保育士の過去問
平成29年（2017年）前期
社会的養護 問38

児童養護施設入所児童等調査結果（平成25年2月1日現在）を参照してみてください。「入所時の年齢」で「0歳」が多いものは「母子生活支援施設」と「乳児院」の二つです。（児童養護施設入所児童等調査結果（平成25年2月1日現在）項目Ⅰ－２表２を参照）そのためこの問題の答えは「母子生活支援施設」と「乳児院」のどちらかであると言えます。
　しかし、乳児院は就学前の子どもが対象であるため3番目の文章“「児童の就学状況」は、「就学前」が約44%である。”という答えが当てはまりません。
よってこの問題の答えは４であるといえます。

正解は4「母子生活支援施設」です。
「児童養護施設入所児童等調査結果」は平成30年度のものも出ています。合わせて見ていきます。

・「入所時の年齢」で最も多いのは「0歳」である施設は、1「乳児院」と4「母子生活支援施設」となります。その他の施設で多いのは2歳以降の児童ですので当てはまりません。　
　平成30年度の調査でも「乳児院」は同様です。しかし、「母子生活支援施設」については入所時の児童の年齢の調査項目は無く、母親の年齢のみとなっています。

・「心身の状況」で「障害あり」が約18％である施設は、4「母子生活支援施設」となります。
　平成30年度の調査では、「心身の状況」で「該当あり」という項目に変わり、約54％という結果になっています。
　その他全ての施設で増加傾向にあります。25年度調査と30年度調査と比較し、多い順にみていくと、2「情緒障害児短期治療施設（現・児童心理治療施設）」約72％→約84％、5「児童自立支援施設」約47％→約62％、3「ファミリーホーム」約38％→約約47％、1「乳児院」約28％→約30％となっています。

・「児童の就学状況」は、「就学前」が約44％である施設は、4「母子生活支援施設」となります。「乳児院」は就学前の児童を対象としているので当てはまりません。その他の施設も、多くは就学中の児童であるため当てはまりません。
　平成30年度の調査では、48％と増加しています。

・「被虐待経験あり」のうち、「心理的虐待」が約80％である施設は、4「母子生活支援施設」となります。入所理由で一番多いのは配偶者からの暴力であり、それにより子ども達の多くは心理的虐待を受けているという結果となっています。その他の施設でも被虐待経験のある児童は多くいます。しかし、多いのは身体的虐待やネグレクトであり、心理的虐待については母子生活支援施設で最も多くみられます。
　平成30年度でも同様で、やや増加しています。

・「在所期間」は「5年未満」が約85％である施設は、4「母子生活支援施設」となります。その他の施設で多いのは、どの施設も1年未満です。
　平成30年度の調査では、約87％と増加しています。その他の施設に関しても、多いのは変わらず1年未満です。情緒障害児短期治療施設（現・児童心理治療施設）については、最も多い期間は、1年以上2年未満と変更されています。

よって、正解は4となります。

正解4

「児童養護施設入所児童等調査結果（平成25年２月1日現在）」によると、「入所時の年齢」で「0歳」が一番最も多い施設は、「1乳児院」と「4母子生活支援施設」のため、正解は1,4のいづれかに絞られます。

※そのほかの施設は以下の通り
２　情緒障害児短期治療施設（現・児童心理治療施設）：12歳
３　ファミリーホーム：２歳
５　児童自立支援施設：13歳

また、乳児院の対象は原則として乳児のため、以下の記述より誤りとわかります。
・「児童の就学状況」は、「就学前」が約44%である(=小学生以上の児童が56%)。

よって、正解は4です。

正解は４です。

1 .乳児院
「児童の就学状況」で「就学前」が44％という選択肢で、不適切である、と判断できます。

2 .情緒障害児短期治療施設
児童福祉法の改定により、平成29年4月1日から
「児童心理治療施設」に名称が変更となりました。

概ね学童期から１８歳の子どもが利用するため不適切です。

3 .ファミリーホーム
2～18歳の子どもが利用できます。「入所時の年齢」が「0歳」という点が不適切です。


4 .母子生活支援施設
1947年に制定された児童福祉法に定められています。
18歳未満の子どもを養育している母子家庭、何らかの事情で離婚の届出ができない場合など、子どもと一緒に利用します。

5 .児童自立支援施設
2～18歳の子どもが利用できます。「入所時の年齢」が「0歳」という点が不適切です。