に流通する環境の中で、人々が費やせるアテンションや消費時間が希少になり、それらが経済的価値を持つようになることを、アテンションエコノミーという。

設問のとおりです。

情報が大量に流通する環境下で、情報の優劣・真否よりも人間の関心こそが希少性があり経済的価値があるという観念のことを「アテンションエコノミー」といいます。

選択肢3. SNSなどを運営する事業者が、違法コンテンツや利用規約違反コンテンツを削除することなどを、コンテンツモデレーションという。

掲示板やSNSを監視し、違法なコンテンツを削除するなどの方法で管理することを「コンテンツモデレーション」といいます。

選択肢4. SNSなどで流通する情報について、第三者がその真偽を検証して結果を公表するなどの活動を、ファクトチェックという。

「ファクトチェック」とはSNSなどで流通する情報について、第三者がその真偽を確認・検証することをいいます。

選択肢5. SNSなどのアルゴリズムにより、自分の興味のある情報だけに囲まれてしまう状況を、フィルターバブルという。

過去のログや訪問履歴等から行動や好みを分析し、好みの情報のみが表示されることにより他の情報が見えなくなる事を「フィルターバブル」といいます。

まとめ

デジタル環境を利用される方にしか分からない用語もあったので少しだけ難しい問題だったかとは思います。

明らかに違うものを消去法で消して選択肢を絞りましょう。

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02

本問は、ICT(情報通信技術)用語で、ICTの発展に伴い一般的に見聞きする機会のあるものについて知識を問う問題ですが、知らなかったとしても英単語の知識でも十分解けます。

選択肢1. 生成AIが、利用者からの質問を受けて、誤った情報をあたかも真実であるかのように回答する現象を、アノテーションという。

妥当ではありません。よってこの肢が正解です。


生成AIが事実に基づかない回答を生成してしまう現象は、ハルシネーション(hallucination=幻覚)、ディルージョン(delusion=妄想)などと呼ばれます。
アノテーション(annnotation=注釈)とは、データにタグ付けしたりメタデータを付加したりすることを意味します。

選択肢2. 情報が大量に流通する環境の中で、人々が費やせるアテンションや消費時間が希少になり、それらが経済的価値を持つようになることを、アテンションエコノミーという。

妥当です。
 

アテンション(attention)とは、注目という意味です。英語で「注目!」という掛け声として"Attention!"と言いますね。

 

アテンションとはそこに注意を向けるという意味ですが、人間が周りに振り向けることのできる注意には限りがあります。
そこで情報が氾濫すれば、限られたアテンションの奪い合いが始まります。
その結果、アテンション自体に経済的価値が生まれ、アテンション自体が価値の目的となる現象が起こります。
それは即ち、情報の内容に価値があるのではなく、情報の注目度に価値があるということになります。
これがアテンションエコノミーであり、フェイクニュース、炎上商法などは、このアテンションエコノミーの申し子という側面があります。

選択肢3. SNSなどを運営する事業者が、違法コンテンツや利用規約違反コンテンツを削除することなどを、コンテンツモデレーションという。

妥当です。


コンテンツモデレーションは投稿監視などと訳されますが、インターネット上の投稿、コメントを管理して、一定の内容(主に、違法、規約違反)の投稿を削除したりすることを言います。

 

本来のモデレーション(moderation)の意味は、監視ではなく平穏な状態にすること、たとえて言えば、嵐を沈めて凪にするような状態を表します(元々、moderateとは穏健とか中庸とか、偏っていない状態を意味します)。つまり、場が荒れたときにその原因である投稿を削除して中庸、平穏な状態に戻すという意味合いです。
司会者というのは、交通整理役であり、議事進行を適正に調整する役目を担うという点でモデレータです。

 

かつての掲示板(BBS)なども、荒れないように、一定の削除権限などを有する人をモデレータに任命し、投稿のバランスをとるようにしているところは良くありました。

選択肢4. SNSなどで流通する情報について、第三者がその真偽を検証して結果を公表するなどの活動を、ファクトチェックという。

妥当です。
 

これは非常によく聞くので改めて説明するまでもない気がしますが、インターネットをはじめ各種メディアの種々の情報に対して、その信憑性を第三者が検証し、結果を公表することをファクトチェック(事実確認という意味合い)と言います

 

特に、個人レベルで自由に発信できるソーシャルメディア(social media, 日本では通常SNSと呼ばれます)において、いわゆるフェイクニュース(偽情報)の氾濫を受けて、ファクトチェックが行われるようになってきています。

もっとも、発信の多さに対してチェックの労力は全く足りていないと言わざるを得ません。思い付き思い込みを根拠なく垂れ流す方が、それに対して反証を挙げて反論するよりもはるかに労力がかかりませんから致し方ないことですが。

選択肢5. SNSなどのアルゴリズムにより、自分の興味のある情報だけに囲まれてしまう状況を、フィルターバブルという。

妥当です。
 

インターネットにおいては、コンテンツフィルター機能によって個々の利用者の好む情報を選択し優先的に表示し、更にこのコンテンツフィルタリングは、個々の利用者に合わせて最適化される(パーソナライズされる)ために、個々の利用者ごとに触れる情報が異なり、また、偏るようになります。

その結果、自分と異なる意見や嗜好が見えなくなることになります。
このような状態を泡に包まれてその向こうがよく見えなくなった状態に喩えて、フィルターバブルと呼びます。

 

また、自分の考えに適合する情報ばかりが流れてくることで、反対意見に触れる機会が減少し、あたかも自分の考えが広く一般に認められている正しい意見であるという思い込みを強化することにもつながります。
このような自分の意見と同じ意見ばかりが入ってくるだけの状態を、共鳴室内での自分の発声がそのまま周りから返ってくる状態になぞらえてエコーチェンバー現象と言います。
フィルターバブルはエコーチェンバー現象にもつながっています。


先の合衆国大統領選挙で、接戦のメディア予想とは裏腹にトランプ氏の圧勝になったのも、メディアがフィルターバブルに陥っていたせいかもしれません。

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