管理栄養士の過去問
第36回
午前の部 問8
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問題
第36回 管理栄養士国家試験 午前の部 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
喫煙に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 特定保健指導対象者の選定・階層化の項目として、喫煙の有無は考慮されていない。
- WHOのたばこ規制枠組条約(FCTC)には、たばこの価格政策が含まれる。
- 健康増進法に基づく、多数の者が利用する施設等における喫煙の禁止等に関して、罰則規定は設けられていない。
- 35歳以上の者に対する禁煙治療が公的医療保険の適用となる条件に、ブリンクマン指数は含まれない。
- 健康日本21(第二次)において、COPDの死亡率の減少が目標になっている。
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この過去問の解説 (4件)
01
✕1 .特定保健指導対象者の選定・階層化の項目として、喫煙の有無は考慮されていない。
→誤りです。
喫煙は動脈硬化性疾患の独立した原因であり、メタボリックシンドロームや糖尿病の発症のリスクを高めることから、
特定保健指導対象者の選定・階層化の項目として、喫煙の有無が考慮されています。
〇2 .WHOのたばこ規制枠組条約(FCTC)には、たばこの価格政策が含まれる。
→正解です。
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)には、たばこの価格政策が含まれています。
また、たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から、現在及び将来の世代を保護することを目的としたばこに関する広告、包装上の表示等の規制及びたばこの規制に関する国際協力について定めることが求められています。
✕3 .健康増進法に基づく、多数の者が利用する施設等における喫煙の禁止等に関して、罰則規定は設けられていない。
→誤りです。
健康増進法に基づく、多数の者が利用する施設等における喫煙の禁止等に関して、罰則規定は設けられています。
また、受動喫煙は以下の3つの考え方に基づいています。
1.望まない受動喫煙をなくす
2.受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮
3.施設の類型・場所ごとに対策を実施
✕4 .35歳以上の者に対する禁煙治療が公的医療保険の適用となる条件に、ブリンクマン指数は含まれない。
→誤りです。
35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方が禁煙治療を受けることのできる条件の1つに定められています。
他の3つの条件として、
・ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
以上の要件をすべて満たした方のみ、12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用されます。
✕5 .健康日本21(第二次)において、COPDの死亡率の減少が目標になっている。
→誤りです。
健康日本21(第二次)において、COPDの認知率の増加が目標と定められました。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、がん、循環器疾患、糖尿病と並んで、対策を必要とする主要 な生活習慣病として挙げられ、「COPDの知識の普及」 が課題となり、現在25%であるCOPDの「認知率」を 今後10年間に80%にするという目標が決められました。
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02
正答は【2】です。
喫煙行動について、復習をしましょう。
1.×
喫煙歴についても、考慮されています。
特定保健指導の対象者の選定と階層化方法についても、復習しましょう。
[ステップ1]内臓脂肪蓄積のリスク判定
(1)腹囲 男性85cm以上、女性90cm以上
(2)腹囲は(1)以外で、かつBMI≧25kg/m2
[ステップ2]追加リスクの数の判定、特定保健指導の対象者の選定
①血圧高値(収縮期血圧130mmHg以上または、拡張期血圧85mmHg以上)
②脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上またはHDL-C40mg/dL未満)
③血糖高値(空腹時血糖100mg/dL以上またはHbA1c5.6%以上)
===以下は①から③までのリスクが1つ以上の場合のみカウント===
④質問票 喫煙歴あり
⑤質問票 ①、②または③の治療に係る薬剤を服用している
[ステップ3]保健指導レベルの分類
