運行管理者(貨物) 過去問
令和5年度 CBT
問30 (労働基準法関係 問5)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

運行管理者(貨物)試験 令和5年度 CBT 問30(労働基準法関係 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」等に定める貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者(以下「トラック運転者」という。)の拘束時間等の規定に関する次の記述のうち、正しいものをすべて選びなさい。なお、解答にあたっては、各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。

<改題>

2024年4月1日に改善基準告示の改正がありました。これに伴い元となる選択肢文を一部改題し、現行法に沿う形に修正しました。

<参考>

  • 使用者は、業務の必要上やむを得ない場合には、当分の間、トラック運転者を隔日勤務に就かせることができる。この場合、2暦日における拘束時間は、事業場内仮眠施設又は使用者が確保した同種の施設において、夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合を除き、21時間を超えてはならないものとし、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与えなければならない。
  • 拘束時間とは、始業時間から終業時間までの時間で、休憩時間を除く労働時間の合計をいう。
  • 使用者は、トラック運転者の拘束時間については、1ヵ月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6ヵ月までは、1年間についての拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、329時間まで延長することができる。
  • 使用者は、業務の必要上、トラック運転者に勤務の終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができるものとする。この場合において、分割された休息期間は、1日において1回当たり継続3時間以上、2分割の場合は、合計10時間以上でなければならないものとする。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

正しい内容は、各選択肢の解説の通り、

2つです。

 

 

『自動車運転者の労働時間等の

改善のための基準』からの出題です。

令和6年4月より改善基準告示が改正され、運用が始まっていますので、対策必須の問題です。過去の内容に惑わされないよう、新しい内容をしっかりと頭に入れておけるといいですね。

ポイントは、働きすぎていたドライバーさんを守ろう!という考え方です。

選択肢1. 使用者は、業務の必要上やむを得ない場合には、当分の間、トラック運転者を隔日勤務に就かせることができる。この場合、2暦日における拘束時間は、事業場内仮眠施設又は使用者が確保した同種の施設において、夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合を除き、21時間を超えてはならないものとし、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与えなければならない。

正しい内容です。

 

『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準』第4条第4項(3)

「業務の必要上やむを得ない場合には、当分の間、二暦日についての拘束時間が二十一時間を超えず、かつ、勤務終了後、継続二十時間以上の休息期間を与える場合に限り、自動車運転者を隔日勤務に就かせることができること。ただし、厚生労働省労働基準局長が定める施設において、夜間四時間以上の仮眠を与える場合には、二週間についての拘束時間が百二十六時間を超えない範囲において、当該二週間について三回を限度に、二暦日の拘束時間を二十四時間まで延長することができる。」

選択肢2. 拘束時間とは、始業時間から終業時間までの時間で、休憩時間を除く労働時間の合計をいう。

誤った内容です。

 

拘束時間には、休憩時間も含まれます。

選択肢3. 使用者は、トラック運転者の拘束時間については、1ヵ月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6ヵ月までは、1年間についての拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、329時間まで延長することができる。

誤った内容です。

選択肢の数字は全て、改正前の数字で、令和6年4月以降は以下の内容が適用されています。

 

『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準』第4条第1項

「拘束時間は、一箇月について284時間を超えず、かつ、一年について3300時間を超えないものとすること。ただし、労使協定により、一年について六箇月までは、一箇月について310時間まで延長することができ、かつ、一年について3400時間まで延長することができるものとする。」

選択肢4.

使用者は、業務の必要上、トラック運転者に勤務の終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができるものとする。この場合において、分割された休息期間は、1日において1回当たり継続3時間以上、2分割の場合は、合計10時間以上でなければならないものとする。

正しい内容です。

 

『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準』第4条第4項1

「業務の必要上、勤務の終了後継続九時間(第一項第三号ただし書に該当する場合は継続八時間)以上の休息期間を与えることが困難な場合、次に掲げる要件を満たすものに限り、当分の間、一定期間(一箇月程度を限度とする。)における全勤務回数の二分の一を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができるものとする。」
 

参考になった数66

02

正しいのは
・隔日勤務をさせるときの拘束時間と休息期間の取扱い
・休息期間を 8 時間確保できない場合の分割条件
の 2 つです。

残りの選択肢は、拘束時間の意味や数値が改善基準告示と一致しません。

選択肢1. 使用者は、業務の必要上やむを得ない場合には、当分の間、トラック運転者を隔日勤務に就かせることができる。この場合、2暦日における拘束時間は、事業場内仮眠施設又は使用者が確保した同種の施設において、夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合を除き、21時間を超えてはならないものとし、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与えなければならない。

改善基準告示第 5 条は、業務の都合で隔日勤務を行う場合
・2暦日(2日間)の拘束時間は21 時間以内
・ただし、事業場内の仮眠施設などで夜間4時間以上の仮眠を与えるときは 24時間まで可
・勤務終了後は連続 20 時間以上の休息を与える
と定めています。記述はこの内容と一致します。
正しいです。

選択肢2. 拘束時間とは、始業時間から終業時間までの時間で、休憩時間を除く労働時間の合計をいう。

告示では、拘束時間=始業から終業までの総時間から休息期間を除いた時間です。

休憩時間も含まれるため、記述の「休憩時間を除く労働時間の合計」は誤りになります。
→ 誤りです。

選択肢3. 使用者は、トラック運転者の拘束時間については、1ヵ月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6ヵ月までは、1年間についての拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、329時間まで延長することができる。

告示は通常、1か月284時間、労使協定で延ばしても 310 時間(年 3,400時間以内)です。

選択肢は「329 時間」としており数値が違います。
→ 誤りです。

選択肢4.

