行政書士 過去問
令和6年度
問55 (一般知識等 問9)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

行政書士試験 令和6年度 問55(一般知識等 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

欧米の情報通信法制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
  • EUのデジタルサービス法(DSA)は、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、事業者の規模などに応じた利用者保護などのための義務を課している。
  • EUのデジタル市場法(DMA)は、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、著作権侵害コンテンツへの対策を義務付けている。
  • EUの一般データ保護規則(GDPR)では、個人データによるプロファイリングに異議を唱える権利や、データポータビリティの権利が個人に付与されている。
  • 米国では、児童オンラインプライバシー保護など分野ごとに様々な個人情報保護関連の連邦法が存在する。
  • 米国では、包括的な個人情報保護を定めた州法が存在する州がある。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

欧米の情報通信規制および個人情報保護制度

欧米のインターネットを通じた取引に関する規制や個人情報保護に関する規定の問題です。

各節問ともにやや細かい知識が必要となります。

選択肢1. EUのデジタルサービス法(DSA)は、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、事業者の規模などに応じた利用者保護などのための義務を課している。

デジタルサービス法(DSA)はユーザーの安全性を確保するために、プラットフォーム事業者にネット上の違法・有害情報の削除などを義務付けています。

特に大型のプラットフォーム事業者や大規模検索エンジンに対して厳しい規制を課しています。

 

選択肢2. EUのデジタル市場法(DMA)は、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、著作権侵害コンテンツへの対策を義務付けている。

×

EUのデジタル市場法(DMA)は「ゲートキーパー」と呼ばれる大規模コンテンツ提供者の市場寡占を防ぎ、取引の公正性を確保するため、それらの企業に一定の法的義務を課すものです。

インターネット上のコンテンツの著作権侵害を防止することを目的とはしていません。

 

選択肢3. EUの一般データ保護規則(GDPR)では、個人データによるプロファイリングに異議を唱える権利や、データポータビリティの権利が個人に付与されている。

一般データ保護規則(GDPR)は個人データの保護・取り扱いの規制について規定された法律です。

プロファイリング(個人データからの推測)、データポータビリティ(個人データの運用)はGDPRにおいて認められています。

選択肢4. 米国では、児童オンラインプライバシー保護など分野ごとに様々な個人情報保護関連の連邦法が存在する。

一般法かつ基本法である日本の個人情報保護法とは異なり、米国には包括的な個人情報保護規定の連邦法(州を問わず適用される法律)がありません。

各分野ごとに個人情報保護関連の規定が定められています。

 

選択肢5. 米国では、包括的な個人情報保護を定めた州法が存在する州がある。

カリフォルニア州には包括的な個人情報保護を定めた州法が存在します。

なお連邦法には包括的規定は存在しません。

まとめ

日本と違い米国の連邦法には個人情報保護の基本法・一般法がありません。

各分野ごとに細目的な規定があるのみとなります。

参考になった数6

02

本問は、欧米のICT関連法制について問う問題です。内容的にはそれほど深い話はしていませんが、単純に知っているかどうかだけの問題です。
ICT関連、個人情報関連は関心も高いところなので広く浅く知っておくべきだという意図でしょうか。

EU及び米国の個人情報保護に関する制度の概要は、それぞれ、個人情報保護委員会のサイトの「EU(外国制度) |個人情報保護委員会」
外国制度(アメリカ合衆国) |個人情報保護委員会」
をご覧ください。

選択肢1. EUのデジタルサービス法(DSA)は、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、事業者の規模などに応じた利用者保護などのための義務を課している。

妥当です。


DSA(Digital Services Act=デジタルサービス法)は、デジタルサービスについて、違法で有害な行為を防止し、利用者の安全と基本的権利を保護して、適切なサービスの運営が行われるように、サービス仲介者に対する規制を定めるものです。
このサービス仲介者の義務は、事業者の規模に応じて異なります。

 

総務省のDSAの概要解説000831952.pdf

選択肢2. EUのデジタル市場法(DMA)は、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、著作権侵害コンテンツへの対策を義務付けている。

妥当ではありません。よってこの肢が正解です。


DMA(Digital Markets Act=デジタル市場法)は、デジタル市場における巨大プラットフォーム企業の既成を目的とした法規制です。簡単に言えばデジタル市場における独占禁止法のようなものです。

DMAはデジタル市場における公正な競争を目的としたものです。つまり、巨大プラットフォーム企業がその市場支配力を利用して公正な競争を阻害することを規制するものです。
著作権侵害コンテンツ、つまり違法コンテンツの規制を対象とはしていません。

選択肢3. EUの一般データ保護規則(GDPR)では、個人データによるプロファイリングに異議を唱える権利や、データポータビリティの権利が個人に付与されている。

妥当です。
 

EUの包括的な個人情報保護立法であるGDPR(General Data Protection Regulation =一般データ保護規則)の第20条にはデータ主体(要するに個人情報の大元の本人のことです)のRight to data portability(データ移動の権利)が規定されています。
また、第21条にはRight to object(異議を述べる権利)が認められており、その中に、プロファイリングも含まれています。

選択肢4. 米国では、児童オンラインプライバシー保護など分野ごとに様々な個人情報保護関連の連邦法が存在する。

妥当です。
 

米国では個人情報保護に関して、分野ごとに連邦法が存在します。
逆に言えば、包括的な個人情報保護立法はないという意味でもあります。
何年か前から制定の動きはありますがいまだに成立していません。

選択肢5. 米国では、包括的な個人情報保護を定めた州法が存在する州がある。

妥当です。
 

2025年6月1日時点で、全米50州のうちカリフォルニア州を筆頭に16州において包括的な個人情報保護を内容とする州法が成立しています。

参考になった数0