管理栄養士の過去問 第32回 公衆栄養学 問155
この過去問の解説 (3件)
正答は(4)。
「推定平均必要量(EAR)」は摂取不足の回避を目的として定められており、集団の約半数が満たす摂取量です。
これを助ける役割なのが「推奨量(RDA)」です。これは集団のほとんどが満たす量です。
この二つは科学的根拠を元に設定されていますが、それが足りない場合もあります。
そんな時に設定されるのが「目安量(AI)」です。まあまあ健康でいられる量です。これだけ取っておけば足りないことはないです。
でも不足ばかり気にしていたら今度は過剰が気になります。
多すぎるとからだに悪い影響も出ますので、それを避けるために設定されたのが「耐用上限量(UL)」です。
最後にもう一つ覚えておきたいのが生活習慣病予防のための数値設定「目標量(DG)」です。生活習慣病は大きな社会問題となっています。
ここで一つ注意したいのが、集団の平均値は極端に小さい数や大きい数を反映してしまうため、平均値ではなく分布を用いるということ。
分布が範囲内に入っているかどうかで評価するということが大切です。
(1) エネルギーの摂取不足を防ぐためには、BMIの分布が目標の範囲内にいる人の割合を増やします。
(2) エネルギーの過剰摂取を防ぐためには、目標とするBMIを上回っているものの割合を計算、それらを範囲内に留めるための摂取量を設定します。
(3) 栄養素の摂取不足を防ぐためには、推定平均必要量(EAR)を下回って摂取している者の割合をできるだけ少なくするよう改善します。
(4) 文章通り。
(5) 生活習慣病の予防のために、摂取量の分布が目標量(DG)の範囲内に入るようにします。
正解は「4」
1.(誤)エネルギーの摂取はBMIが基準値以内に収まっているかで判断します。
2.(誤)集団のBMIを平均で見てしまうと、少ない人と多い人を一緒に見てしまいます。結果、数値だけなら健康的、となってしまいます。過剰摂取を防ぐには、目標とするBMIを超えている人だけを見て、その人たちの割合を減少させることを目標とします。
3.(誤)栄養素の摂取不足を防ぐには、推定平均必要量(EAR)を下回る人の割合が少なくなることを目標とします。推定平均必要量(EAR)は集団の半数が欠乏症になるといわれる値です。このラインを超えることは、欠乏症を防ぐ根拠となります。
4.(正)耐容上限量( UL )は過剰症にならない最大の量で、この量を超えなければ過剰症は起こらないという根拠になっています。一人もこのラインを超えなければ、その集団で過剰症は起こらないと言えます。
5.(誤)摂取量を平均値で見てしまうと、少ない人と多い人が一緒にいた場合に、数値だけなら健康的、となってしまいます。集団の数値を見る場合には、中央値の値などが、目標量( DG )の範囲内に入るようにします。
(1)✖ 必要なエネルギー量は、個人で異なります。エネルギーの摂取不足を防ぐために、BMIが目標とする範囲に入る人の割合が増えるよう改善します。
(2)✖ エネルギーの過剰摂取を防ぐためにも、目標とするBMIの範囲に留まる人が増えるよう改善します。
(3)✖ 栄養素の摂取不足を防ぐために定められているのは、推定平均必要量(Estimated Average Requirement: EAR)です。摂取不足を防ぐ目的では、推定平均必要量を下回って摂取している者の割合をできるだけ少なくするよう改善します。
(4)〇 耐容上限量(Tolerable Upper Intake Level: UL)は、主にサプリメントや健康食品等の摂取による、栄養素の過剰摂取を防ぐために定められています。食事以外での摂取も把握し、個人の習慣的な摂取量が耐容上限量( UL )未満になるようにします。
(5)✖ 生活習慣病の予防のために、摂取量の分布が目標量( Tentative Dietary Goal for Preventing Life-style Related Diseases: DG )の範囲に近づくよう努力します。
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