(1)の場合、①~④のリスクのうち、追加リスクが
2以上 → 積極的支援レベル
1 → 動機づけ支援レベル
0 → 情報提供レベル
(2)の場合、①~④のリスクのうち、追加リスクが
3以上 → 積極的支援レベル
1,2 → 動機づけ支援レベル
0 → 情報提供レベル
※65歳以上75歳未満の対象者は、積極的支援の対象となった場合でも、「動機づけ支援」とします。
2.〇
たばこ規制枠組条約(FCTC)の第6条「需要を減らすための価格政策・課税措置」に含まれています。この条約は、喫煙が健康・社会・環境および経済に及ぼす悪影響から、現在および将来の世代を守ることを目的として、WHOにより策定されました。日本は2004年に本条約を批准し、締結国となりました。2020年6月時点で、締結国は182か国あります。
3.×
全ての者に対して、①喫煙禁止場所における喫煙の禁止、②紛らわしい標識の掲示、標識の汚損等の禁止について、さらに、施設等の管理者に対しては、③喫煙禁止場所での喫煙器具、設備等の設置禁止、④喫煙室内へ20歳未満の者を立ち入らせないこと等の義務が課されています。これらの義務に違反した場合、罰則(過料)が適用されます。
4.×
35歳以上ではなく、「未満です」。保険による禁煙治療(ニコチン依存症管理料)を受けるためには、様々な条件があります。①1日の喫煙本数に喫煙年数をかけた値(ブリンクマン指数)が200以上であること(35歳未満についてはこの要件を満たさなくても保険適用が可能)、②ニコチン依存症の診断、③患者自らが禁煙を望むこと、④治療に関する承諾書が必要となります。
5.×
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の認知度の向上が、目標とされています。
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03
喫煙や受動喫煙は健康被害が伴う社会的問題であり、様々な対策が行われています。
特定保健指導、WHOのたばこ規制枠組条約、健康増進法、禁煙治療、健康日本21(第二次)で、どのように喫煙や受動喫煙が取り扱われているのか学習し、問題に答えましょう。
× 特定保健指導対象者の選定・階層化の項目として、喫煙の有無は考慮されています。
【特定保健指導対象者の具体的選定・階層化の方法】
ステップ1:腹囲とBMI で内臓脂肪蓄積のリスクを判定します。
ステップ2:検査結果や質問票により、追加リスクを判定します。
項目は、①血糖、②脂質、③血圧、④喫煙歴あり
①~③は内臓脂肪症候群の判定項目で、④は①~③のリスクが1つ以上の場合にカウントする決まりです。
〇 WHOのたばこ規制枠組条約(FCTC)には、たばこの価格政策が含まれています。
FCTCとそのガイドラインで求められる内容として、「たばこ税・価格の値上げ(第6条)」があり、WHOにより喫煙を減らす最良の方法として推奨されています。
× 健康増進法に基づく、多数の者が利用する施設等における喫煙の禁止に関して、罰則規定が設けられています。
【改正健康増進法に基づく義務内容】
改正健康増進法によると、「望まない受動喫煙を防ぐため、多数の者が利用する施設等に応じ、施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止する。」
施設等の管理について、「権原を有する者が講ずべき処置等について定める」とあります。
【喫煙禁止場所における喫煙した場合の違反時の処置】
①管理権原者等が喫煙の中止などを求める。
②改善が無い場合には都道府県知事等が命令する。
③更に改善が無い場合には罰則(過料)の適用があります。
× 禁煙治療が保険適用となる条件の一つとして、「35歳以上の者で、ブリンクマン指数が200以上」という記載があります。
【用語】
・ブリンクマン指数:一日に吸うたばこの本数と喫煙年数をかけたもの(喫煙指数)
× 健康日本21(第二次)では、「COPDの認知度」を目標に掲げています。
喫煙や受動喫煙に伴う健康被害や対策は、管理栄養士の業務と深く関係があります。
特定保健指導、WHOのたばこ規制枠組条約、健康増進法、禁煙治療、健康日本21の内容を、よく理解しておきましょう。
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04
特定保健指導、WHOのたばこ規制枠組条約、健康増進法、禁煙治療、健康日本21(第二次)でどのようにまとめられているのかまとめておきましょう。
喫煙の有無も考慮されています。
たばこの価格政策が含まれる。正解です。
罰則規定は設けられています。
ブリンクマン指数:1日喫煙本数✖︎喫煙年数
ブリンクマン指数が200以上であることを含みます。
COPDの認知度向上が目標になっている。
特定保健指導、WHOのたばこ規制枠組条約、健康増進法、禁煙治療、健康日本21(第二次)でどのようにまとめられているのかまとめておきましょう。
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