使用者は、業務の必要上、トラック運転者に勤務の終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができるものとする。この場合において、分割された休息期間は、1日において1回当たり継続3時間以上、2分割の場合は、合計10時間以上でなければならないものとする。

8 時間の休息を与え難い場合、当分の間
・一定期間(1か月など)の全勤務回数の 2 分の 1 以内で適用可
・分割した休息は1日につき1回3時間以上、2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は12時間以上
・拘束時間の途中と直後に分けて与える
と規定されています。記述は条文と合致しています。
正しいです。

まとめ

トラック運転者の労務管理は

隔日勤務:2日で 21 時間・休息 20 時間

休息期間:原則 11時間(9時間を下回らない)、一部分割可(3時間以上×2、2分割では合計 10 時間)
が大きなポイントです。

拘束時間の定義や月次上限の数字を取り違えやすいので注意しましょう。

 

※2024/4/1法改正に伴い、解説文を一部修正しました。

参考になった数37

03

いわゆる「物流2024年問題」はトラックドライバーの働き方改革によって生じており、その動きの中心となっているのが改善基準告示の改正です。

 

本問は過去の状況における規定をベースにした問題であり、必ずしも現在の規定を反映したものではありません。学習テキストや行政官庁が公開している資料などに目を通して最新の知識に触れるようにしましょう。

選択肢1. 使用者は、業務の必要上やむを得ない場合には、当分の間、トラック運転者を隔日勤務に就かせることができる。この場合、2暦日における拘束時間は、事業場内仮眠施設又は使用者が確保した同種の施設において、夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合を除き、21時間を超えてはならないものとし、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与えなければならない。

正解です。隔日勤務の特例として選択肢に記載の通りの規定が存在しています。

 

改善基準告示の特例にあたる部分なので苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが、まずは基本的な改善基準告示のルールを頭に入れた上でこの選択肢の規定のような隔日勤務の特例の知識にも触れていくと”何が特例なのか”を理解しやすくなり、自然と知識が身に着くと思います。

選択肢2. 拘束時間とは、始業時間から終業時間までの時間で、休憩時間を除く労働時間の合計をいう。

誤りです。拘束時間には休憩時間も含まれます。「拘束時間=労働時間+休憩時間」という数式の形で覚えるとよいでしょう。

選択肢3. 使用者は、トラック運転者の拘束時間については、1ヵ月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6ヵ月までは、1年間についての拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、329時間まで延長することができる。

誤りです。令和5年度試験の時点では以下の規定が存在し、③は選択肢の329時間ではなく、320時間が正解でした。

 

①1年間の拘束時間:3,516時間以内

②1か月の拘束時間:293時間以内

③②の範囲内において1か月の拘束時間を320時間まで延長可能(1年のうち6か月まで)

 

なお、令和6年4月1日以降、新しい改善基準告示が施行されており、上記の規定は以下のように変更されています。

 

①1年間の拘束時間:3,516時間以内 → 3,300時間以内

②1か月の拘束時間:293時間以内 → 284時間以内

③②の範囲内において1か月の拘束時間を320時間まで延長可能(1年のうち6か月まで) → 310時間まで延長可能

選択肢4.

使用者は、業務の必要上、トラック運転者に勤務の終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができるものとする。この場合において、分割された休息期間は、1日において1回当たり継続3時間以上、2分割の場合は、合計10時間以上でなければならないものとする。

正解です。

新しい改善基準告示が令和6年4月1日に施行され、分割休息に関わる規定も変更されているため正しいです。

 

●「分割休息」に関する規定の変更点

・勤務の終了後継続8時間以上の休息期間 → 勤務の終了後継続9時間以上の休息期間(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は継続8時間以上)

・1日において1回当たり継続4時間以上 → 1日において1回当たり継続3時間以上

 

●「分割休息」に関する規定に関する規定の詳細

・一定期間は1か月程度を限度とする

・全勤務回数の2分の1を限度とする
・分割は2分割または3分割とする

・2分割する場合は合計10時間以上、3分割する場合は合計12時間以上の休息時間を与える

・休息期間を3分割する日が連続しないように努める

まとめ

令和6年4月1日施行の改善基準告示はトラックドライバーの働き方に配慮したものとなっており、運行管理者として確実に把握しておく内容となっています。試験だけの知識に終わらせず、実務でも活かせるよう、何度でも学習テキストを読み返して知識を定着させましょう。

 

また、規定の変更により、過去問の選択肢の正誤が現在の規定で見たときに必ずしも同じ結果にならない場合があります。そのような状況があることも念頭に過去問に取り組むようにしてください。

 

※こちらの問題は現行法に沿うように修正されています。

参考になった数18